草津温泉名物「温泉ちぢみ」は復元できるか?



「ものづくり伝道師 浅間・吾妻塾」を準備中です。草津町には、かつて「湯もみ細工」或いは「温泉ちぢみ」と呼ばれる伝統手芸品がありました。ウール100%で織ったメリンスという生地を、70度くらいの温泉に浸しながら揉み続けて変質させ、それで小物入れなどをつくるのです。しかし、この「温泉ちぢみ」が廃れてしまったのは、上質のメリンスが手に入らなくなったからだけということではありませんでした。復元への道はかなり難しそうです…




  


まずは起案者の一人でもある黒岩智絵子様と打ち合わせするためにホテル望雲へ。だいたいの構想を練られましたが、何をつくるかは後日、別の協力者とも打ち合わせが必要だとのこと。しかし、従来の方式だと、生地は1/5まで収縮するらしく、それだとかなり大きな生地が必要になります。古くなった襦袢を使って…などということを考えていましたが、1/5になった襦袢はほとんど何も作れません。


とりあえずこの日の打ち合わせは切り上げて、私は私なりの調査をします。草津温泉資料館に、現物があるそうなので行ってみました。







ありました。これが伝説の温泉ちぢみです。事情を話し、触れさせていただきましたが、フエルトの様な生地です。ただし、フエルトの方が柔らかいので、好みもあると思いました。そもそも、ウールはお湯でも縮みますから、温泉で縮むのは当たり前です。ただし、70℃の湯で長時間揉んだとなると、火傷しなかったのかが疑問です。何かおかしい様な気がします。また、コストもかかるし大変だしお金にならないだと、だれも継承する人がいなくなるのは当たり前のことです。


報われない、ひどい目にあうためにものづくりするなんておかしな話です。…ですから、昔の伝統技術や文化を正確に記録して残しておくことは重要なことですが、昔のままの〔温泉ちぢみ〕をそのまま復活させることはナンセンスであり、非現実的だと思います。現代の人達がもっと気楽に“布あそび”というか、自然の産物“温泉”と、人間の作った“ウール生地”をコラボレーションして楽しむ…といった〔新・温泉ちぢみ〕を開発しなくてはなりません。




2012年7月13日(金) NHKラジオあさいちばん生出演、
「ものづくり伝道師 浅間・吾妻塾 草津温泉〔温泉ちぢみ〕の話」(7.1Mb)
http://ecotourism.or.jp/akagi/archive/2012/nhkradio20120713.mp3





ところで、草津温泉資料館には、高温酸性硫黄線の中にも生育する、紅藻類のイデユコゴメについての詳しい記述がありました。これに関しては私も理解を深めたい分野ですので、またいずれ日を取って来館したいと思いました。






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