吾妻渓谷ハイキングご案内(大学生文化交流ゼミの皆様)



今日は首都圏の大学の生活文化ゼミの皆様を吾妻渓谷にご案内しました。


今回の合宿では、八ッ場ダムに沈む川原湯温泉を訪ねて、一日目、二日目は村人からお話を伺ったり、学生さん同士で意見を交換し合い学習をし、最終日のレクリエーションとして当協会のエコツアーにお申込みいただきました。ダム建設が進む前の自然のことや、それでもなお残る自然の素晴らしさについてガイドしてほしい…とのことでした。ご指名いただいて大変ありがたく、感謝申し上げます。


吾妻渓谷ハイキング 〜ダムに沈む前に〜
http://ecotourism.or.jp/hiking/agatsumakeikoku/index.html



  


JR吾妻線川原湯温泉駅。ここの利用は9月24日まで。一週間前にお越しいただきました。


これまでの「八ッ場大橋」の上から吾妻川と滝見橋を眺めます。今、立っている「八ッ場大橋」は沈み、あの高いところにある多きな「八ッ場大橋」として生まれ変わります。



  


竜頭岩、鹿飛、磨岩、龍の髭などの名所を観察し、吾妻川右岸へ渡ります。「鹿飛橋」は、本来の「鹿飛」と呼ばれる場所と位置が違うので、私は変えるべきだと思います。「布袋橋」なんかはいかがでしょうか?



  


そして、私の大好きな場所へご案内します。今日、新たに気がついた、竪堀のような地形…



  


どうして、どうして!吾妻渓谷の中でも最も谷が狭まる吾妻峡の真上に、こんなに広い大地があるなんて。ここを、龍ヶ平と呼ぶことにします。



    


もちろん、神様が造った景観であることには違いありませんが、切岸のような段差など、人為的な部分も感じられます。私は、ここに戦国時代の頃、砦があったに違いない、と考えています。吾妻渓谷は上流の砂防工事が十分でなかった戦前の頃は、もっと土砂が多かったらしいので、川床ももっと浅かった、と考えられます。吾妻渓谷を、滑落を覚悟の上で岩の上を通る方法の他に、板のようなものに捕まって身を浮かせながら川床を歩く、という方法もあったのではないでしょうか。そちらの方が命の危険が少ないような気がするのです。


川を下ってきた敵兵を待ち受けるのに、最適な場所。この場所から谷底へ向けて矢を射られたら…。ゾッとしますが、可能性はあります。かつて人間が地形を変えたことがある場所というのは、何か感じるものがあります。それは私だけではなく、たぶんみんなそうでしょう。それが、地球の生命種が集団として生き残ってきた証でもあるのですから。伝えていなくても解る。誰もが第五感以上のものを持っているのです。



  


龍ヶ平から自然歩道に上がる時が、一番の難所だったかもしれません。



  


その後は、吾妻渓谷の渓畔林を眺めながら移動しました。





どうですか、本当に美しい渓谷でしょう。若山牧水与謝野晶子など、様々な文人がこの渓谷美を絶賛してきました。このあたりは、大丈夫。ダムには沈まないんです。



  


見晴台まで来ました。あともう少しで出発地点…なのに、ここから先の道はダムが完成してからじゃないと再開しないそうです。〜〜んーなことで、喉を潤してまた出発です!



  


ミズメの巨木。吾妻渓谷右岸の森林ではマザーツリーの一つとして、多くの生物を養っています。いつもの三又ケヤキに挨拶して、





鹿飛橋を渡って吾妻川左岸へ。どうですか、吾妻渓谷の自然と十分に語り合っていただけましたか?



  


旧国道を通って川原湯温泉駅へ向かいます。ダムに沈むエリアに、大正6年(1917年)に岩島運送業一同と長野原運送同業組合で輸送の安全を願って建立した「馬頭観世音菩薩」の石碑がありました。この道の通行安全を願って建てられたものですから、新しい場所に動かすというのはナンセンスなのかもしれません。このまま、道と一緒にダムの底に沈むべきなのでしょう。それが一番良いのでしょう。






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