夫婦ブナ







かつて広大なブナ−ミズナラ林が広がっていたという万座川流域。戦後の拡大造林によって今は別の樹種に置き換えられた。

しかしあるとき、小丸山を眺めていて最も端整で大きな樹が見えた。白い樹皮が目に飛び込んできた。


ああ!ブナだ、ブナが万座に残っていた。


後日計測してみると、目周り277cm、根回り330cm。樹勢旺盛。いい木だ。近くにもう一本、同様に美しい姿のブナがあった。


…計測から戻った時の、二人の長老の会話が忘れられない。

滝「どうでしたか。」

長「ええ、いいブナでした。道路脇では一番大きいでしょう。将来の名物大木となる可能性充分ですね。」

滝「そうですか、他には何かありましたか。」

長「幹肌の色が良く、姿もまっすぐですっきりしたブナです。とても美人のブナでしたよ。」

滝「そうですか。ではすぐ近くでそれを見ているブナがもう一本あったでしょう。見られていると木でも美しくなるものですよ。」