木の声が聞こえる







万座カラマツ天然母樹林で、通直な幹のカラマツでは最大のカラマツ、偉大〔おおい〕なる母の木。こまくさ園元館主の干川文次さんの手記にこうある。


“昭和37年ドイツのショハー(R.Schober)博士がカラマツの母樹を見に来たとき、一本の大きい木の下に行き木肌に手をかけ、懐かしそうに見上げ、「この母樹の種がドイツでは生育が良いので、その母樹を見に来たのだ」と満足そうな顔をした…”


種の採取は木材の利用を見越し、通直な幹の木から採取されることが多い。手記にはどのカラマツとは書いていなかったけれども、私たちには木の声が聞こえた。このカラマツこそが、世界に行ったカラマツだ。海を渡ってドイツにも。この木を別名“ショハーの木”という。


人の身体の声が聞こえるセラピストさん。…触れてみてください。ほら、声が聞こえるでしょう?だって私たちは同じ細胞から分かれた兄弟ですから。そして何億年もの間、助け合ってきたことを思い出したでしょう?


触れれば、相手の声は、心は伝わってきますよね。木も人も、同じように。