浅間山六里ヶ原と鬼押出し溶岩横断(トレッキングコース検討下見)



昨年、下々見しておいた六里ヶ原から舞台溶岩を歩くハイキングコース。しかしこのコースは、その後、浅間園から浅間山に登るコースとドッキングしている可能性があることが解かった。さらに、吾妻火砕流鬼押出し溶岩流の中をどのように流れたのかも興味がある。それらの真偽を確かめるためには鬼押出し溶岩流の壁を登らなくてはならない。そしてそのコースが一般の人でも歩ける程度の安全性が示されれば、新たな人気の景勝地、ハイキングコースとなるだろう。さらに浅間山まで繋がっているのならば、鬼押出し溶岩流の中を端から端まで横断し浅間山に登る、鬼押出し溶岩流横断浅間山登山コース」が浮かび上がってくる。




  


片蓋川を上る。浅間山火口から流れ出た吾妻火砕流はやがて溶結し、その先端部分が水の流路となり浸食され川となった。まるで片側が蓋になっているようなので片蓋川。吾妻火砕流を水が浸食していく様子も見られる。




  


水流で浸食された吾妻火砕流は、赤っぽい基岩の中に白っぽい石が入っている。再溶結した赤い岩の部分の方が早く浸食されるかと思ったが、そうでもなさそうだ。
しばらく進むと、だだっ広い六里ヶ原に出る。




  


吾妻火砕流が流れた場所の植生遷移状況は、片蓋川沿いはもうかなり進んでいるが、浅間山の北東方向はレストランブルーベリーのあたりまで進んでいない。
片蓋川を上ると、水流浸食による地層の露頭があった。




  


ちょっと覗いてみたところ、どうもおかしい。溶結した吾妻火砕流の上に、追分火砕流のように溶結していない層が1m位ある。はて、これはどうしたことか?




  


さらに進み、もっと大きな露頭を観察する。




  


ここでも、真ん中は今まで見てきた溶結している吾妻火砕流だが、上部と下部は溶結していないことが解かる。もちろん触って確認した。この層は全て吾妻火砕流のものと考えられるので、吾妻火砕流は温度の違うものが数回発生したのだろう。




  


浸食された崖をよじ登る。振り返ると広大な六里ヶ原。




  


北側を見るとかつての溶岩流が止まった跡が見える。鬼押出し溶岩流、上の舞台、下の舞台…となる。あちらに行く前に、浅間山に少し近づくと、大きな岩がポツンとある。




  


日陰の全くないところなので、ひと休みがてら立ち寄ってみる。岩肌には小さな鍾乳石の様なものがたくさんついている。クリンカーとはちょっと違うようだし、なんというものでどういう現象でできたのだろう?





さて、目の前の鬼押出し溶岩流に登ってみる。途中から見た浅間山方面。




  


登って見回してみる。現在の鬼押出し園よりは植生遷移は進んでいない様子。これが、上からずっと続いているのよく見える。




  


溶岩流の中に、座れるスペースがあったので思わず座を組んでみる。浅間山を背にして、パワーをもらえるかな?





とんがり帽子の溶岩。名前は何にしましょう。




  


溶岩流の壁を降りる。足元に気をつけて…




  


鬼押出し溶岩流の壁を左手に見ながら進む。やがて、道肩が出てくる。そこから舞台溶岩へ上る。





広大な六里ヶ原の上に、広大な舞台溶岩。さらに分厚い溶岩流の壁が続く。日本の風景とは思えない雄大さ。




  


振り返って六里ヶ原方面を見る。さて、この溶岩流をどこから登ろうかといい場所を探していると、




  


二つの溶岩流が重なり合うようになっている場所を発見。左側は凸凹が激しいが、




  


右側は平らな部分があるように見える。つまり、右側の方は吾妻火砕流鬼押出し溶岩流の上を流れ、溶岩と溶岩の隙間を埋めているのだ。よし、ここから登ろう。




  


最初は道らしいものが無かった道だったが、やがて人でも歩いた跡のようになっていた。進んでいくとツキノワグマのうんちが。そうか、ツキノワグマけものみちだったのか。クロマメノキを食べたうんちの様だ。





やがて、浅間山とご対面。右側の溶岩流が浅間園へと続く溶岩流。今回はその南東側の平原と溶岩流の方が気になっている。





その、南東の方に近づいていく。





おお、ブロック溶岩が下まで続いているのが見える。これこそまさに溶岩流。





ここからは、浅間園の溶岩流の中にある登山道に出る方法を探す。





北に向かって進む。正面に見えるのは四阿山





西側には浅間隠山が顔を出している。しかし、なんという光景だ。まるで月面





砂地が終わったところで後ろを振り返る。溶岩流と溶岩流の間にある不思議な砂地、どうやってできたのだろう?




  


さて、ここから下りるルートが見つからない。溶岩の割れ目はかなり深く、飛び歩くわけにはいかない。ガスが巻いた時はかなり危険だ。




  


手をこまねいていると、またもやツキノワグマの糞を発見。その先に熊が歩いた道肩が付いている。それをたどって、ようやく割れ目の深くない安定した場所に来ることができた。吾妻火砕流が流れた場所は、かなりばらついているようだ。




  


また、この辺りの鬼押出し溶岩は、今までと少し違い、大きな割れ目や段差をよく見かけた。
鬼押出し溶岩流を下から見ると、3本の流れがあるように見える。そのうちの真ん中に出る。




  


そして、見覚えのある登山道へ。ここから見る浅間園も一年ぶりだ。




  


この登山道は途中で分かれていて、一方をたどれば浅間山Jバンド方面に進むが、もう一方は鬼押出し溶岩流の壁を東側に下りて行くのだ。これが舞台溶岩まで続いているかも今日の調査の理由。
しかし、壁を降りるまでは良かったが、その先の登山道が道肩が解からなくなってしまっている。土地勘がない人は、やめた方が良いだろう。




  


そして先ほど壁を登ったあたりに到着。先ほどのルートはちょっと良くなかった。上から見るとどうもあの溶岩流の中を歩けるルートがあったように見えた。それを探すために、もう一度トライ。登ってみる。




  


かなり苦戦したが、ようやく砂地の上り道を見つけた。恐らく大雨の時に上の砂がここに流れてくるのだ。これなら、お客様をご案内しても問題無かろう。




  


上部でくるっと後ろを見ると、さっきと同じブロック溶岩が広がる場所に出た。そして先ほどの月面の様な風景と砂地。





よーし、満足満足。ルートが確定できたので、家に帰りましょう。この風景とお別れするのは寂しいですがまた来れますからね。





溶岩流の中を降りて行きます。




  


この道は砂地なので、行きでも帰りでも安全な道として使えるでしょう。





舞台溶岩に降り、鬼押出し溶岩流が止まった壁が続く風景を見る。なんという、でっかい風景だ。






だだっ広い六里ヶ原の上に、こんなに広い舞台溶岩の平原がある。これがあまり知られていないのは、とても惜しい。




  


鬼押し出し溶岩の壁さん、そして浅間山さん、このコース、絶対開拓して見せますからね。期待して待っていてくださいね。