森の更新







かたらいの森を散歩していたら、突然倒木が現れ、道を通せんぼしていた。コースの中でも象徴的な大木が、倒れてしまっていたのだ。


先日の雷にやられたのか、それとももう寿命だったのか。大きなサルノコシカケをいくつもまとい、老木であったことには間違いなかった。


頭上を見るととても大きな空間がぽっかり開いてしまっていた。鬱蒼としていたばずの場所に初夏の日差しが容赦なく降り注いでいた。森のギャップが生まれたのだ。


さて、このギャップを塞ぐストーリーはいくつかある。一つは同じ根から出ているように見える、この背の低い一本が隆盛となるストーリー。そして周囲にある樹木から新たな種子が倒木上に散布され更新するストーリー。また、埋土種子集団(シードバンク)から温められた種子が芽吹くストーリーもあるだろう。


・・・そしてもう一つのストーリーもある。地球温暖化を憂う地元のナチュラリストが、万座よりも暖かい場所が生育適地な樹木種子を秘かに蒔き、数百年後、10℃は上がっているであろうこの万座でも継続できる森が生まれているストーリー。

・・・中止したはずの『虹の谷計画』が沸々と脳裏によみがえって来る。