香草源泉へ再び

mixiマイミクの温泉ソムリエ・松島伸安さんに白根の秘湯・香草源泉(かくさげんせん)のことを話したら、さっそく行こうということになった。インタープリター会メンバーにも声をかけたところ、杉田さんとSYさんが来てくれた。本当はもっと希望者がいたのだが、四阿山登山道の整備が入ってしまったのだ。

かつて香草源泉を引湯した一井別館のためにつくられたという通行止めの道を歩くと、途中に不自然な祠がある。きっと、ここに昔はお地蔵さんがいたのだろう。

大きなカモシカが見送ってくれた。悠然と私たちを見下ろしていた。

毒水沢の脇にあったシャクナゲは、とても大きかった。15m位あったんじゃないかな。


  


1時間ちょい歩いてようやく毒水沢に。どうもこの霧で草木が濡れてしまっているようだ。カッパはズボンだけでもはいていくことにする。

毒水沢は初めは大きな石がごろごろしていて歩きにくいが、すぐに歩きやすい川底となる。増水していない場合は、トレッキングシューズで大丈夫。


  


すぐに、大きなポットホール(甌穴)がたくさん見つかる。松島さんもさすがは全国の温泉地を渡り歩いているだけに、「四万温泉にもありますよね」とすぐに仰った。

ポットホールの赤ちゃんも見つかった。これを子供たちに見せてあげたいなあ。

いよいよ、両側の岸壁が険しくなってきた。滝が近いのだ。


  


狭くなってきた川幅も、滝の前で少し広がる。落差20mの滝はこのコースの見所の一つ。

どこから登る?なんて余裕しゃくしゃくの安田さん。


  


滝の脇には実はロープがかけられてあって、それを利用するとたやすい。しかしこういう場合は普通、ロープは頼っちゃいけないのだと。

滝の上に登ると、去年はさらに右の斜面の藪の中をひたすら登ったのだが、今年はこのまま川の中を攻めることにした。大丈夫だろうか?ここは一番目の源泉。去年は鳥しか入れないぞ?と思ったものだが、川を行ってみると思ったほど難しいルートではなかったようだ。

杉田のおねえは、いつも麦わら帽子スタイル。沢登りや藪こぎじゃあ、邪魔になるような気がするのだが…まあ、私もスニーカーでよく軽登山するので人のことは言えないのだけれども。好きな格好で山に入っても、山に深く敬意を払い、畏怖し、感謝と謙虚の心さえ持っていれば、山は私たちをひどい目にあわせたりはしないもんさ。


  


一番最初の源泉をクリアすると、あとは川沿いで全然大丈夫。なんと、このルートが正解ルートだったのか!以前の斜面藪こぎルートより30分は短縮できる。

そして安田さんは行かなくていいのにキツイところを攻める。つられて松島さんも。まだまだ何があるのか解らないというのに…。

そしてようやく、待望の湯船の場所へと到着。これだ、この風景だ。まさに深山幽玄。


  


安田さん、「ふっふっふ…」と不敵な笑い。

崖に鉄筋が刺さっているのは、恐らく一井別館に湯を引いた引湯管の跡なのではないか?

それにしてもずいぶん緑色だ。前に来たときはこんな色はしていなかったのだが…恐らく最近は有名になってしまったので、この湯船の形でしばらく使われているのだろう。それで、何かが繁殖しているのだ。


  


そして、私はさまざまな雑誌やインターネット情報を見てきて、どうもここが最終地点だとは納得いかない。後ろの風景が違っているように思うのだ。まだこの先に源泉があるに違いない。そう思って、一人進むことにした。

一つ目の滝を越えると、確かに一つはあった。しかし、何とか湯船を作れるくらいの湯量…そしてさらに進む。

左側の象徴的な岩の真下あたりまで来たところで、本能的にヤバさを感じリタイア。無理は禁物、さあ戻ろう。


  


そして戻ってみると…おっ、早速やってるやってる!

まあまあこの景色なのだから、入らないほうがおかしいよな…しかしオイラは入ると仕事したくなくなっちゃうので、この後の仕事のために止めることにした。

油断している男の裸を、杉田のおねえが後ろからパシャリ!ってもう少し違うシチュエーションだったと言い訳していたが、この映像で言い訳が通用するとでも…?


  


右が温泉ソムリエの松島さん。万座温泉ホテルの手ぬぐいが嬉しいこと!左がインタ−プリター会の安田さん。安田さんの方が楽しんでるんじゃない?!

しかし松島さんは二つの湯船を交互に何度か入り、その味を嗜んでいる様だった。うーんさすがだ。

そして、湯船の中の緑色の物体は何なのか触ってみると、藻のような感触ではなかった。もっと小さなもの、指でこすると粉のように溶けてしまうような…あっ、これが酸素のなかった地球に酸素を作り出していったシアノバクテリアではないか?うーん、たぶんそうだろう。この場所に来年来る時は、顕微鏡を持ってこようかな…。


  


さて、お名残惜しいが帰るとするか。この頃になると晴れてきて、少し残念。また来年来るからその時はゆっくり入浴させてもらうよ!

下から撮ると結構なところを歩いているのだということがおわかりいただけると思う。


  


そして1番源泉の崖に到着。ここを降りるのよ?

杉田さんも上手じょうず。女性ながらにして身の軽やかなこと。すみませんが一般の方は真似しないでください。きっと怪我します。


  


松島さんの話では、この源泉は9番まであるらしい。帰る途中、?という字を発見。ん?順番がわからなくなってきたぞ?しかも私が最後に見つけた源泉は番号がない10番らしい。これはまた、確認しに来ないといけないな。

本当は頼っちゃいけないらしいロープを利用して、滝の下まで降りた。


  


帰り道では、ツキノワグマの足跡に遭遇。もしかしたらこれは、私たちが温泉に入っている間につけたものかもしれない。ヒョー!

しかも藪にはマムシが!ストックを使って捕まえて、しばしマムシ観察。川の中に投げると、スイーっと流れていった…が、私を狙って待ち構えていた!やるかこのやろう!!!…とはナチュラリスト・ネイチャー木村は言わない。

ごめんなさい。もうしませんから、お願いだから通してくださいませ。


  


時間がないのに杉田おねえが大平湿原に行くって聞かない。もう諦めて湿原でコバギボウシの種の熟し具合を確認するために行くことにした。途中、橋が流されたのであろう川を渡る。

しかし、着いたのは広い笹薮。植林もしてある。これが湿原?コバギボウシの影すらない。ハァ〜がっかり。

それでも、私たちが登ったであろう沢の付近が見えていた。帰ってから調べると、実際にはこの沢のもう一つ右側の沢だという事が解かった。いつか上から挑戦してやろうと思った。