こんこんぞうり と ねどふみ



中央ろうきん助成金http://www.rokin-ikiiki.com/program.htmlに、今年は落選し、自主的な地域文化保存活動として小さく継続していこうとしていた「ものづくり伝道師浅間・吾妻塾」でしたが、群馬県の他の助成金に応募してみることにしました。


昨年は平草履までしか作成体験できなかった草履づくり、今年こそはこんこん草履までやってみたいと思っています。まずは山本茂先生のお家へ。





これが、90歳過ぎまでこんこん草履を編み続け、齢99歳で亡くなった、故・山本りゃうさん(茂先生のお母様)が使っていたこんこん草履の編み台です。この上に座布団を敷いて座ると、芯縄を引く時に足をあてれば力いらず。たいへんよくできた道具です。なるほど、やがてはこの道具もたくさん必要になるかもしれない…





こちらはすげむしろ編み台。うーん、ここまでは今年は手を広げられないかな?でも、本物を追求したいので、PPロープをスゲ縄でやりたいのは事実。とりあえず、スゲについて調べるために「ねどふみの里」に行ってみることにしました。



  


「ねどふみの里」は根広という集落にあります。中にいらっしゃった当番の方が一緒に、周囲で作っている方の作業場を回ってくださいました。おお、これが現役で使っている木槌ですか、これでコンコン叩いて形を整えるという…



  


こちらの家ではこんなにでっかい編み台です。重いので動かなくて良いのでしょうか?しかも上の引っ掛ける部分は2本です。そして現役の木型…



  


別のお家に行くと、皆さん集まりお茶会をしていました。こちらのものもやはり2本。希望を言ってご主人様に作ってもらったそうです。重いのは動かないので良いとか。出張体験指導をしていない様子がわかります。


さて、地域でも名人と言われる黒岩富士子さんの作業場におじゃまし、いろいろと拝見させていただくことにしました。やはりかけるところは2本。しかし形は山本りゃうさんのものに似ています。



  


長さは、やや山本さんの方が長く、横幅は黒岩さんの方があります。



  


角度は、山本さんのが直角なのに対し、黒岩さんは角度をつけています。



  


木型にも棒がついていて、真ん中には割れ目があって、ここに紐をかけるそうです。ん?紐なんて使うんですか?



  


編みワラの編み方を見せてくださいました。最初は手で巻き始め、そこを足の指を使って押さえて先の方まで巻いてゆきます。



  


編みワラのワラは、稲わらを使いますが、芯縄にはPPロープではなく、スゲ縄を使います。うーん本物だ!



  


いろいろ感心している間に、富士子さん流の編み方まで見せてくださいました。初めの作業は世立の平草履の作り方と同じですが、



  


この辺からもう変わってきました。つま先部分を木型にセットして、



  


前後を逆にして編み始めます。いつの間にか紐が混じっていました。この紐は、最終的には外すはずなのですが、綺麗に編むための工夫なのでしょうか?こんこんぞうりは奥が深いです。やはり、実践者にならないとダメですね。



  


黒岩富士子さんへのインタビューを終えて、もう一度ねどふみの里へ。中に入ります。ねどふみについての説明看板にはこう書いてありました。

ねど

  • 古来より草を温泉に漬ける処、寝かせる処をねどと呼んでいた。


菅刈り

  • 入山地区では毎年9月頃、女性達が総出で数日間菅刈りの作業を行った。各地区に菅を刈る場所が確保してあった。


菅干し

  • 天気が良ければ3日位干した。


ねど踏み

  • 旧暦のとうかんや(10月10日)をめどに干した菅を尻焼温泉まで背負って行き、温泉に漬けて足で充分踏み浮かない様に石を乗せ約10日間程置いた。
  • 温泉は自然の河川なので川の氾濫等で菅が流されてしまう危険も有り、比較的天候の安定している季節にねど踏みを行った。


菅製品は、養蚕の時に使用する「けい敷き」と呼ばれる物が多く作られた。昔は菅が大きな役割を果たしており、生活の中に無くてはならない物であった。

「ねど踏み」が終わる頃、冬の訪れとなる。外は白い雪の舞う中、菅を織る音が乾いた音色となってこだましていた。



これが六合村の「すげむしろ」です。


光沢があって、丈夫で、肌触りも最高。こんなゴザで寝てみたい〜。
ちなみに、「すげ」は漢字 or カタカナ or ひらがな どれにするか迷ってしまいます。菅筵、スゲ筵、すげ筵、菅ムシロ、菅むしろ、菅縄、スゲ縄、すげ縄、すげなわ、スゲなわ…どれが一番しっくりきますかね?



  



9月に行われていたという、菅刈りの作業風景です。今は恐らく、軽トラックなどで行き、山積みして帰ってくるのでしょうが、昔は野反湖(当時は野反池)まで歩いて行って、菅を刈って背負って村まで帰ってくることを何度も繰り返したとか。



  


こうして、3日間ほど干して、とうかんやの頃に尻焼温泉に持って行って10日間、ねど踏みをしたのです。





漬けた菅を乾燥させて、このような材料が生まれます。光沢があって、しっかりしています。稲わらとは全然違います。



  


そうして、とびっきり上等なムシロを編んだ訳です。今でも、すげむしろ織りは有料で体験できます。



  


この菅で、背負いびくはできています。ミノは、岩しばを使っています。



  


こちらは明るい色のびく。これは、シナノキの皮を経木のように薄くして干したものを紐にするのだそうです。これもまた、素晴らしいものづくりです!





これを紐にする…一体どんな風に? うーん六合村の、ものづくりをがっちり学んでみたい。私がマスターして継承者になりたい衝動に駆られています。



  



ねどふみの里では、根広ならではの、菅縄を使った頑丈なこんこん草履が売っていますし、スリッパ上に編み上げるための木型も売っています。とにかく目を見張るものがありますから、ぜひ皆さん、寄ってみてくださいな。






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