Izaemonさんの里山のデザイン会議



少し前のことになってしまったが、7/17にIzaemonさんの里山を整備する気持ちのある方々が集まり、どうデザインするか現地視察会を行った。


理由はIzaemonさんの山の樹を、広く伐採していくことに決まったからだ。先日お世話になった熊川宗次様のお仕事である。






  


家の前にある樹の実は、いきなり不明種。しかしバラ科の樹木っぽいし、豊島さんが言うにはスモモなど、果樹ではないかとのこと。なるほど、家の前ですしね。




  


カラハナソウ(クワ科カラハナソウ属)はなぜか別名ヤマホップの方の名前ばかりが頭に出てくる。これも新芽は食べられるのだ。


カラハナソウとセットなのはタチドコロ(ヤマノイモヤマノイモ属)。以前からこの植物同定に自信がなかったのだが、このサイトを信用してタチドコロと断定する。


つる性植物の検索(帝京大学薬学部教授・木下武司さんのページ)
http://www2.odn.ne.jp/~had26900/wild_plant/kensaku_Folder/vine_kensaku.htm




  


見にくいかな?ギョウジャニンニクの実がなっていた。

まず案内してくださったのは、ウリハダカエデの大木。まるで“神の手”のようだ。最近、私の前にこういう樹が出てくることが多い。何らかの啓示を感じる…




  


そして周囲では唯一ブナが残っている場所に着いた。ブナは、急傾斜地のガレ場に纏まって7、8本ある。この付近に纏まってしか残っていないということは、意図的に切り出されたということだ。ミズナラの萌芽更新木もたくさんあるし、皆伐された林では無いのだ。昔から、どんな樹種でも上手に使う技術があったんだなあと思う。


豊島さんが言うには、周囲に稚木が見当たらないとのこと。たしかに、ぱっと見ではそうみえる。ブナの実は5〜7年に一度、更新のチャンスがあるほどにたくさんの実をつける(豊作)が、通常は中身が充実していない、空の「しいな」といわれるものばかりが成る(並作)。ブナの樹を見たところ、これまで何回、豊作を経験したのだろうか?と思うほどの大きさ。つまり、このブナの森を継続させようとするためには、更新の手助けをしてやる必要がある。自然の摂理に任せていてはブナは淘汰されてしまう可能性があるのだ。




  


さて、そのためには、肝心の種がそれでも必要。今年は、実は成っているかな…?
おお、かろうじてなっているではないか!でも、この量は不作の年に違いない。


私は、この森のブナの実を実生で育て、またブナの森を再生することを考えている。国際森林年のこの年、付近は針葉樹の植林地が多い状況の中、生物が多様になるためにもIzaemonさんの里山は広葉樹の森にしたっていいじゃないか。1,000年かけて、広葉樹巨木群が天然下種更新できるような森を作っていくのだ。




  


さて、ブナが生えているところは急崖であることは書いたとおりだが、ここはクライマー的にはどうなのだろう。登って遊べるようなら嬉しいんだけれども…
岩陰となっている部分は、どうも野生動物が使っていたような雰囲気だ。




  


さらに降りてくると、シナノキの類があった。オオバボダイジュという意見があったが、落ちていた苞の大きさから言ってシナノキだと思う。この樹もかなりの大木になる樹種。森に立体構造を生み出し、さまざまな命のゆりかごとなる。よっしゃ、シナノキも採用。





キク科フジバカマ属の花はヒヨドリバナだろう。皆伐の跡地はこの手の花が増え、アサギマダラがやってくるようになる。意図的にここで増やしていく話にはならなかった。




  


皆伐の跡地は、伐採木の枝や根株が放置されており、この場所をこのまま活用しようとしてもほとんど難しい状況にある。例えば子供がこの中で走りまわれない。これだと次に活用するのに困るので、もっと丁寧な後片付けをしていただくようにお願いすることになった。林業として割に合わないなら手を引く話になっても困ってしまうのだが。


但し、この場所はこのまま“ブナの森プロジェクト”の種苗に使ってしまおうという話になった。




  


以前はおばあさんが住んでいたという古民家は、手入れもその後していなく、このまま朽ちて土に帰って行くのだろう。それでいいのだ。家も本望だろう。


マルハナバチが汗を舐めに来た。いつまで経っても離れていかない。どうも私の体からの分泌物は、昆虫が好きな誘因物質が含まれているらしい。




それで、今日決まったことの覚書は次の通り。

  1. 駐車場は、県道から10m以上離す。約20台程度がゆったりと出入りできる位の広さ。
  2. 駐車場の横は草原スペースとなる。皆伐でも良いが、日陰もほしいので1aにつき4本程度残す。
  3. 下のカラマツ林は、草原スペースとなり伐られてしまうので、上のカラマツ林は残す。
  4. 上部の林は、1aにつき、大木を選んで10本程度残したい。中径木以下はほとんど伐ってもかまわない。
  5. 更新木は、もともと里山にあるブナやミズナラシナノキ、カツラなどを、実生で育て苗を作り、私たちが伐採跡地に植えていく。


Izaemonさんの里山は、1,000年先を見据えた森づくりをしていくことになりそうだ。これは楽しみ。