快晴の池の平を自然学習トレッキング



明日には猛烈な台風が沖縄を直撃するらしいですが、ここ長野県池の平は天気が良いです。今日は埼玉県のY小学校様62名を自然学習ハイキングです。



  



稜線に上がると、おお、富士山が見えています。これが梅雨真っ只中の天気ですか? 雷の丘〜樹林帯の中を歩いてゆきます。





雲上の丘に到着。なんとまあ、北アルプスがくっきり。真冬のように空気が透き通っています。



      


こういう天気の中では、インタープリテーションなど必要ないのですが、しばらく自由に過ごしてもらってから、ちょっとだけお話しました。




みんな、見てごらん、あれが、30万年前までは噴火していたと考えられている火口だよ。今は湿原と呼ばれているんだ。噴火が激しかった頃は、あそこまでマグマが上がってきたこともあったろうね。あそこから、真っ赤に燃えた1,000℃のマグマのしぶきが、私たちがいるこの火口縁にも飛んできたんだよ。足元の石を見てごらん、その様子を感じ取れるかもしれないよ?


やがて活動が収まり、噴火口を満たしていたマグマは冷えて固まると収縮する。その時に、あの湿原にはコップのような穴ができたんだろうね。やがて水が溜まって火口湖になり、周辺の火口縁から土砂や植物遺体が流れ込んで浅くなり、水辺の植物で埋め尽くされたんだ。それが、あの湿原だよ。


そして、私たちがいるこの火口縁は、しばらくはマグマのしぶきでゴツゴツしていたけれども、そのうちコケやシダや草が生えて、その遺体が土壌をつくり、強風や野鳥が植物の種を運んできて次第に森をつくっていった。だから、ここには池と湿原、ガレ地と森林の少なくとも4タイプの自然相があるんだ。だから比較的いろんな花々を見ることができるので、高原〜亜高山帯の花を見ながら歩く、フラワートレッキング目的のハイカーに人気のコースなんだ。

      


樹林帯を抜けて、見晴岳西肩へ。佐久平を見下ろし、その向こうに八ヶ岳や富士山…という眺めは、子供達の心も捉えたようです。





放っておいたら、まず間違いなく石の上に登ります。高いところに登るのは人類の習性かもしれませんね。



  



この場所では全体写真を撮ることになりました。先生含めて66人をシャッターに入れるのは大変でしたね!



    


三方ヶ峰コマクサ園では白いコマクサを発見。年々、白花が増えているような気がします。上の湿原を越えて、したの湿原へ向かいます。





この湿原を快晴のまま歩けるなんて、最高ですね!



    



池の平湿原は、木道の周り数メートルを笹刈りしているようです。花植物を木道沿いに増やそうとしているのですね。





昼食後は、湯の丸地蔵峠まで歩いて降りていくコースを取りました。途中、開けた草原地があり、ここで昼食にできたらなんていいだろう、っていつも思っています。



    


そして、私にとっては池の平で最も好きな場所、亜高山帯の針葉樹極相林に入ります。もののけ姫の森です。




樹木はねえ、いろんな超能力を持っているんだ。なぜかって?だって彼らは、雨の日も風の日も雪の日も、服も着ないで素っ裸で、同じ格好をして突っ立っているんだよ。そうしたら、超能力が目覚めない訳がないだろう?自分自身だったらどうなる、どう進化すると思う?しかも目も耳も使えない、動くこともできないんだよ。悟りを得るどころか、宇宙とだって繋がっちゃんじゃないかな。人間のような五感や移動、言語の能力がなくても世代が続いているってことは、動けなくても大丈夫な、とにかくすごい超能力をもっているんだって思っておいたほうがいいよ。


ところが、そんな彼らでも移動できないってことは相当退屈なんじゃないかな。だから、動ける私たち人間が近くに来てくれた時なんかは、とても嬉しがっているんだ。もしかしたら10年、いや100年も誰も来てくれなかったらどうする?私たちだったら寂しくて死んでしまうだろう。何もないただ生きているだけの人生より、人間達が来てくれて、温かい手で触ってくれたり、木登りしてくれたりしたら、どんなに嬉しいことだろう。ましてや人間のために酸素を作ってくれたりもしているんだ。そんな樹木に感謝の心で「ありがとう、長生きしてね」ってタッチしてあげたら、長生きするに決まっているだろう?どう思ってもいいから、樹木に触ってごらん。何か通じ合えるものがあるはずだよ



この森の中でもここは、とても不思議な場所なんです。ほら、あそこに守り神が…



    


生命と生命の関係の蓄積が流れる深い森の中。その関係に触れ、感じ、気配に身をゆだねることを、“深山の霊気に打たれる”とも言います。みんなの表情に生気がみなぎってきたようですね。





倒れた樹木からまた、新たな生命が芽吹いています。これが倒木更新です。



    


この上部にある天然林を過ぎたあとは、右側が針葉樹天然林、左側がカラマツの植林地となります。右の天然林の中で面白いスポットを探したい気もしますが、この辺まで来ると疲れている子ども達が多くなるのも事実。素直に下ってゆきます。





見つけたね、キツツキの巣跡。こんなにまん丸に穴を開けられるなんて、人間業じゃないよね?!






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