吾妻渓谷ハイキング下見



来週のお客様の下見で、吾妻渓谷ハイキングコースを歩いてきました。
今年の春からダム本体工事が始まり、ハイキングコースへの影響が具体化しています。


吾妻渓谷ハイキング 〜ダムに沈む前に〜
http://ecotourism.or.jp/hiking/agatsumakeikoku/index.html





新しい「八ッ場大橋」の開通は10月1日。もうすぐです。



      


足元の野草を確認。

ヤマボウシ(ミズキ科ミズキ属)の実がもうすぐ食べ頃。





これまでの「八ッ場大橋」の上から振り返ります。今、立っている「八ッ場大橋」は沈み、あの高いところにある大きな「八ッ場大橋」として生まれ変わるのです。

  • 昭和8年(1933)八ッ場大橋完成 車往来が可能 省営バスが通る
  • 昭和20年(1945)第二吾妻川橋梁完成 貨物専用の鉄道・長野原線開通 鉄鉱石の運搬からやがて客車便へ

そして平成32年(2020年)八ッ場ダム試験湛水開始の予定だそうです。



  


滝見橋は明治31年(1898)に完成し、吾妻渓谷を馬車が通れるようになりました。しかし、もう滝見橋には通行止めで行けません。あのすぐ後ろでダム本体工事が行われています。



  


滝見橋へのバリケード。橋の解体も始まっているようです。



    


流路口のすぐ下流あたりにダム本体ができる訳ですから、ここには巨大なコンクリートの塊が立ち上がるわけです。真ん中の写真、どうもあそこには岩脈がありますね。しかも枕状溶岩のように見えます。吾妻渓谷には2百数十年前に地下の岩盤の割れ目にマグマが貫入してできたとされる岩脈(ダイク)があちこちに見られます。しかし、あれが枕状溶岩だとなると、あの割れ目は水中にあったことになります。


1000万年以上昔、海底火山の時代にできたダイク? ダイクは地中でできるとは限らないのかもしれません。



      


見慣れない樹木はアワブキ。ホオノキの葉に似ているが一回り小さく、冬芽に特徴があります。



    


コセンダングサ(小栴檀草、キク科センダングサ属)。外来植物は何度みてもすぐ忘れます。この位置にダムができます。



  


今よりも80m程高いところが堤頂となります。するとあの小蓬莱と大蓬莱はどう見えるのでしょうね。その間にある旧国道が通れなくなったら、この「龍頭岩」は誰も見ることはできなくなりますね。



    


さて、ミズキのようで少し違う、これはクマノミズキ。葉は先端に集まってますが、よく見ると対生になっています。皮目も、ミズキ程、長くありません。



    


こちらが、普通のミズキです。サルナシの実もまもなく熟します。



    


ヌルデの実も間もなく熟します。かつてはこの実からロウを採取していたそうですが、その採取の仕方を伝統的に行っているケースを私は知りません。もうその技術は絶えてしまったのでしょうか…。以下に同種のハゼノキからの木蝋採取方法が載っています。


葭矢崇史「ハゼノキを利用した簡単な木蝋の採取方法」(PDFファイル)
http://nature-sanbe.jp/sahimel/muse/papers/pdf/06_67.pdf


ヌルデの付子(フシ、或いは五倍子(ゴバイシ))も、新旧があって見ごろです。



    


キブシ(キブシ科キブシ属)は今から来春の花序が出ています。紅葉台は立入禁止。事故でもあったかな?松谷トンネルは通行止めで片側交互通行。うーむ、吾妻渓谷の旧国道はハイキング愛好者を拒絶していっているように見えますね。



    


シデの実が凄いこと。対岸に見える目立った巨木は恐らく「ミズメ」でしょう。



    


八丁暗がり、龍ノ剣磨岩(りゅうのけんみがきいわ)もいつもと変わりなし。おや、コナラってこんなに葉裏が白かったっけ?



    


松谷トンネル出口付近から、吾妻川に降ります。ハイキング案内看板に「川原湯温泉駅1.7km、岩島駅4km」とあります。ここは東吾妻町ですが、恐らく長野原町が取り付けた看板なのでしょう。



    


鹿飛橋を渡り、



    


吾妻川右岸に来ました。クルミの果皮を剥き、中の種子を持っていったのは誰かな?





吾妻渓谷の森の風景写真で、いつ撮っても期待を裏切らない樹木、場所がここ。スラッとした三又の樹木が神々しいです。



    


吾妻川右岸側は森林浴に最適です。巨木、花々、野鳥、渓流の水音…



    


開けた平らな場所。今日は通り過ぎます。確認したいところがあるのです。



    


さて、ここが夏の大雨で崩落した場所ですね。当然ながら、鉄柵ごと流されています。通行止めと聞いていましたが、土砂倒木が除去されていて、通れるようになっています。これはありがたい。



  


三本の樹木がまとまった場所、ここから吾妻川方面を撮るのも綺麗です。どうやら、川床に近いところの岩が青く映る模様です。



  


本当に見晴台まで来れちゃいました。ダム工事現場が丸見えです。





いやいや、まさか今日、ここに来られるとは思っていませんでした。来週のお客様も、喜んでくださることでしょう。



  


帰り道では写真素材をさがしつつ、



  


龍ノ剣磨岩むかいの平らな場所まできてハッとしました。この平らな地形は、吾妻渓谷の中では、どう考えても不自然な地形です。「神が創りたもうた尊き場所」かもしれませんが、もしや戦国時代に作られた砦では…?いや、まさか、まさか…



  


吾妻川左岸にわたります。屏風岩は、いつ見ても全貌がよく見えません。



    


フサザクラ(フサザクラ科フサザクラ属)の実もいっぱいついています。



    


このさらに下流にあるのが日本で最も短いトンネル・樽沢トンネルは全長約7.2m。この角度で向こう側が見えています。間もなくJR吾妻線付け替え完了になるので電車が通るのは見納め。たくさんのカメラマンが狙っていました。



      


こちらはハクウンボクエゴノキエゴノキ属)。赤い樹皮に包まれた一年生枝は、冬にそっくり剥げ落ちてしまいます。膨らんだ葉柄基部の中には来年の新芽(冬芽)が隠されています。





龍ノ剣磨岩まで戻ってきて、さっきの、吾妻川右岸砦説を地形から思案します。もう少し下流に「姥子平砦」があったことは間違いないとされています。「龍ノ剣砦(仮称)」は低い位置ですが、当時の対岸は絶壁で攻めては来られません。というか、古から、「死を覚悟して行き来した」とされる吾妻渓谷。どこからだって、軍を率いては攻めようがありません。


しかし、大きな滝がないことから、川床を進む…という可能性はゼロではないと思います。その際に、上から投石や丸太、矢などを落下させる基地があったら…そういうことに使うには絶好の場所です。やはり、この場所で人工的に造成した台地だとは思えませんが、戦国時代には何らかの役目は持っていたことでしょう。



  



川原湯温泉駅前で、特急草津号が横切っていきました。ここを通るのもあと2週間程。もしかしたら、私もここでの草津号は見納めかも…次は、新しい線路で会いましょうね!



吾妻渓谷ハイキング 〜ダムに沈む前に〜
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