森の不思議


森の不思議


  著者 神山恵三
  出版 岩波書店(黄版)(1983/09)
  単行本212p
  サイズ18cm
  ¥735



草津森林療法協議会に参加するとしきりに“神山恵三”氏の名前が出てくる。生気象学という、身体の生理や人間の生活と気象との関連を明らかにすることを主な課題としている著者が、『現代林業』1981年1-12月に連載された「森の不思議」を基調とし、大幅に加筆したものが本書である。当時の秋山林野庁長官が1982年7月に「森林浴」という言葉を提唱し、朝日新聞の三島昭男編集委員がとりあげて急に広まったが、その「森林浴」構想の理論的根拠は著者の連載「森の不思議」に拠るものであった。植物の香り(フィトンチッド)の謎を究明し森林浴ブームの火付け役となった著者が、全国を歩きながらその楽しみ方と効用を説き、緑と人間のかかわりをつづっている。



草津温泉・ホテルビレッジの副社長(当時)、中沢晁三氏が「フィトンチッドの森」を作り招待され、さらに中沢氏から家を一軒提供され、そこを“風景エコロジー研究所”の根拠地とし、火山地帯の噴気孔の研究や森林気象、森林からの発散物質の調査を行なっていたという事が明らかになった。これは驚きである。草津の方々もほとんど知らなかった。



読んでいると著者の極端な反応ぶりを見せる部分があり、著者のあくなき探究心と子供心・冒険心が良く現れている。「ぷっ!それはちょっと極端では?」と思わず吹き出してしまう部分もあったが僕も氏の様に自然の神秘にいつまでも深い思いをめぐらせていたいと思う。



最後の章【18.「森林浴」を楽しむために】は、今後森林療法を実践していこうとする僕にとって特に参考になった。