「ねどあげ」とこんこんぞうり編み 実施(2組目)



全三回の連続講座、「『ねどふみ』からやるこんこん草履づくり」
http://ecotourism.or.jp/monodukuridendoushi/nedohumi.html


の最終回では、これまで『スゲ刈り』『ねどふみ』『ねどあげ』『スゲ縄ない』などの作業過程を経て作った『スゲ縄』を使って、こんこん草履を作ります。会場の「ねどふみの里」のスペースの都合で2回に分けて実施しました。今回はその2回目になります。



  


先週『ねどあげ』したスゲは、もう十分に乾いたようです。今日の参加者は8名。ほとんどマンツーマンでご指導いただきます。



    


    


    


まずは富士子巨匠の編みワラづくりを取材。

  1. ワラを2〜3本持ち、根元の方を揃える。
  2. ワラとワラの間に布を挟め、くるくる巻く。
  3. 途中、あまりにも細くなるようだったらワラを1本足す。
  4. 根元の方を足指で挟み、先の方は両手を使って巻いていく(こうした方がしっかり巻ける)。
  5. 巻いていくと足と手の距離が遠くなってくるので、足指で挟む場所を先の方に移動させていく。
  6. 途中、ワラの葉が多いと部分的に膨れてしまうので、不必要な葉は取る。

      


先端まで巻いたら、通常は紐で結んで止めますが、ワラが長く出ているようだったら、そのワラを使って縛ってしまいます。こういうところはさすがです。





千代子巨匠は根元を決めた後、その根元を回転させながらそのまま上に持って行って最後まで巻ききっていました。今日のワラは叩きすぎていてやや柔らかく、初心者向きではなかったそうです。




スゲ縄がスムーズに引けるように、飛び出しているバリを切ります。



    


    


では、こんこん草履編みを開始します。まず図のように芯縄を形作って両足の親指にかけます。中芯2本に麻紐をかけてから、1本目を編み込み始めます。編む時は藁の先端の方を編み込んでいきますが、まずは根元の部分を芯縄に固定する作業を行います。中芯から根元が約20cm左に出るようにして、そこで根元の方を手前の芯縄に2回巻き、編んだ部分に麻紐を引き寄せ、右指でしっかり抑えます。



    


    


根元の方をもう一回巻き、中芯の裏側を通して、右側の外芯に、表から裏に巻きます。



    


    


それを中芯の表側から左に持っていき、外芯の裏から表に巻いて、中芯の後ろに回し、ギュッと締めます。これが1本目。



    


    


2本目は編みワラの根元を右手にし、中芯の裏側に挟めてスタート。右外芯の表から裏に巻いて、中芯の表を通り左外芯の裏から表へ巻きます。



    


    


そのまま中芯の裏を通り、右外芯の表から裏に巻いて中芯の間に挟めて押さえます。



    


    


3本目は編みワラの根元を左手にし、左中芯の上に編みワラがくるようにして、左側の根元を編んでいきます。左外芯を裏から表に巻いて、中芯2本を裏表交互に通します。最後は右外芯を裏から表へ巻きます。





3本目が編み終わりました。この、3本目の編み方を、左右交互にあと9本編みます。



    


    


4本目は編みワラの根元を右手にし、右中芯の上に編みワラがくるようにして、右側の根元を編んでいきます。右外芯を裏から表に巻いて、中芯2本を裏表交互に通します。最後は左外芯を裏から表へ巻きます。



    


ただし、12本目の最後は、外芯を裏から表へ巻く時に、巻いてきた編みワラの内側に挟みます。



  


ギュッと手前に押さえて、残しておいた編みワラを引っ張って、上下をひっくり返すと、





できました〜 12本足ガニの完成です。この上に木型を置いて甲の部分を編んでいきます。



    


ここで、千代子巨匠はひと工夫。木型の上で麻紐を常に張っておくために、足首に紐を巻いて結び、その輪と麻紐を結ぶことで張りをキープします。



    


    


甲の「覆い部分」を編みます。長く太目に作っておいた横芯に使う編みワラ4本のうちの2本を、麻紐の草履に近いところにぴったり合わせます。この時、奥の横芯は右麻紐の下に、手前の横芯は上にするようにして、互い違いに合わせます。
まず、奥の横芯(白色)を麻紐で折り曲げてから、右の一番上の編みワラから、木型の上に折り返します。手前の横芯(紅色)の上を通し、麻紐の下を通して押さえておきます。



  

  


次に、左の編みワラを折り返します。こちらは、手前の横芯(赤色)の下に通すので、麻紐で折り曲げてから編みワラを木型の上に折り返します。最後は麻紐を使って押さえます。



    


これを左右交互にやり、全ての編みワラを木型の上に折り返します。常に引っ張りながら編み、ひと編みしたらギュッと締めます。折り返し終わったら、甲の真ん中を上にギュッと押し上げて、麻糸を結びます。



  


全ての編みワラを下に引っ張ります。





木槌で、こんこん叩いて形を整えます。



    


    



(模様変わり失礼します)甲の側部を編みます。下から一つ置きに編みワラを折り返して行って、甲の真ん中、麻紐を結んだところまで来たら、まずは麻紐を底の方にまわし、その上に一番上の編みワラを重ねて下ろします。こうすることで、麻紐が露出しないようにするのです。



    


    


甲の側部を編み続けます。常に引っ張り、押し詰めながら。最後の一本を編んで2本の横芯だけになったら、その最後の一本と横芯2本とを三つ編みにして結んでおきます。



  


逆側も編んで、木槌でこんこん。



    


裏返して、残っている編みワラのうち、一番つま先に近いものから底を編みます。この編み方でこの向きだと、右の編みワラから。最初に通過する右外側の芯縄にかかっていない場合は、その芯縄で底から表へひと周りさせてから次に編み進めます。



    


中の芯縄を交互に通し、左外側の芯縄で折り返して、中の芯縄を交互に通します。巻き始めた右外側の芯縄は巻かずにやめます。→?本来はひと巻きしたかったのだが、短かかったからやめたのかも?



  


反対側に出ている編みワラを巻きます。こちらは、麻紐を一緒に倒して編みワラの後ろに隠した方です。麻紐を草履の先の方に引っ張り出してから、編みワラを編みます。



     


この編みワラは一往復以上巻くことができ、最後は中芯に挟めて終わりました。



    


左右の三つ編みを解き、横芯ではない編みワラ2本を底に編み込みます。
同様にして次々に編み込んでゆきます。



  


左右の横芯2本だけの状態までになったら、一度、木型にはめて横芯を強く引っ張ります。すると、波打った横芯が均等に引っ張られ、甲側面の凸凹がなくなるのだそうです。



    


    


横芯を編みます。上の横芯を底方向に折り、芯縄は順番的に内側から一回転させ、中芯縄に挟みます。つまり、これまでと同じ工程を辿ります。



  


編み終わったら、手前にギュッと引き締めると、甲部分の完成です!



    


    


    


最後に、かかと部分を編みます。真ん中に根元を入れて、先端を芯縄の間を交互に通していきます。編みワラを追加する際は、常に真ん中に入れますが、この編み方では、水色の編みワラが終わった後、次の赤い編みワラをその延長方向に編んでいたのに、その次の水色の編みワラでは逆方向に編み始めました。これは、向かって右外側の芯縄に最後に巻く時、2回とも続けて、中身のワラがほとんどない、布きれだけ状態になってしまったので、このまま編み続けると締めた時に右外側の長さが短くなってしまいます。それをリカバリーするために向きを変えて右外芯から先に巻いたものと思われます。



  


一往復を1段と数えて、かかとを編み出してから9段目までは普通に編み、10段目から幅を狭くしていきます。このように、かかと用の編みワラは3本で済ませます。男性用など、予め大きなサイズと解っている場合は、編みワラを太く準備します。規格外の足サイズだと、4本使うこともあるそうです。最後は手前にグッと引いて、





これで、こんこん草履の「編み作業」は終わりました〜!ご苦労様です。



  


  


芯縄を引いていきます。交互に、少しずつ、底の形を意識しながら。



    


    


底裏面の、余った編みワラを切ります。切った編みワラに残っていた布きれを再利用。適度な大きさにカットして、つま先の底から出ている芯縄に巻きつけ、縄を隠し、残っている麻紐で結び、余分な部分をカットします。最後の木槌打ち、こんこんこん…



  


最後の仕上げに、はみ出ている邪魔な部分、縄の刺とかほつれた糸などを、ライターで軽く焼きます。







こんこん草履、完成! v(`皿´)ノ~'' ヤッター!!


いやはや、本当に大変な「ものづくり」でしたね〜〜。

かなり頑張った感、達成感があります。


上の画像は、左が千代子巨匠のつくったもの、右が富士子巨匠の作り中のものです。…結構、形が違いますよね!! 本来、こんこん草履は奥様が家でコツコツ作るものですから、集落ごとでだいたいは作り方が同じなものの、細部は多少違ってきます。この、家庭ごとの個性の差もこんこん草履の味わいの一つですよね。



  


こんこん草履用の木型は、「ねどふみの里」で一つ3,000円で販売しています。作業しやすくするために、軽い木が良いとのこと。富士子巨匠の特製木型は、麻紐を掛け挟めるためのフックがついています。



  


脚が悪い千代子巨匠は、手作りの座椅子を持って見えました。これは非売品だそうです。でも、売り物にしたら絶対売れると思うのですが…?



  


自分でなったスゲ縄は、強度が弱く、このように途中で切れてしまうこともあります。これが、草履の中で切れると完全にアウトですが、これはギリギリで持ち直しました。
八代亜紀さんも近年、こんこん草履づくり体験にお見えになったようです。



  


最後は、希望者のみで藁たたき体験です。旧六合村根広地区では、今でも米作りは行っていませんから、藁は近辺在住の親戚や知人から分けてもらっています。大きな石の上に藁を束ねて乗せて、藁束を回転させながら木槌(きづち)で叩きます。藁が軟らかくしなやかになればOKですので、やり過ぎないようにします。1束につき5〜10分ぐらいです。


そんなことで、全三回の「『ねどふみ』からやるこんこん草履づくり」研修会を終了いたしました。皆様(読者の方も)、本当〜〜に、お疲れ様でした。





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