平草履づくり学習会(六合世立流)



今年度最後の「ものづくり塾」は、昨年も実施した『平草履づくり』です。


草履づくりに関しては既に今年は、根広の「ねどふみの里」で、『ねどふみからやるこんこん草履づくり』を行いました。しかし、根広の『ねどふみ』に関する一連の作業を、当地を訪れる旅行者に対して私たちが指導者となって体験を提供するのは、根広に住んで集落の一員とならない限り無理なことでしょう。なので、最も古くさく、手間のかかる、根広の“元祖”的なこんこん草履は、地域住民として記憶を伝承するために学んでおいて、来訪者にはもっと簡単に、作って持って帰れる体験商品があった方が良い訳であります。


後付けの理由ではありますが、そういうことで、平草履の作り方は世立で習い、体験指導者を目指します。



  


  


世立の「よってがねえ館」で、今年も平草履づくり学習会を行いました。ここはスリッパの代わりにこんこん草履が並んでいます。その横にあった樹木の年輪の置物を、私は見逃しませんでした。
樹木は、同じ樹種が近接して生えていた場合、そのまま肥大成長していくとやがてぶつかり、二つの樹木は結合するしか道はなくなります。そのため、ある距離まで近づくと、それまで一定だった年輪の幅が、まるでお互いを求めあうかのように急激に結合方向に偏って肥大します。

この置物は同じ幹から発生した枝が結合しようとして、偏って肥大成長する様を明確に捉えています。この置物を作った方がどういう思いで作ったのか、私と同じ考えで、生命が共に生きようとする現象の神秘を捉えようとしたのか、それとも木目が不思議だった、美しかったからこの置物を作ったのか、とても気になってしまいました。



  


今回は、こと細やかに作り方を解説はしません。詳細を知りたい方は昨年のレポートをご覧ください。


2013-02-27 平草履づくり(旧六合村・世立流)
http://d.hatena.ne.jp/akagi39/20130227/1371882341


まずは、つま先部分3段まで作ってから、編み方を変えます。



    


4本の芯縄を交互に通して編みます。





男用の草履を作る時は、指を横に大きく広げた状態で、端の芯縄をしっかり押さえて編みワラを折り返すようにします。



    


編みワラを足して編み続けます。





通常はここまでで編みワラ6本を使うところを、男性用の大きな平草履にするために、ちょっとだけ追加しました。白地に赤の模様が入った編みワラが、追加部分です。



    


つま先部分の三段のところに、前坪(つぼ)が来るようにして、鼻緒を底に編み込みます。鼻緒は編みワラ二本を左縄でなったもの。短い方を先に編み込んでから、長い方を編み込みます。まだ折り返さないで、片側二本を編んでから、もう片方の二本を編み込みます。





前坪(つぼ)の位置と鼻緒の張り具合を確認しながら、編み込みます。



    


次に、長く余った編みワラで鼻緒を内側から外側に一回転させて、そこに編み込みます。





両方を行うと、こうなります。右側、水色の編みワラが同じ向きに並んでいるように見えますが、鼻緒を底に編み込む時、両側を交互に一本ずつではなく、片側の二本を続けて編み込んでいるので、こういう現象が起こります。




この後、4本の編みワラを追加します。最後の一本で横幅を狭くしていき、かかと部分に丸みをつけます。この、底の編み込みの仕上げでスーパーテクニック。途中で追加し、一往復だけさせた編みワラの余った部分を、切り取ります。



    


その切り取った編みワラを、最後に編み込みます。一往復させて、



  


最後は外側から芯縄二本をまたいでかけ、これで芯縄を引っ張ります。



      


引っ張ったら芯縄を8cmほど残して切り、例の横三段の一つつま先側、横二段のところに麻ひもを「わっぱさみ」を使って通し、芯縄を止めます。止めてから、もっと短く、4〜5cmに切ります。



    


この「わっぱさみ」という道具をとにかく重宝します。前坪(つぼ)を作る際、底を麻ひもで往復させるために使います。前坪をよる時も、やはり左縄。草鞋は、神様のお履物なんでしょうか?ちなみに、撚りは一気にではなく、一回の手合わせで一撚りにし、4回分のよりをつくって往復させます。





自作の平草履、完成しました。昨年は撮ってマニュアルを作るだけだったので不完全燃焼でしたが、今回はようやく自分で手で編み上げることができました。いやー良かった。



  


余った時間は編みワラを巻いてみました。私の先生の編み方はこう。というか、鼻緒を左縄で撚るためには、この置き方で巻いていかないとダメのようです。

ウラさんは、なんと藁ではなく、スゲを使っていました。「編みスゲ」です。スゲはねどふみをしないと刺が残りますが、布で包むので関係ないとのこと。なるほど。



  


六合世立の編み台は、板に角材を立てて釘を三本立てたものです。編む人の方の角材の角部分を落としているものが多かったです。また、柱材に見られる「背割り」(乾燥による干割れを防ぐための溝)をそのまま利用し、こんこん草履編みの際に底を挟めるのに使うそうです。



  


底からはみ出ている編みワラをカットする際、あまり深く切りすぎると、このように天(表面)に編みワラが抜けてしまいます。こういうときはハサミ等を使ってまた押し込みます。



  


こちらは、とうもろこしの皮で作った平草履です。とうもろこしの皮は短いので、裏面のカットする部分が全て真ん中になるそうです。これも綺麗ですね。



  


早い人は二足目に挑戦しているようです。え!材料費ちゃんと支払ってよ?!



      


平草履づくり学習会終了後は、師匠方がたくさんの手作り料理でおもてなししてくださいました。いつも本当にありがとうございます。感謝致しております。





師匠方と、ハイ、チーズ。皆さんお疲れ様でした。



  


よってがねえ館のお隣の社には、今年も「削り花」が飾ってあり、上毛新聞記者のG様にもご紹介することができました。今年の荷付場での「削り花」づくり体験ができなかったことはとても残念でした。来年も、できれば平草履づくり学習会はやりたいですし、「削り花」づくりもぜひさせていただきたいなあ、と思う次第です。






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