水と緑の国、日本


水と緑の国、日本

  • 著者 富山和子
  • 発行 講談社(1998/10)
  • ¥2,940


地形急峻、川の短い国土でありながら、なぜ私たちは水に不自由しないですむのか。…やがて著者は国土の7割を占める森林と、森林を支えてきた林業というものの重要さに思い至る。しかし林業とは植えた木を自分の代で売ることができず、数十年から数百年を単位とする非効率的な経済活動である。にもかかわらず山村の人たちが、なぜ緑の国土を守り育てていくことができたのか。その秘密は「米」だった。水と緊密につきあう稲作文化の賜物であった。日本列島の山紫水明とは、日本の文化とは、水を仲立ちにした人と大地との営みの文化だったのだ。と。



しかし今や日本の農業、林業、漁業は風前の灯と化している。これらをどうしても守らなくてはならぬとキャンペーンを開始したのが「富山和子が作る日本の米カレンダー、水田は文化と環境を守る」であった。

http://www.ad-sun.com/komecalendar/kome_index.html



本書は、前半は過去10年間のカレンダー集で、後半は富山学とも呼べる著者の環境文化論が載っている。英語訳も載っているので海外に日本の原風景を紹介するために持って行くのもいいだろう。