道陸神峠の上部尾根を理解する



先日、

道陸神峠〜屏風岩〜雁ヶ沢城跡(吾妻渓谷を山ルートで長野原町から東吾妻町へ)
http://d.hatena.ne.jp/akagi39/20140412/1397462616


を歩き、屏風岩の上を通って雁ヶ沢に出るルートは確認しました。
しかし、いかにインディー・ジョーンズ気取りの私でもこのルートはエコツアーではちょっと危険すぎて無理と判断。忍者育成コースは取り扱いたくありません。


しかし、道陸神峠の上部は大木がたくさんあり、またゆったりとした樹木の間隔、樹種の豊富さ、そして林床が笹に覆われていない…等、冒険探検するには絶好の場所です。なんとか「吾妻渓谷の尾根道探検エコツアー」を設定できないかと、もう一度、道陸神峠の上部を歩いてみました。



    


屏風岩の上は、もちろん絶壁ではありますが、下から見てもわかるとおり、絶壁の上に樹木もいくらかあり、土壌もあります。高所恐怖症でさえなければ、行けないことはありません。さて、今日はまず道陸神峠の近くまで行って、すぐに左手の緩やかな尾根を登ります。



    


右手に、道陸神峠への道の、旧崖を横切る道が見えます。この尾根を登ってしまえば、通る必要がない道です。つまりは、かつての道陸神峠道とは尾根道ではなく、屏風岩の下を通る道だったと考えられる訳です。先日お会いした富沢且美さんも、樽沢トンネルのあたりに商売をやっている家があったと仰られました。
上部は、なんとなーくですが古道の道かたが残っているようにも見えます。



    


おや、この山塊では珍しい石があります。この感じ、吾妻渓谷形成由来の石ではありません。比較的新しい火山の石、浅間山の石によく似ています。ここは標高600〜650mのあたりです。1783年浅間山噴火の時は千人窟(標高500〜550m)までは土石なだれが来たそうですが、それよりも100m高い。火山学者達に知らせたら、面白いことになりそうですね。
この後、先日歩いた、最近の道かたにぶつかります。尾根をそのままたどってもいいですが折角なのでこの道を行きます。



    


このむかし道を歩くと、最後の方は道かたがわからなくなり、谷に出てしまいます。しかし、この、太い枝を切った跡がある古株が、その道が正道だったことの証でしょう。枝の大きさからして、道を塞いでいたと思われるからです。
ここから、左のゆったりとした森に入り、上部の尾根を目指します。道かたはあるようなないような、です。



      


尾根に出ました。向かって左側は絶壁で登れるところは無し。右側の沢の中も覗いてみますが、斜めに登ってくる道はなさそうです。





ヤマガラが出てきました。可愛いですね。



      


両部の皮を食べたのは誰の仕業?このあたりの尾根道は、比較的歩きやすいです。





おお、あれはクマタカか?頭の上、30m位のところを飛んで行きました。



  


尾根上に、ブナを発見しました。吾妻渓谷や王城山の遊歩道ではイヌブナしかみませんでしたが、まさかこんな尾根にあるとは。そういえば志賀高原笠ヶ岳でも尾根だけに分布する現象が見られました。土壌が動きやすい斜面では生き残れないのでしょう。



    


この先、ちょっと頑張りが必要なところがあります。地面が濡れていなければ、怪我をするほどの滑落はしないと思いますが…





頑張った後には、景色のご褒美です。でも、ここはちょっと足場が悪いかな。



      


地図のとおり、茂四郎トンネルの真上のピークにいるのですが、測量点、三角点があります。国土地理院の地図では三角点のない、隣のピークに標高が示されています。おかしいですね。間違って記載されてしまうことってあるのでしょうか。



    


左から、今登ってきた尾根、高間山に続いている尾根、雁ヶ沢に続いている尾根です。



    


雁ヶ沢への尾根は、最初は4本足で降りなくてはなりませんが、やがて、とても広くて日当たりの良い尾根に出ます。ここでお弁当を食べたらどんなに気持ちが良いことか。そして、先日歩いた、見覚えのある尾根が出現しました。



      


上は見るだけにして下に降り進みます。先日、中途半端にしか下見できなかった尾根を最後まで歩いてみます。





おお、一枚岩がそのまま尾根になっているところもあります。下りは怖いけど上りなら大丈夫でしょう。大滑落はしなさそうですし。



      


どういう訳か小さな上りがいくつかあって、やがて平らなところに。この後が下るのはちょっと怖いところ。ロープを垂らして差し上げるべきでしょうね。





でも、下から見上げてみれば、下るのはキツイですが上りなら行けそうです。



        


そして、獣により踏み固められただけとは思えない、この道。人が使っていたに違いない、と思うのです。



    


おや、ここにもブナが…と思ったとたん、左の崖から大きな顔がゴソゴソっと出てきました。げ、熊撃退スプレー持ってくるの忘れた! じっとしていたら、この急崖をピューっと横切って逃げて行ってくれました。こんな急崖をあんなに早く走って…すごい身体能力です。向かってこられたらアウトでしたね。この落ち葉の不自然な凹みも、彼の仕業なのかな?



    


この先に周りから目立つ一本松があり、その下はやや急になっています。このあたりで、ようやく左手に屏風岩が見えます。屏風岩は、それを含む一つの尾根から見たら、かなり下の方にある、小さな岩壁だった訳です。



      


この下は尾根から徐々に丘陵−谷へと変化するところ。この位の斜度なら、充分登ってこられます。あ、カモシカ発見!



      


このミズナラや、このケヤキが目印です。そして尾根らしいところに登り出たら、一本松の下で右手に屏風岩が見えたら正道です。わかりやすいです。当たり前のことですが、むかし道は基本は尾根道のはず。辿っていくと谷に出るのは、別の尾根から上りたいから谷に出るようになっていたんですね。昔から、この尾根から登っていったのだと思います。




そんなことで、これが今回の下見の成果品です。


赤ルートが、いずれ設定したい「吾妻渓谷の尾根道探検エコツアー」 (左回り)


緑ルートが「道陸神峠付近から雁ヶ沢口に行く最短ルート」 です。


本格的なハーネスは必要ありませんが、ロープで簡易ハーネスを作って装着して、クライミングまがいのことをしながら、スリルと秘境を楽しむ尾根道エコツアー。面白いと思うのは私だけですかね?






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