藤岡市・鍬夢庵(しゅうむあん)での草木染め(ハルザキヤマガラシ)体験



午後からは、いよいよ高原地帯で著しく繁茂し、問題となっている外来植物のハルザキヤマガラシ。これを使った草木染めに挑戦する。


  


しこたま持ってきたハルザキヤマガラシ。しかしこれは家の周りでほんの20分程で採取したに過ぎない。
これを1〜2センチに切り刻む。岩崎さんは植物の表面よりも、切り口からの方が染料が出ると見たのだ。




  


  



刻む長さは気がつくと4センチになり、最後は10センチになっていた!?
大きな鍋をハルザキヤマガラシでいっぱいにし、火にくべる。ここで、岩崎さんはアルカリにした方が色が出ると予想し、重曹をひとさじ入れた。しばらく煮込み、煮汁が黄緑色になってきた。




  


草木染めをする際に、ただ単に植物の汁だけを浸けてみても、色の出が良くなかったり、洗うとすぐに落ちてしまったりする。これを手助け、あるいは発色させるためには、繊維にしみ込んだ植物の色素を金属イオンと結びつけさせ、錯体という、金属と非金属の原子が結合した構造を持つ化合物(金属錯体)にする必要がある。

この作業を媒染(ばいせん)といい、今日用意してくださった媒染剤は、酢酸鉄、酢酸アルミニウム、酢酸銅の3種類。




  


日本手ぬぐいをビィーっと破いて、テスト用の生地にする。これをハルザキヤマガラシの煮汁に浸けて、




  


薄いレモン色となった生地を、3種の媒染剤溶液にそれぞれ浸す。左から酢酸鉄、酢酸アルミニウム、酢酸銅。




  


黄色の色がはっきり出たのは右側の酢酸銅。一番左の酢酸鉄は、もう少し濃ければセピア色で渋い色だと思う。
使う媒染剤が決まったところで、ハルザキヤマガラシの煮汁を漉す。




  


10分〜15分程浸して、搾り、




  


媒染(酢酸銅水溶液)へ。化学反応が起き、色素の色が強まる。見た目では緑色に変化したように見える。




  


岩崎さんの奥さまもこの植物素材に興味を示し、見本用に繭玉を着色。

染めの作業を2度行い、まずまずの色になったので出してみると…







おお、なんて鮮やかなレモン色だ!




これはなかなかの色に染まった。正直言って、チャレンジ!ハルザキヤマガラシの投稿記事を見ていたので、あまり期待していなかった。だからこの色が出て驚いてしまった。なぜうまくいったのか解からないが、上記URLの記事と比較して考えてみると、

  • ハルザキヤマガラシの量が大量だった。
  • 茎の部分よりも、花の部分を多く使った。
  • 煮込む際に、重曹を入れた。
  • 媒染は酢酸銅を使った。
  • 染め液と媒染に入れる作業を1回ではなく、2回行った。


ということが、今回の特徴だったと考える。しかし、前の人が染めた方法を詳しく知らないので、参考までと考えてほしい。




  


首まわりが緑色になっているのは、恐らく、このシャツは下着として何度も使ったものなので、タンパク質の汚れ成分が付着していて、それが濃い色に染まったのだと思う。こんなに綺麗な色になるのなら、新品のTシャツにすれば良かった。

最も染まりやすい繊維である絹の原料・繭玉はこのような色になった。やはり持っている色素…というかこの染め方で出る色は、黄色というよりも黄緑色だ。




  


この後は、岩崎さんのこれまでの作品を拝見。紅色はサボテンの花で染色した。
右の写真はミントで染めた。このうち、右に写っているのが鉄媒染、左に移っているのが銅媒染。草木染めらしい、淡い色合いで素敵だ。




  


Tシャツは、まず左の写真の左に写っているのが玉ねぎの皮。他はすべて枇杷の枝だそうだ。

枇杷は、最近の私にとって気になる植物である。右の写真のうち、左側が新しいもの。古くなると、右側のようにややかすんだ色合いになるそうだ。だとしても、草木染めは古くなっても色合いがやさしいと思う。


ああ、草木染めって本当に楽しい。この世界、どっぷりと浸かりたいな〜


夢庵(しゅうむあん)
群馬県藤岡市下戸塚616−5
http://www2.wind.ne.jp/kenjiiwa/