森林生態学 〜持続可能な管理の基礎〜


森林生態学 持続可能な管理の基礎

  • 著者 藤森隆郎
  • 発行 全国林業改良普及協会 (2006/08/10)
  • 単行本484P
  • サイズ22x16cm
  • ¥3,990



農学博士・藤森隆郎氏は、(社)日本森林技術協会技術指導役、国連の持続可能な森林管理の基準・指標作成委員会の日本代表、気候変動枠組み条約政府間パネル(IPCC)の執筆委員…などと、輝かしい経歴を持つ。森林インストラクター資格試験のメインの試験官でもあり、テキストや問題集、さらに著書はすでに読んでいたが、今回、「座右の銘とすべき新書」との前評判から、思い切って購入してみた。



藤森氏の文章は、その経歴どおり、理論的・科学的な裏づけがきちっとなされた説明が丁寧に書かれており、読んでいて納得しながら読み進めることができる。藤森氏のこのまとめ方、納得のさせ方は実に上手なので、文章の書き方としても非常に参考になる。教科書としては最上級の本であろう。



各章末には演習問題と解答例が出ていて、森林インストラクター資格試験の試験官らしさが伺える。「ハビタットとニッチの違い」だとか、「エコシステムマネージメントとは?」だとか、解っていそうでうまく説明できないことが載っていて、これは非常に使えると思う。



しかし読むのにずいぶんと時間のかかる本であることは間違いない。数日間で読もうものならそれは見ただけであってきっと読んじゃいないだろう。この本は、二週間くらいかけて、じっくりと森林を思い浮かべながら読んでほしいと思った。