猟について行って見たものは… 地図にない滝二つ
今日はかねてからついて行ってみたかった猟に連れて行ってもらった。
ウルフ横沢さんの車で干俣の奥地へ。
猟友会の皆さん、芯から山のにおいがする男たちだ。格好いいなあ。
キッカケ橋を渡る。この橋はずいぶん前に、探検しに来たことがある。板状の鉄平石が凄い。そういえば松島榮治先生が、今井東平遺跡の敷石住居跡の鉄平石はここの石を運んだと仰っていた。キッカケ橋から今井まで直線でも6キロ。実際には相当歩くことになる。本当だとしたら、縄文人にとってここの石はどういう意味を持っていたんだろう。
万座川に降りるところで「しまった」と思った。スパイク付きの長靴で来れば良かった。ゴムのシューズでは危険だ。
万座川の河床は赤い。万座の硫黄泉が入っているだけではなく、この上部に複数の鉱山跡があり、強い酸が流出しているからだ。
少し上ったところで二班に分かれ、私たちは猟師道を辿ってさらに上部へ進む。道はかなり険しい。
一七三さんの嗅覚が反応した。ここで、一人待機することになった。上から追えば獲物はこのけものみちを下ってくる可能性がある。
獣の痕跡を発見。獲物は近いか。
このイノシシは先週、一七三さんが仕留めたもの。不必要な部分は山に置いて帰る。森の動物たちの胃袋を満たし生命をつなぎとめる。
さて、いよいよ狩猟モードに入る。一七三さん達は上から獲物を追うので、私はついて行くと邪魔になってしまうので、別行動を取ることになった。この辺りには、地図にない幻の滝があるのだ。
まっすぐ進むと、コマタ沢があり、そこに三段の滝があるという。それがコマタ滝。
おお、なかなかの迫力だ。こんなところがあったのか。
別名“三段の滝”の理由が解らない。滝は一段に見える。「上に別の段があるのかも?」と思い登り始めてしまってから、ハッとした。足元の地面は日陰で凍っている。その表面に枯れ葉が乗っかっているだけに過ぎない。立生木もあまりない状況で、上にも下にも行きがたい状態になってしまった。かなり苦労してようやく登ることができたが、降りられるところでしか登らないようにしなくては。いやあ、参った。
上部はブナのある森だった。いい森だ。
コマタ沢の向こうに、何やら変わった樹が見える。なんだありゃ?
と思い行ってみると、カツラの樹だった。幹は大したことないが根株は巨木級。この樹も誰かに見せてやりたいなあ。
そういえば、上部すぐに滝はない。50m以上離れたあそこが上の段?そんなわけがない。
反対側(北西)に来てコマタ滝を眺めるが、先ほどの方(南東)が良かった。こちらの方が景色を遮る樹木が多い。
先に進むと、鉄平石の崖がある。これを進むと、崖下に不自然な凹みを発見。うーん、獣が休憩するにはおあつらえの場所だ。こういうところに、油断してスッと行ってしまうと鉢合わせる可能性があるな…気をつけよう。だって人間だってここで休みたいと思うでしょ。獣も人間も本能が選択する道は変らないですからね。
その崖を越えると、急に湿気を感じた。さらに歩くと上から水が落ちてきているのが見えた。湿気は、三条ノ滝のしぶきだったのだ。
万座川に降り、三条ノ滝を見上げる。恐らく、厳冬の1月下旬あたりは見事な氷爆となっているのだろう。これを見に行くエコツアーなら良いかもしれない。ただし、スノーシューでここまで来れるお客さんはいないだろうなあ…
これらの滝は地図には載っていない。本当の幻の滝なのだ。やっぱり万座川流域は嬬恋村最後の秘境だ。
帰り道、対岸に小さな氷爆が見えた。アイスクライマーの新保政春さんなんかにとってはああいう氷爆は練習にちょうどいいんだろうな。
コマタ沢を万座川の近くで横切る。この辺りは安全。コマタ滝へも、下から沢を上って見に行くようにしよう。コマタ沢は水が綺麗なように見える。それもそのはず、この上に鉱毒要素はない。
樹の皮がサルにやられている。この樹木なんだろう?サクラのような皮目でつる植物?
帰り道、後ろから獣に フウッ!
っと叫ばれた…が、聞き覚えのある声。カモシカ君だ。思わず、無線で連絡してしまったが、今日はカモシカは獲らない。そういえばカモシカは特別天然記念物。害獣駆除の際にしか撃つことはないのだった。10m接近は久しぶり。
しかし、本当にけものみちに現れ、けものみちを歩いて行った。これじゃあ撃たれちゃうわけだ。
さっきのイノシシのところまで戻ってきた。今度は時間があるのでじっくりと眺めてみる。内臓もすっかり食べられているし、骨もしゃぶりつくされている感じだ。牙を持って帰りたいが今日は鋸も持ってきていない。毛皮は私では細工ができないし…残念、素通りしましょう。
猟友会の皆さんも、残念ながら今日は獲物に会わなかったみたい。もう今日は諦め、明日に大人数で場所を変えてトライすることにしたようだ。
明日のために、射撃の訓練。50m離れていても的に入る、見事な腕ですね。
明日、頑張ってください!