万座山草園の湿原土壌

ここ数日は、いくつかの苗が予想よりずいぶん大きくなったので園内に植え付けていっている。実生苗箱から6月に本葉が出たものの箱の半分を植え付けた際、培養土を箱に足しておいたものがその後グングン伸び、フシグロセンノウやセンジュガンピは花を咲かせたものも出てきた。それで、もう箱からはち切れんばかりのようなものは出してやっている。

小さな箱の中では根がいっぱいになってしまっていて、もう少し早く出してやれば良かったのだが仕方がない。デザインが決まっていなかったのだから。

それで今日はカメバヒキオコシを湿原に植え付けたのだが、箱の中とは栄養や環境が違いすぎているとはいえ、先に植えてある苗の成長が悪すぎる。いい調子で育ってきたと思って湿原に入れると、たちまち成長がストップしてしまうのだ。

これは、掘り出したときに気づくべきだったが、私がここに入れたのは褐色森林土壌というよりは、グライだったのだ。グライとは著しく酸素不足になり、土壌中の酸化鉄が還元され青灰色がかかった土のこと。植物は根腐れ病を起こすほか、その他の病気にかかりやすくなる。

あの時はグライであるとは思いつかず、強烈な悪臭は工事現場の人の糞尿が混じったのだと思っていた。ならば少しの間は臭いが栄養がある、ラッキーと思っていたのだ。あの悪臭はグライから発生するメタンガスだったのね。そういうことで湿原に植えたものは、時期により大きさがまちまち。トホホ…6月に植えたものは来年芽が出てくれるかなあ。

それはそうと、どうしてあの場所で森林土壌がグライ化してしまったのだろう。割と丘の上で低い場所ではないのだが、昨年から工事が始まった新館の屋根の水が滴る場所である可能性がある。そのせいだとすると、わずか半年ほどでグライ化したということになる。夏の間ではなく、亜高山帯の10月〜翌6月で?そんな馬鹿な。じゃあ、もっと早くからだ。…ではあの場所にかつて何があったのだろう…不思議だ。