夏の思い出







万座温泉山中に人知れずたたずむ伝五郎池。

昭和40年発見当時の、村長の名前をとってつけたのだという。


水際はモウセンゴケやスゲ類など湿原植物が発達し、熊池湖沼群のような新しい池ではないことがうかがえる。もしかしたらこの池は、万座で一番古いのかも知れない。


友人を、この池に連れてきたことがあった。興奮ではしゃいだ友人はバランスを崩し、湿原に足を踏み入れてしまった。あの足跡は、ここじゃあ10年は消えないのだろう。


だからもう、こうやって、トウヒの巨木の隙間から、そっと見ているのが一番いいんだろうな。

あんなにも綺麗に万座の森が映っているのに、もうこうやって一人で見ているのが一番いいんだろう。