今年の初スノーシューは池の平



もうすぐ万座人から、上信高原人になる私としては、周辺のさまざまなエコツアーコースを熟知しなくてはならない。新居のレイアウトの件や後回しにしてしまっている雑務の件など、精神的に安堵状態にはないのだが、今日の池の平スノーシューツアーイベントから、今年のスノーシューを開始しようと思う。

YOさんの案内で歩く。こういう案内人・インタープリターさんは、他の方からもどんどん立候補が出てきてほしいのだが…

スタート時は曇り一時雪という具合。忙しないアトリの群れを横目に、カラマツ林を進んだ。


  


森の中に入ると、雪の上にはなにやら種らしきものがたくさん。そうか、これはカラマツの種だ。カラマツの枝を見ると、この秋にできたばかりのマツボックリがたくさんついていた。この秋のものはまだ色が赤みを帯びているのでわかる。この山のカラマツは、2005年に実が大豊作だったことを確認している。今回は4年ぶりの豊作というわけか。

高峰高原から嬬恋村にかけての地域が天然母樹林だったってことは知っていたけれども、そうか、湯の丸側も母樹林に指定されていたのか。二つの母樹林は繋がっているのだろうか?


  


さすがは標高2,000m付近の天然カラマツ。いい形をしている。

斉藤さんが近寄って撮っているのはシシウド。霧氷がつくとまるで今咲いているかのようだ。


  


今回の一般参加者は、親子連れが二組。傾斜もそんなききつくはなく、子供でも大丈夫なコースだ。

冬の池の平湿原は初めて来た。ここはかなり前から軽井沢ピッキオが冬のネイチャースキーツアーをやっているし、浅間山麓国際自然学校や休暇村鹿沢高原の常設エコツアーコースでもある。万座の私では来れなかったが、これからの私(鎌原)は全然近いぞ。

湿原では、貴重な植物を踏み荒らさないために遊歩道以外を歩くのはありえないので、どうもこの場合でもそうしてしまいがち。しかし、木道が出ているところは逆にスノーシューのスパイクで傷めてしまう。なんだか複雑な気分。


  


湿原の対岸にあったのは、「忠治の隠岩」。国定忠治が最終的にはここに隠れていて、見つかり処刑された…って本当なの!?

ここからは少し上りになり、三方ヶ峰からの眺めを見に行く。青空もチラホラと見え出した。どんな景色か楽しみ!


  


ハクサンシャクナゲの葉がくるりと丸まっている。アズマシャクナゲも、こうやって冬を越す。1億年以上前に赤道付近に出現した広葉樹は針葉樹を僻地に追いやり、その僻地に自分もまた進出していった。しかしその過程の中で他の広葉樹が「落葉」という手段を身につけたのに対し、シャクナゲは落葉ではなく、葉を丸める方法を身につけた。なぜなんだろう?

高い山の高木は、広葉樹はほぼ葉を落とすのだが、矮小低木であるミネズオウ、コケモモ、シラマタノキなどは、常緑である。雪に覆われる矮小低木は、雪が断熱材と加湿の役割を果たし、0℃前後で快適な冬生活を送っているのだ。つまり、南西日本の常緑樹が繁栄している野外の気温と同じぐらいだといえる。しかし、雪の外に出てしまっているシャクナゲは、葉をそのままの状態にしておくことはできない。そこで、葉を落とすのではなく、葉を丸めて冬を乗り切ることにしたのだ。

葉を落とす作業というのは、実は大変なことである。クロロフィルを分解し樹体に戻し、離層をつくって葉を離すよりも、樹によってはそのまま葉を丸めて冬を乗り切ってしまおうと考えるものいるということなのだろう。

それで気がついたことだが、シャクナゲの生命エネルギーは、活動している若枝のシュートにあるように思う。根に養分を溜め込む他の広葉樹のタイプとは少し違いそうだ。

また、高い山では土壌中の栄養分が少なく、葉を落としてしまうとまた再生させるのが大変であるとも考えられる。さらに常緑だと、春一番、他の広葉樹が根から枝先の葉芽や花芽に栄養分を送り出し、シュートを展開させる準備をしている間に、いち早く光合成を行うことができる。花を咲かすのに光合成生産物が必要なのだとしたら、シャクナゲの花が高山で最も早くに咲く理由がそこにあるのだろう。(実際にはオオカメノキの花の方が少し早い)

そんなことを考えているうちに、三方ヶ峰についた。


  


三方ヶ峰山頂に並んでもらって、ハイ、チーズ。

私も上ってみると、こりゃあ素晴らしい眺めだわ。快晴とはいかなかったけど、雲海もあったし、その下に小諸市や東御町の町並みが広がっていた。常設コースになりえる、なかなかいいコースだ。

お昼ご飯は、近くの「オトギの森」で食べることにした。安田さんがスコップで即席長椅子をつくってくれた。