浦野インタープリターと歩く吾妻渓谷(その2・道陸神峠むかし道コース)



浦野さんの案内で吾妻渓谷の自然観察、歴史学習をしています。途中、吾妻渓谷の中に残るむかし道(道陸神峠道)に寄り道し、観察/調査した時の様子を抜粋して記載します。
通常の吾妻渓谷散策の様子はこちら↓
http://d.hatena.ne.jp/akagi39/20121121/1364034342


※以下の記述は全てが浦野さんの解説ではありません。私・赤木道紘の個人的な見解を多く交えて記載していることをご承知ください。




  


国道145号線、公衆トイレの先から、山の中に分け行っていきます。




  


始めは結構な急坂ですが、藪になっているわけではないので、通れない道ではありません。




  


わずかに残る道かたを頼り、登っていきます。そのうち、斜度のゆるい広々とした場所に出ます。







驚きました。見通しのきいた天然林。こんなに気持ちのいい場所があったなんて。晩秋だというのに森の息吹を感じます。生命の生死と成長の循環サイクルが活発に動いているのがわかります。







いつまでもいたい森ですが、そうもしていられません。先に進みます。




  


ふかふかの落ち葉の絨毯を抜けます。趣ある大木がざらに見られます。







コシアブラの巨木に見えます。だとしたらすごい大きさです。もしかしたらタカノツメかも知れません。緑の頃にもう一度調べる必要があります。(※メグスリノキの可能性が大




  


その先は次第に道かたが狭くなってきます。途中、山賊でも潜んでいそうな岩窟が。




  


これが道路開削時の協力村名が刻まれた磨崖碑です。文字を解読したかったのですが、どうも光の加減で読めません。




  


足を踏み外したら滑落しそうな片斜面です。




  


恐る恐る、丁寧に…。ここを一般の方をお連れする時は、ロープを渡すと良いかもしれません。その訓練場所としては最適かも。やがて、道かたも広くなりました。




  


ここが道陸神峠要害、戦国時代の砦の跡地です。加沢記によると、永禄6年(1563年)に、武田信玄の命を受け、真田幸隆が吾妻の地侍と共に四つのルートから岩櫃城を攻めています。その内の一つのルートにこの旧道を使ったとありますが、他の古文書では結局この峠を越えられなく、別ルートを通ったというものもあるそうです。


その後、江戸時代の1700年代後半には野口円心という僧侶が全国を遍歴し、托鉢で浄財を募り、道陸神峠−久森峠−釣鐘−鬼岩の開削工事に喜捨したそうです。


弘化3年(1846年)、元治元年(1864年)には民衆による大開削が行われ、この両年の開削助力村を記念に銘刻したのが樽沢にあった磨崖碑ですが、鉄道工事の際に破壊されてしまったそうです。先ほど観察した磨崖碑も、樽沢の磨崖碑と関連は予想されますが、建碑年度は不明です。(久森峠にも石碑があり、助力村60余名との記載あり。)


明治28年(1895年)群馬県会議員・野口茂四郎が政治生命をかけ、自己の全財産をなげうって開削資金に充て、野口新道を開通させました。本人は破産しましたが、これによって吾妻渓谷が天下の名勝として世に出ることになります。




  


この道陸神峠砦の付近で、北側の崖に大きな樹木が見えます。思わず登ってみました、立派なトチノキでした。







樹の上ではこんなこともできます。これが本当の休むという漢字です。




  


しかし谷側はこんな光景。目がくらみます。小板橋さんにも乗ってもらいましたが笑顔がこわばっているような気が…




  


メグスリノキが多い場所を抜けて、先ほどの狭い片斜面を進みます。





帰り道では、磨崖碑に刻まれた村名が光の加減でよく見えます。横谷村、松尾村、河原畑村…。道陸神峠道と一緒にこの碑も埋もれて行ってしまうのでしょうか。




  


この磨崖碑も、旧道も、このケヤキの根が道かたを作ってくれているから進めます。感謝。
ふかふかの落ち葉ロードをぬけて、




  


イカ星人のような形をしているのは養蜂の巣箱でした。この辺りは本当に気持ちがいいところ。お弁当を持ってピクニックに出かけたいくらいです。




  


撤去されなかったワイヤーが食い込んだ樹木。数十年前のものでしょう。




  


ようやく、下まで降りてきました。トンネルの名前を確認したところ、「道陸神」の文字が。確かここはダムには沈まない場所。このトンネルを利用したエコツアーも、やがては考えられるのかもしれませんね。






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