「ねどあげ」とこんこんぞうり編み 実施(1組目)



全三回の連続講座、「『ねどふみ』からやるこんこん草履づくり」
http://ecotourism.or.jp/monodukuridendoushi/nedohumi.html


の最終回は、2週間前に温泉に浸けておいたスゲを引き上げる作業と、前回編んだスゲ縄を芯縄として使って「こんこん草履」を編みます。



  


参加者が集まってきました。中には自作の編み台を持ってきた方も。藁ぞうりが800円で売っています。インターネットで販売されているものはだいたい1,000円位しますよね。うちの沢登り用のぞうりもここで買おうかな…



  


『ねどふみの里』の足湯に浸けておいたスゲです。半分なくなっているのは、先に半分「ねどあげ」しておいて、今日、私たちがこんこん草履で使う芯縄をなっておいてくれたからです。シートをはぐと、ぷ〜んと匂いが漂います。ああ、納豆の匂いに似ていますね。



  


横にずらして、ほぐします。






かつては、尻焼温泉花敷温泉などの長笹沢川川床の温泉湧出地点で行われていた「ねどあげ」の作業風景は、この『ねどふみの里・足湯』に変わってからもうずいぶん経ちました(平成16年以降)。私は今年の「ねどあげ」が、長笹沢川で行われないことをひどく悲しみましたが、実際にはもうこの風景が現代の「ねどあげ」なのですから、無理に長笹沢川でやらないで良かったのかもしれません。



  


次々に引き上げます。





みんなで「ねどあげ」を共同作業します。みんなでやる、日本の原風景です。



    


    


「ねどあげ」したら、一輪車に乗せて運び、「スゲ干し」作業です。今日は近くのガードレールに。並べてかけて、風で飛ばされないように紐でくくります。



    


    


六合村根広では、今も昔も、農作業のない冬の間はずっと、奥様の家での仕事はわら細工、すげ細工になるわけですから、今日ねどあげした量では足りません。あげたら、すぐに次のスゲ束をねどふみします。


この過程は前回と同じです。乾燥させたスゲ束を温泉(足湯)に浸して(浮いてくるので足で踏んで沈めながら)、木の板で押し込んでさらに上に乗って押して、板の上に重石を乗せて敷き詰めたら建築シートをかけて、その上にも重しをのせて、最後にもう一回建築シート&重石を乗せて「ねどふみ」の完成です。



   


  


さて、中に入って「こんこん草履づくり」を始めます。まずは「編みワラ」を作ります。
太めのワラなら2本、細めのワラなら3本を持って、根元のワラとワラの間に布の先を挟め、先に向かって布を巻いていきます。巻いて重なる部分は最初のうちはやや多めにして、たまに伸ばしながら巻き幅を広く、巻きを強くして調整していきます。



  


  


このまま、手だけで巻いていくのもいいですが、腕を上げ続けるのもキツイので、足の指でワラの根元をつまんで布を巻いていく方法もあります。巻いていくに従って、足が遠くなりやりづらくなるので、足指でワラを挟む位置を手前にずらしながら行います。ワラの先端まで巻いたら、布きれの紐で縛ってとめます。

編みワラはこの、通常タイプを15×2本(一足分)。途中でワラを1本加えたやや長く太めのものを2×2本(一足分)作ります。


※布は幅3cmで、長さ120cm×15〜16本×2本(普通用)、長さ130cm×2×2本(長く太めのもの)



  


はみ出ているワラの先端は、ハサミでカットします。根元の方は、縛りもカットもしません。



  


前回、自分で編んだスゲ縄が良さげな人はそれを使いますが、私のような無理っぽい人は師匠たちが編んでくれたスゲ縄を使います。足にロープをセットして、真ん中の2本に麻糸を通しておきます。



  


今日は私も挑戦しながらなので、細かく解説は無理。ざっくりと行きます。つま先の一本目を編みます。編みワラの根元の方を芯縄に巻き付けます。これから編んでいく方ではなく、編んでいかない方をくっつける…というイメージです。2回巻いたところで、麻糸を先の方に寄せておきます。



  


  


編んで、指で引き寄せて…を繰り返します。これから編んでいく先の方は長く残しておいて、根元の方を編んで締めていきます。



  


左右6本の足が出ているカニができました。最後の一本の根元は、こういう風に手前に巻きます。





ここで裏返しにして、横芯となる長く太め編みワラを、麻縄に交互に挟めて2本セットします。



  


つま先を編んだ時に長く残した先の方、左右の6本ずつの編みワラと、横芯として挟めた編みワラとを編み込んでいきます。この時、セットしておいた麻縄が効いてきます。かなり力を入れて、ぎゅうぎゅうと寄せながら編み、網目の隙間ができないようにします。



  


甲の覆い部分の左右編み込みが終わったところで、麻紐を結びます。ここで、さらに残った編みワラをしっかりと引っ張ります。

※この、麻紐があるために、根広のこんこん草履は甲の部分がV字型になります。



  


  


甲のふちを編んでいきます。底の方から上側になる編みワラを持ち上げていき、Vの字のところ、一番内側まで来たら底方向に編み込んでいきます。常にぎゅうぎゅう締めながら。最初の作業で麻糸を一緒に編んで隠してしまいます。最後までいったら、横芯となった2本の編みワラを区別がつくようにくくっておきます。これを左右行うと、甲が完成となります。



  


甲が完成したら、さらに残った編みワラを交互に編んで底を作ります。



  


6本6本、計12本が編み終わったら、横芯の2本も左右交互に底に編み込みます。



  


底に編みワラを継ぎ足します。女性用なら3本、男性用なら4本がいいでしょう。この、最後の底編みで土踏まず〜かかと部分の横幅が決まります。最後の一本で丸く仕上げるのが根広流。



    


    


芯縄を引き、形を整えます。片方だけを一気に締めることのないように、2本の芯縄を少しずつ、交互に引っ張ります。



  


  


底の裏側の、編みワラが余った部分をカットします。おや、麻糸をもう一本通すのを忘れていたようです。ここで、「ミツ」と書いた竹を棒状に細工した道具が活躍します。麻糸を竹に挟んで底に通し、芯縄を布で巻いて隠し、麻糸で縛って止めます。細部まで配慮した美しい仕上がりに感激ですね。



  


途中の休憩タイムには、どこからともなく自家製の漬物や芋などが回ってきます。感謝合掌。
あれ、両脇を大御所お二方に挟まれ、滞っている方が一名… こんこん草履は自宅で、家庭仕事の合間を見て一人でコツコツと作る作業ですから、作り方はそれぞれ違うのです。



  


私の(作ってもらった)こんこん草履が完成しました!いやーいい色です。ミツさん、感謝です。
みんなで記念写真、ハイチーズ。


ねどあげ&こんこん草履づくり、第一回目の終了です。皆さん、お疲れさまでした。






人気ブログランキングへ にほんブログ村 環境ブログ エコツーリズムへ にほんブログ村 アウトドアブログ 野遊び・森遊びへ にほんブログ村 アウトドアブログ 自然体験へ