地域と学校のパートナーシップ推進フォーラム



『広報つまごい 10月号』に、「地域と学校のパートナーシップ推進フォーラム」開催の記事が載っていました。

吾妻郡内の幼稚園や学校の先生、PTAの方、地域の健全育成団体やボランティア団体の方が一堂に会して、子どもたちを取りまく様々な問題についての適切な対策をみんなで考えていきます。学校の先生や保護者の方はもとより、ボランティアとして読み聞かせやいろいろな遊びや学習を指導してくださっている方、そしてこれから子どもたちと一緒に活動したいと考えている方々、ぜひ皆さまお誘いあわせの上、ご参加ください。


会場は東吾妻町コンベンションホール。あ、妻の家の近所です。このところ、当協会でも親子向けの自然体験プログラムを企画運営することが増えてきています。以前は「子どもへは親が教えるもんだ」と思っていた私でしたが、実際には共働きだったり、地域で役を割り当てられていて子供をかまえないとか、親の介護で忙しいとか、どうも“親じゃない地域の誰か”がその分野の面倒を見てやらなければちょっと難しくなったみたいです。“自宅の裏山”っていうのも、少なくなってきていますし、そういう役だったはずの“ガキ大将”ももういませんしね。


もう一つ、家族で参加できる自然体験プログラムの実施は、地域の活性化に役立つのではないか…という手ごたえを感じつつあります。この秋には木登りイベントやツリーハウス作りイベントを企画運営しましたが、そこに吾妻広域から集まったご家族と、都会から観光に来たご家族が集い、一緒にアクションプログラムをする…と、警戒心の少ない子ども達はすぐに打ち解け、新たな友達になって遊びだします。それをかまうために親も近寄ってきて、親同士の会話が発生していました。こういうことを定期的に続けて行けば、家族同士の新たなつきあいは間違いなく生まれるでしょうし、吾妻の農山村と都会の人間が出会い交流することにもなり、もっとうまくいけば吾妻に都会の人が通ってくれるようになり、移住する人も増えてくる…かも知れない。うん、きっとそうなる。


と、都合よく考え始めたわけであります。そういうことで、まるで自分の為に開いてくれたフォーラムのようなつもりで、参加してきました。



  


結構な人数が集まっています。開会行事があり、壇上には司会者の(この事業のご担当の)田中さま、そして桑原吾妻教育事務所長さま、高橋東吾妻町教育長さまが開会の辞を述べました。



  


このフォーラムの演題は「子どもの発達と地域の教育力」ですが、まずは茨城大学生涯学習教育研究センター准教授、長谷川幸介さまがお話されました。


痴呆老人の散歩・徘徊は、地域に力があれば散歩になる。


1.人は独りでは生きられない。
人は自分の足で立てないで生まれる。21ヶ月必要なところが10ヶ月で生まれてくる。これを生理的早産という。4本足の犬や猫は、頭を支える筋肉が必要なので頭を大きくできない。しかし人間は立ち上がることで頭を大きくした。しかしそのために産道が斜めになり出産が大変になった。それで頭蓋骨がつながる前に産む。未熟のまま生まれてきたのが人間。本当は胎内にいる方が正しい。そんな未熟児を育てようというのだから、夫婦が助け合わないと当然、育てられない。


2.適応と開発
鼻の違いを見ればどんな気候で進化適応してきた種族か解る。乾燥したローマ人と温暖湿潤な日本人。
12,000年前から、人類は自然を技術と知識で開拓を始めた。そうやって、自然の中に自分たちが生活できる範囲を拡大していった。これが適応。


3.社会化、文化化
原始の自然では生きてはいけないから開発適応してつくった第2の自然、これが社会である。
社会では、三角形の鳥居の中で子供を育てる。

  1. 学校…学力、正解は一つ
  2. 家庭…自己肯定力、かけがえのない存在
  3. 地域…社会力(つながる力)、正解はたくさんある


・子供を育てることで子供たちから元気をもらえる。
・子供は、親が喜んでいる姿を見たら、子供が喜ぶ姿を見る親の何倍もうれしいもの。





次に、茨城県まちづくりアドバイザー、外岡仁さまの講義です。このお二人はいつもペアで講義されるそうで、長谷川さまが外岡さまの講義内容の要点をまとめて書いてくれながら進んでいきます。これは、頭に入りやすい。助かります。


1.江戸の子育て文化

  • 江戸時代は1603年〜1868年(265年間)。800人だった漁村が、100年間で全国から人が集まり100万人の城下町となった。
  • 混住・異文化社会、価値観の違う者同士が一緒に生きていくために作られていった統一した幸せマナー、これが「江戸しぐさ」。
  • 「江戸の子育てしぐさ」から学ぶことはたくさんある。


2.寺子屋−お心肥やし(おしんこやし)

  • かつての寺子屋では、入塾テスト(6才時)があった。
  • 一刻(2時間)、黙って話を聞ける。
  • 読み・書き・そろばんはあたりまえ、聴く・話す・視る・考える の4つが大事だった。
  • 心眼…見抜く力を見た。
  • 教育とは養育、訓育、鍛育であった。
  • 学力よりも品格を教育した。
  • 基本理念は相互扶養・共生だった。
  • 「威張らない」「稚児戻しない」という二つの戒めがあった。


3.地域社会の子育て

  • 子は国の宝。地域には七人の親代わりがいた(地域親)。=産みの親、取り上げ親、初見親、名付け親、拾い親
  • 挨拶という言葉の意味。挨は「近づく」、拶は「心を開く」という意味。
  • 挨拶しぐさの「おはよう」は、家族の中では絆を確かめる言葉、近所ではエールの交換である。
  • 挨拶しぐさは元気になる言葉をかけること。行き会い言葉をかける。
  • 世辞が続く言葉を。「こんにちは……」「こんばんは……」。
  • 禁句は「どこ行くの?」。それには「気をつけてね」を必ず付け加えること。
  • 「指切りげんまん 嘘ついたら針千本飲ーます、指切った。死んだらごめん。」
  • 「エクスキューズミー?」は、江戸しぐさの「すみません」が伝わったもの。日本初の文化。人には入ってはいけないプライベートゾーン(45cm)があり、その結果を切る仕草をして近くを通る。


4.子育て養育五段階

  • 【三つ心】(0〜3才) 心身体、脳を結ぶ。一日1本×365本×3年=1,095本。
  • 【六つ躾〔しつけ〕】(4〜6才) 見て→真似→くせ。して見せて、言って聞かせて、させて見て。ほめてやらねば人は動かじ(育たぬ)《山本五十六
  • 【九つ言葉】(7〜9才) あいさつ、対人関係
  • 【十二文】(10〜12才) 領収書、手紙文(文語体)を覚える。
  • 【十五理〔ことわり〕】 末決まる、森羅万象を理解する。嫁つぐ3条件=掃除、料理、裁縫。


5.江戸小町=吾妻小町を!

  1. 気風が良くて姉御肌
  2. やさしさ思いやり
  3. 仕掛人(企画力)
  4. 実行力
  5. リーダーシップ



最後に、事例発表として、群馬県食生活改善推進員連絡協議会中之条支部の関裕子支部長さんをはじめとして、各町村の食生活改善推進員代表の方々が発表されました。パワーポイントにまとめるのは、恐らくご本人様方ではできないでしょうから、吾妻教育事務所の方、田中さんなんかが一つ一つまわって作ったんでしょうね。お疲れさまでした。


ただし、食育活動としての料理指導だけでは今回の講演内容ほどの事は賄えないでしょうね。畑を耕して年間を通して作物を育てて収穫して…ならまだしも。そこまで時間はさいていないでしょうし。まあ当り前です、他に「江戸しぐさ」的な教育ができるところと言えば…



あ、うちの協会か。



よっしゃー、これから子ども向けの体験プログラム、AAESは積極的に取り組んでいきますからね!こうご期待。






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