万座川の地図にない滝二つ(コマタ滝、三条ノ滝)








“地図にない滝”










うーん、そんなものがあるなんて、聞いただけでどうしても行きたくなってしまう。幼き日から映画インディージョーンズの生き方をこよなく愛し、最近は妻の影響でパイレーツ・オブ・カリビアンの世界に魅せられている私としてはこの楽しみを誰かと分かち合いたい…







と、いうことで、「地図にない滝めぐりツアー」が成立するかどうか、協会のメンバーと実踏会を行いました〜




  


干俣は仁田沢からさらに奥地にある、キッカケ橋から万座川を上る。
この辺の河原に転がっている大きな石から見ても、嬬恋村自体が源流にある村なんだということがよく解る。




  


まず、万座川支流の一つ、松尾沢川を横切る。ここは増水している場合、濡れずに横断するのは難しいだろう。って言うか、雨の日は万座川そのものが危険な暴れ川となる。
この合流地点で早くもイノシシの浴場跡を確認。ここは人間の領域ではない。


ちょいと歩くと、足元に面白いキノコが生えていたので、動画で紹介します。






その名も「イロガワリ」と言います。イグチ科イグチ属。




  


奥に進む。万座川の渓谷は河原があるところの方が少ないので、ここいらで山に登っておく必要がある。森に入ればそこはもう別世界。巨木の森が広がっている。




  


猟師道は登山道では無いのでうかうかしているとすぐに見失ってしまう。見つけた道は猟師道か、けものみちか。いずれにせよ、ここでは動物も人間も同じ道を通る。




  


発達した渓谷を横切っていく。一歩足を踏み外すと谷に真っ逆さま…なんていう場所もある。大川さんは、お客様を案内するならばザイルが必要だろうと思ったそうだ。




  


お手本のようなイチヤクソウ。葉脈がはっきりと白くて面白い。光合成をする必要があまりないので、葉脈の部分には葉緑体が無いのだろう。イチヤクソウ科やラン科の植物は実際には菌根からの有機物供給に深く依存している場合が多い。その菌根の菌糸は他の植物(とくに樹木)の根の細胞間に入り込み、なんと別の植物が作った光合成生産物をイチヤクソウにも送り届けているのだ。


イチヤクソウは緑葉によって十分な光合成が可能に見えるにもかかわらず、実はほとんどダミーである。ギンリョウソウまで真っ白だと、樹木に感づかれるからなのか?




  


そして解らなかったのは、大群落をなしていたこの不明植物。発生状況や葉の感じはモミジガサにも似ている。手元の図鑑では同定できなかった。




  


かなり奥まで進んだ。この辺りが、冬に猟師さんと別れた場所。滝はもう近い。
ハリギリの大木を横切って進むと、


  


コマタ沢に到着。林野庁の地図ではコマタ沢と書いてあるが、猟師さん達はコダマ沢と仰っている。滝はすぐそこに見えているが、どうやって近づくかだ。今日の感じでは、お客様は滝のすぐ下には連れて行かない方が良さそうだ。それにしてもいい滝。嬬恋村でも最大級の名瀑だ。




  


さらに奥へ。ウリノキの花はとても変わっている。また河原沿いに降りてくると、人工的にカットされた木の板があった。昔の看板跡だろうか?




  


イノシシの浴場がここにも。足跡を見るとどうやら子連れのようだ。出くわしたくはない。




  


大川さんが拾ったのはライフルの薬莢。猟師が落としてしまったのか、不発弾だったのか。
そしてようやく今日の折り返し地点、三条ノ滝。落差は40mはあるように見える。落差では嬬恋村内では一番あるのではないか?



  


さて、もうすぐ日が暮れる。巨木たちよ、もののけの森よ、さようなら。あなたたちに深く魅了された人がまたできましたね。その人たちがまた誰かをここに連れてきて、そうやって次々とこの森のファンをつくっていきます。できれば私たちのことを応援し、見守っていてください。




  


帰り道、けものみちを辿ってしまい、松尾沢川の上に出てしまった。川が右から左ではなく逆側から流れているのを見て気がついた。でも、お陰さまでいい枯死木を見ることができた。




  


板状摂理がよく発達した岩。いわゆる鉄平石というものだ。
嬬恋村最後の秘境・万座川流域よ、さようなら。またね、お元気で。





幻の滝だけを紹介したムービーはこの記事の最初に設置したが、こちらはある程度コースを紹介したものです。どうですか、行ってみたいでしょ?




  


このコースでは手前にあるキッカケ橋も、なかなかの見所です。吾妻渓谷が「関東の耶馬渓」なら、ここは「嬬恋の耶馬渓」っていうことかな。あ、そうか、この鉄平石は四阿山の溶岩だろうから、この石の特徴を覚えておくと、何か解るかもしれない。いつかじっくり観察できればいいな。