吾妻渓谷ハイキングガイド
今日は東京都からお越しのN様ご夫妻を吾妻渓谷ハイキングにご案内させていただきました。
吾妻渓谷ハイキング 〜八ッ場ダムで変わる吾妻峡〜
http://ecotourism.or.jp/hiking/agatsumakeikoku/index.html
ご宿泊は東吾妻町のホテル「コニファーいわびつ」様をご紹介。
※写真はホテル公式HPより拝借いたしました。
コニファーいわびつ
http://www.iwabitsu.co.jp/
とても快適に過ごせたと、お褒めの言葉をいただきました。
吾妻の観光の拠点として、草津温泉、万座温泉、四万温泉、浅間山、四阿山、草津白根山、野反湖…どこにでも出かけられる立地です。
実は本来のハイキング予定は昨日だったのですが、雨天のために日程を変更。昨日は谷川岳近くの美術館に出かけられたそうです。気が変われば、そんなところにだって出かけられてしまいます。東吾妻町原町の立地は本当に便利です。
今日は美しい野鳥の羽をいきなりゲットしました。幸先の良いスタートです。樹上ではオオルリがしきりに歌ってくれています。
今日は昨日の大雨で、吾妻川が茶色に濁っています。嬬恋村のキャベツ畑等の泥が流出しているのです。
龍ノ剣磨岩あたりから甌穴を見下ろしてビックリ!なんと、あの甌穴にまで水位が上がることは普通なようです。台風の後なんて見えなくなるんでしょうね…
程よい照度、やや日陰になったベンチでは、マイナスイオンと森の芳香成分をチャージさせていただきました。
右岸へと渡ります。うわあ、水の流れる音が轟音ですね。
上流側に、大雨の後にしか現れない滝が見えていました。
いつもの吾妻川の流れを知らないN様ご夫妻にとってはこれが、吾妻川の流れとなります。少し残念な気がしますが、十分に癒されていらっしゃるようですので…
小さな甌穴を鑑賞したり、ケヤキやトチノキの大木を鑑賞したり。
やがて、渓谷内唯一の平場に出ます。この先で、先日発見した洞窟を紹介しました。うーむ、これは…
中に入ってみると、奥はそんなに深くありませんでした。用途としては、この中に資材を入れておいた、という事だと思います。まさか山賊の穴とか…?現在の住人はコウモリくんでした。
最も美しい沢、大曲沢です。
この先にある、急な階段を登ると、今日の折り返し地点です。
見晴台(小蓬莱)から見る、現在の八ッ場ダムの進捗状況。N様ご夫妻は以前、吾妻渓谷を通過したことがあり、この美しい渓谷を一度でいいからゆっくり歩いてみたい、そう思われたのだそうです。今日、願いは叶いましたが、以前とは変わる風景に、少し残念そうでした。
この小蓬莱の上には、川であらわれ角が取れて丸くなった石があります。つまりここは大昔、川床だったことを意味します。吾妻川は固い小蓬莱の岩盤をまっすぐ削り流れることができずに、湾曲した川地形になりました。とすると、この約100mの落差は、流水による浸食ということになります。1年間で1mm浸食したとしたら、100m浸食するには10万年かかります。
ここ、とても大事なところです。
「元々吾妻川は嬬恋村を南北に横断し、千曲川に合流していた。しかし浅間山の隆起によって川が堰き止められ、旧嬬恋湖が誕生した。約1万年前の地殻変動で吾妻渓谷付近に割れ目が発生、湖の水は東に流れ、さらに浸食が進み、今の吾妻渓谷の断崖をつくった。」
という説を考えるヒントになります。
旧嬬恋湖があったのは20万年前までの5万年〜10万年間だそうです。浅間山の隆起を、黒斑山の火山史から考えると10万年前からとなりますからその時点でアウトですが、それは置いておいて、1万年で100m浸食するためには、1年間で1cm削る浸食力が必要ですね。小蓬莱の上の位置は旧嬬恋湖の湖面より400mは低いでしょうから、計500m=1年間に5cmの浸食?!そんなに浸食力はないでしょうね。
1万年前の地殻変動の話は無視したとして、20万年で落差500mを浸食するためには1年間で2.5mm削る浸食力が必要となります。どうなんでしょう、吾妻谷はそんなに落差がないので浸食スピードはゆっくりのはずです。それでも、年間2.5mm位だったら岩盤は浸食されるものなんでしょうか。
小蓬莱の上にある、一番太いアカマツを測ってみました。2m58cm位です。もう近所にまで松枯れ病が迫っていますので、近い将来、このアカマツも枯れてしまうのでしょう。
それでは、N様、ありがとうございました。道中お気をつけてお帰りくださいませ。またのお越しをお待ちしております。
吾妻渓谷ハイキング 〜八ッ場ダムで変わる吾妻峡〜
http://ecotourism.or.jp/hiking/agatsumakeikoku/index.html