小川理科研究所 スペシャルサイエンスツアー



首都圏で学習塾を経営していらっしゃる小川先生から、今年もスペシャルサイエンスツアーのガイド依頼を頂戴いたしました。


しかし、今日はかなりの大雨。前日までの天気予報では1時間に1mm程度だと思っていたのですが…
それで、今回は急遽、池の平での森林生態系学習ツアーから、浅間火山学習エコツアー(浅間火山ジオツアー)に変更してご案内させていただきました。


まずは、東京大学地震研究所浅間火山観測所へ。1953年(昭和28)に米軍の浅間山演習地計画は浮上した際には、地域住民の反対の声もありましたが、最終的にはこの研究所による、銃の発射や軍隊の移動が地震計に影響を及ぼす…との主張が決め手となり計画が中止となったそうです。



  


火山の噴火でマグマが軽石になったり溶岩になったりすることを「コーラ噴火」にて実体験しました。



  


その後、地層の露頭を見学。1783年に降下堆積した軽石層に挟まる火山灰層は、群馬大学早川由紀夫先生によると火砕流が発生した際のものと考えられるそうです。





私の解説風景を小川理研スタッフが撮ってくださったものを、加工して送ってくださいました。噴火降下物である軽石の間に挟まっている森林土壌(褐色森林土)の説明をしています。1783年噴火から232年経過した今、表層土壌は約23cm積っていますが、その下にある1108年噴火の黒い軽石(スコリア)との間にある森林土壌の幅は675年の月日があったというのに、40cmもありません。


火山学者は表層土壌だけではなく、地面から数百メートルも下の地層も研究分析していますので、そういう深いところの堆積状況を踏まえ平均値として森の土は1年間に0.1mm堆積すると言います。しかし、私のような森林インストラクター・グリーンセイバーマスター等の森林生態学系の人間にとっては地表から70cm以下は空気(酸素)がなくなり、土壌生物も木の根っこもなくなってくる死の世界です。この地球の表面を覆う空気のいっぱい挟まった、スポンジのような森林土壌こそが生命の源であり、命の基盤たる水を蓄えているのです。なので、私は表層土壌ばかりに目が行きます。そして表層土壌は1年間に約1mm堆積するのです。



  


その後、浅間園の自然観察遊歩道で鬼押出し溶岩流を見て、世界で浅間山北麓にしかない「板目石」という溶岩も見ました。



  


嬬恋郷土資料館では映画を見て、館内の展示物を見学。1783年浅間山噴火では570人の村人の内477人が亡くなりましたが、生き残った93人で、また鎌原村の同じ場所に家を建て畑を作り家族を作り直して村を再建しました。その日本人の苦境に負けない根性、共に生きる仲間意識を、私たちは引き継いでいるのです。



  


村を襲った土石流から、観音堂に逃げた人だけが生き残りました。奇跡の観音、厄除け観音です。



  


ご飯を食べた後に飲んだ水は鎌原用水。この水が1783年噴火後は一時温泉になりましたが、20年ほどで冷め、今は飲用水となっています。フッ素が多く含まれていて、この水を飲んでいる鎌原の子供たちは虫歯が少ないのだそうです。





別荘地の中に移動し、鬼押出し溶岩流の大きな欠片(浅間石)の上に乗り、記念写真をしました。



  


今日のツアーで、理科の勉強だけじゃなく、生きる力というか、一皮むけてたくましくなってくれればうれしい限りです。そう、ジャンプしていいよ。それっ!






人気ブログランキングへ にほんブログ村 環境ブログ エコツーリズムへ にほんブログ村 アウトドアブログ 野遊び・森遊びへ にほんブログ村 アウトドアブログ 自然体験へ