Gallery and Essay

Gallery and Essay コーナーの移行について

*☆★ お知らせ ★☆* これまでご好評いただいておりました Gallery and Essay のコーナーですが、以降は以下のサイトで更新していくことにいたしました。 浅間・吾妻エコツーリズム協会 エコツアー 体験イベント 実施アルバム http://aaes.heteml.jp/album/ 以…

Sanctuary

きのこ狩りに、森の奥深くに入った。ここは戦後の拡大造林期にも手がつけられなかった急崖の岩場。むせ返るような動物たちの匂い。そして気配――森の生き物達の聖域 ― Sanctuary 「あなたの森を通りますよ」 番頭のミズナラ巨木に挨拶をして、少しの間、森を…

草軽電鉄駅舎跡と桜並木

1909年の開業から1962年までの約半世紀間、日本を代表する避暑地・軽井沢と、日本を代表する温泉地・草津温泉とを結んでいた草軽電気鉄道、略して草軽電鉄。山岳地帯を走る鉄道なのにトンネルがなく、急カーブやスイッチバックがいくつもあり、55.5キロを走…

木の声が聞こえる

万座カラマツ天然母樹林で、通直な幹のカラマツでは最大のカラマツ、偉大〔おおい〕なる母の木。こまくさ園元館主の干川文次さんの手記にこうある。 “昭和37年ドイツのショハー(R.Schober)博士がカラマツの母樹を見に来たとき、一本の大きい木の下に行き木…

マザーツリーの森へ

私たちの母なる森へようこそ。よくいらっしゃいました。この森を歩いてきて、風景が私に教えてくれたこと、樹木たちが私に語ってくれたことを、少しばかりお聞かせいたします。 驚くようなお話もいたします。残念なお話もいたします。そして中には、胸がいっ…

インタープリターのいる風景

嬬恋村の山村集落、三原にお客様をご案内する機会があった。現地でいろいろ聞き込み調査をしているうちに、「先生」と呼ばれる土地の長老が特別ゲストで登場し、この集落のお話をしてくれることになった。 見晴らしのいい場所で、長老にバトンタッチ。 三原…

太融寺の巳さん

20年前、夜の街で一人の若者が行き詰っていた。ある日若者は「もし私が死んでも、誰も悲しまないんじゃないか、誰も気づかないんじゃないか」と嘆き、その地を護っているイチョウの樹の枝を折った。 それからというもの、若者にはろくな事が起こらなかった。…

風の通り道

万座から車で20分。標高1,827mの毛無峠。 視界いっぱいに広がる矮小低木の群落は、まるで標高2,500mの高山帯にでもいるかのような錯覚を起こす。この風景を偽高山帯という。風衝地のため森林が成立できないのだ。 付近には縄文初期の石器が出土する洞窟群が…

神様

この秋、軽井沢でインタープリテーションする機会があった。依頼先のお庭が、苔むしていてとても綺麗だったので、予定には無かった“お庭を観る時間”をつくってもらった。 観れば観るほど不思議なお庭。色とりどりのきのこ、たくさんの大きな樹、そしてふわふ…

真珠ガンピ

センジュガンピの種を採りに、沢に入った。鬱蒼とした深い沢筋が大好きなこの花は、目が覚めるような純白の花をつける。きっと、薄暗い林内ではこの色が一番目立つのだろう。うまく育てれば一年目で花がつき、育てる楽しみもあるいい花だ。 帰り道、藪の中で…

好奇心

万座弁天池の上り坂は、4歳の女の子にはちとキツイ…はずが、さつきちゃんの好奇心ときたら、私の予想をはるかに上回っていた。 YAMAGOYAの屋根に上ることもできたし、弁天池の浮島にも登ることができた。 写真は筋肉疲労回復に効く葉を腕に塗っているところ…

個性と生命

国内最大級の草薙カラマツ。個性的な立ち姿は雄々しくも美しい。幹周り130センチを超す巨木だが、この複雑な形状では、とても建築材には使えそうもない。体のあちこちから、まるで幹に成らんばかりの枝を突き出している。 生命とは、物ではなくプロセス。成…

スキー場開き

スキー場の安全祈願祭は神事の地鎮祭と同じ形式で行われる。「おおぉ〜」と独特の調子で唱える降神の儀。神主の声が私の深いところまで響いてくる。神事は、いつ参列しても身の引き締まる思いがする。背筋がシャンとする。 参列者の中に、外国人の姿があった…

夫婦ブナ

かつて広大なブナ−ミズナラ林が広がっていたという万座川流域。戦後の拡大造林によって今は別の樹種に置き換えられた。しかしあるとき、小丸山を眺めていて最も端整で大きな樹が見えた。白い樹皮が目に飛び込んできた。 ああ!ブナだ、ブナが万座に残ってい…

もう一つの浅間山ルート

仲間と、浅間山(前掛山)に登った。成長を続ける国内有数の活火山、浅間山。この山には、既存のルートよりももっと美しいルートがあるはずだ。 私達が提案するルートが整備されれば、標高差1,000メートル、行程9時間の回遊コースが誕生する。地球の息吹を全…

雲上トンボ

梅雨の晴れ間に、弁天池に出かけた。ミツガシワの花を見ようと思っていた。 ところが、もうミツガシワの花期は終わっていた。代わりに、一歩進むたびに草むらから何組も飛び出てきたのは目の覚めるような水色のトンボ、ルリイトトンボだった。ちょうど繁殖の…

トキノキの巨木

草津町・嫗仙の滝に、森の巨人たち100選・カツラの巨木を見に行った。ところがどっこい、私の心を強く揺さぶったのは、その近くにあるトチノキの巨木だった。 沢沿いは大きな木が多いものだが、この急斜面で、よくここまで図太く大きくなったもんだ。胸高直…

カラマツ天然母樹林 新緑

林床が笹に覆われたカラマツ天然母樹林。夏はとても立ち入る気にはなれないが、最近治山工事のため道路ができているので、歩いてみた。 新緑の頃の森は、どこの森もとても明るい。でも、カラマツの森だけは別格だと思う。このフレッシュ・グリーンよりも眩し…

森の更新

かたらいの森を散歩していたら、突然倒木が現れ、道を通せんぼしていた。コースの中でも象徴的な大木が、倒れてしまっていたのだ。 先日の雷にやられたのか、それとももう寿命だったのか。大きなサルノコシカケをいくつもまとい、老木であったことには間違い…

ヒカゲツツジ

浅間山鬼押しに黄色いツツジがあるという。黄花で常緑のツツジは珍しい。大島さんが「ヒカゲツツジが満開だよ」というので、行ってみた。 ヒカゲツツジは名前のとおり、太陽をやや避けて群落をなしていた。向こうが見えるほど透き通ったレモン色の花びらは清…

草薙カラマツ

万座天然カラマツ母樹林を案内した。コース最後に現れる第一位の巨木「草薙カラマツ」。今日の計測では二位になってしまったけれど、重量・迫力共にやはり白根沢最大のカラマツだ。 ここ40年、私が連れてきたごく少数の人間としか会わなかったこのカラマツは…

牧場の虹秋

10月中旬の嬬恋牧場。足元の草原はまだグリーン。周囲はミズナラの黄金色。そこに、カエデがオレンジ色や朱色を添えている。その先の森が蒼く見えるもっと向こうに、純白の初雪が被っている。 『浅間山に初冠雪』のニュースを見たら、すぐここに駆けつけてほ…

ツキノワグマのこと

草津町、常布の滝辺りでふと見上げると、そこいらはツキノワグマの食事の跡だらけだった。今年はミズナラのドングリが並作だったので、こんな年はこの食痕を多く見る。樹に登ったツキノワグマは、周りの枝を折ってドングリを自分の口に運び、食べた後はその…

秘湯へ

草津町大沢川の支流、毒水沢を上る。右へ、左へ、奥へ、奥へ。やがて落差20mの絶壁と滝が行く手を阻む。上ったらまた絶壁。上ったらまたまた絶壁。死ぬか?と思ったところで湯気が見える。やっとの思いでたどり着く秘湯『香草源泉』。一人では行きたくない…

一本のダケカンバ

一本のダケカンバ。 普通は雪崩跡や崖崩れ跡地などに一斉林をつくる陽樹のダケカンバ。森を歩いていてたまたま一本しかないダケカンバと出会った。周囲を取り囲む亜高山帯針葉樹林の常緑の木々が、このダケカンバを風雪から護ってきたのだろう。およそダケカ…

霧の湯の平

仲間たちとやっと、黒斑山塊を周遊する夢が叶った。予定の9月12日は大雨、13日も雨、3度目の計画でようやく霧。もう行くしかない。 トーミの頭から草すべりを下りると、湯の平は霧が晴れ、周囲の尾根は霧に隠されてしまっている。湯の平はすっぽり霧にふたを…

分け入っても青い山

驚くほど晴れた9月下旬のある日。今日だけは、いつもは立ち入れない場所に入る。 半年以上前の行方不明者捜索の日だった。遺体探しに駆り出されるなど冗談じゃない…はずだったのだが、あまりにも美しい日だったので胸いっぱいになって帰ってきた。 この景観…

夏の思い出

万座温泉山中に人知れずたたずむ伝五郎池。昭和40年発見当時の、村長の名前をとってつけたのだという。 水際はモウセンゴケやスゲ類など湿原植物が発達し、熊池湖沼群のような新しい池ではないことがうかがえる。もしかしたらこの池は、万座で一番古いのかも…

夏の思い出

恒例の『森の教室』。今年は笠ヶ岳から山田牧場に案内した。へとへとだったはずの子どもたちは、昼食のデザートのアイスクリームでたちまち元気になった。そして予定には無かった“牧場でなごむ”時間が生まれた。 一人の子が、スススと馬へと近づいていった。…

万座極相林

幹周4メートルを優に越すトウヒの大木が残る万座の極相林。この森の美しさときたら、いくら撮ったって撮りきれない。数百歳の樹になるためには数百いや、それ以上の樹々と競合してきたのだろう。見渡す限りそんな樹ばかりの森が広がっている。 このあと100…