「野生キノコの観察と見分け方」講座
ぐんま森林インストラクター会主催「森の案内人」養成講座、本日のテーマは『野生キノコの観察と見分け方』。
本日は野生キノコの研究者、群馬県林業試験場 木材きのこグループ 松本哲夫様を招いての講座。群馬県にきのこの独立研究員がいらっしゃるとは知らなかった!
田中会長と松本様から、キノコとは何か?キノコのはたらき、キノコ観察・採取の手順と注意などのお話の後、4-5人の小グループに分かれ、野生キノコを探しにフィールドに出かけた。
各自4個位を目安に、思い思いキノコを採取してくる。その際、入れる袋に、採取場所発生地・環境・生育状況などを記入シートに書き入れ、一緒に入れる。これが同定の決め手になるのだ。写真はカバイロトヤマタケ(フウセンタケ科アセタケ属)のようだ。最近命名されたらしく、私の図鑑には載っていない。アセタケ属はたいていムスカリンを含み有毒。誤植すると多量の汗をかき、呼吸困難や脈が遅くなったりする。汗をかくのでアセタケという。
まずは集めてきたキノコをテーブルに乗せる。ぐわっみんな真面目に採ってきてスゲー量だ!
そして、松本様の鑑定のあと、解説や注意事項などのお話があった。狭いテーブルにキノコきちがいが40人も集まるものだから、テーブルに全然近づけない。ここはディズニーランドか!
今日は、スギエダタケ(キシメジ科マツカサキノコ属)がたくさんあった。食べたことはない美味しいらしいので記憶している。柄をとりバター炒めかオムレツ、またはすまし汁が絶品と聞いている。
ムラサキフウセンタケ(フウセンタケ科フウセンタケ属)とムラサキアブラシメジモドキ(フウセンタケ科フウセンタケ属)の鑑定には恐れ入った。これは研究者じゃないとわからんと思う。よく見ると確かにひだの色が違う。
皆の関心を一番ひいていたのはヤグラタケ(キシメジ科ヤグラタケ属)。私も2度目だが、その時のものは真っ白だった。成熟すると中央部から粘土褐色の粉塊(厚膜胞子)になるのだ。
昨日草津で見たハツタケの仲間としたキノコは、このキチチタケ(ベニタケ科チチタケ属)だったかも知れない。傘に濃色の環紋がある。
チョウジチチタケ(ベニタケ科)も私の図鑑に載っていない。あー困る。
クサウラベニタケ(イッポンシメジ科イッポンシメジ属)は食菌ウラベニホテイシメジに酷似するため、キノコをやる者は避けては通れない。しかしウラベニホテイシメジもあんまり美味しくないらしいし、両方食べないのが妥当だと思う。
カワリハツ(ベニタケ科ベニタケ属)は傘の色が紫・淡紅・青・緑・オリーブなどさまざまになる。嬬恋牧場付近のミズナラ−シラカバ林でよく見た。写真は鶯色型という。他のベニタケ類との見分けるにはひだを少しちぎって揉み、粘りが出て糸がひけばカワリハツだという。
ホテイシメジ(キシメジ科カヤタケ属)と鑑定されてしまったこのキノコ。…うーん納得いかない。クリーム色じゃなくてネズミ色だし、傘の縁がホテイシメジよりもしっかりしているように見える。しかしホテイシメジも場所によってずいぶん個体差が出るという。
最後のどう見てもマスタケなのはシロカイメンタケ(タコウキン科オオオシロイタケ属)だという。なんじゃーそら!外見は酷似しており、鑑別の方法はキノコを90度に曲げてみて、折れてしまえはマスタケ。シロカイメンタケはよくしなり、折れないのだという。しかし匂いは確かにマスタケの匂いだ。山地では実際にはシロカイメンタケもマスタケとして出しているに違いない。私が以前食べたのもどっちかもうわからなくなってきた。
今回の講座で仕入れた話で書きそびれたものを。
日本のキノコはまだ1/3は名前がついていない。だから山で採ってきたキノコが半分から1/3しか名前を付けられないのは当たり前。
クサウラベニタケは苦くないが毒、ウラベニホテイシメジは苦いが食用。だからニガクリタケのように噛んで苦ければ・・・というのは通用しないものが多い。
アルコールの分解を阻害するキノコはホテイシメジの他に、ヒトヨタケである。食する前3日、後7日は飲酒現金。
シイタケでも火を通してないと中毒することがある。火をきっちり通すためには、やっぱり煮るのと油いためが一番。
年配の人ほど中毒を起こしにくい…などなど。
今回のイベントで、私の図鑑、山渓カラー名鑑『日本のきのこ』では役不足なのだということがわかった。松本講師のお奨めは原色日本新菌類図鑑であるようだが、どうする?買うか、買わざるべきか…。