中之条入山引沼地区(旧六合村)の十日夜(とおかんや)





今日は旧六合村入山引沼地区の年中行事、とおかんや(十日夜)がありました。とおかんやは通常、旧暦の10月10日(今の11月12日頃)に行われるのですが、引沼地区では子供が参加しやすいように、また来訪者も参加できるようにと、時期を早めて日曜日に実施することにしたのだそうです。



  


わらでっぽうは、昔は家の人、両親や祖父母が作ってくれたらしいのですが、現在は共働きも多く、また親も作り方を知らない場合もあるので、地区のもの知りのお年寄りが子ども達みんなを集めて、作り方を教えます。今年は、山本茂先生の家・隠居安兵衛の前で作りました。私は…残念!作成中には間に合いませんでした。ちょうど、できあがったところでした。



  


リハーサルも終わったところだったのですが、もう一回だけ、やって見せてくれました。


子供たちがわらでっぽうを持って家の前に並び、こう叫びます。
「とおかんやがきたよ〜」


家の人「ごくろうさん、しっかり頼むよ。」



  


家の人にそう言われるやいなや、子ども達はわらでっぽうを振り回し、地面にたたきつけながらこう歌います。


とおかんや とおかんや
とおかんやは いいもんだ
あさそばきりに ひるだんご
よーもちくっちゃ はらだいこ
ぽーんぽんと なるように
このうちはんじょう するように
もひとつおまけに よいしょ!
よいしょ よいしょ〜



  


歌が終わると、家の人が「ごくろうさん。」とねぎらって、リーダーの子どもにお礼を渡します。これを集落全戸に行うのです。






これが、わらでっぽう。このわらでっぽうのことを、「とおかんや」とも呼んでいるようです。昔は全て藁で作りましたが、いつからか周囲をPPロープで巻くようになりました。しかも地面が土からコンクリートになりましたから、叩けばポンポン跳ねるし大きな音は鳴るし…ということです。




  


ちょっとした合間にも子どもと対話し育てようとする山本茂先生。頭が下がります。スタートは、コスモ石油入山給油所から。毎年ここからスタートするそうです。



  


終われば直ちに次の家へ。玄関前で叫んでは家の人を呼んで、出てきたらとおかんやのうたを歌い地面をぶったたく。



  


そうしてお駄賃をもらってまた次の家に。これを集落全ての家を訪ねて行います。



  


一列に並んでえいやあ!昨年までは、二手に分かれて行っていましたが、少子化のために今年から一班で全てを回ります。なので、昨年よりも子供の数が増えたように見えて、ビックリしている方もいました。



  


あまりにもバンバンぶっ叩くので、わらでっぽうはすぐに壊れてしまいます。付き添った大人達は修理に追われます。…しかし、山本先生がもしお亡くなりになったら、付き添って歩いてくれる大人は果たしているのかどうか?疑問です。






六合入山集落の中をさっそうと歩くモグラハンター達。地面を叩きながら唱えごとをするのは、作物にいたずらをするモグラを追い払う意味や、地面の神を励ますための意味もあるそうです。







始まってから約1時間がたちました。まだまだこれから。今日は3時間コースかな。




  


日が暮れても、とおかんやは続きます。おや、まあるい光が現れてきました。これは『木霊(こだま)』?それとも曼荼羅オーブ?(地面を叩いた時に舞った土ぼこりかもネ。)






日本で一番美しい村、中之条町六合地区での十日夜(とおかんや)。言葉をテキトーに並べただけのような「とおかんや」のまじないの歌とモグラたたきの音が集落いっぱいにこだまして、人々の祈りと感謝の意を六合の神々が受け取ったのでしょうか。来年の豊作を約束するために降臨してきました。曼荼羅オーブに見えるものを見ながら、そんなことを考えていました。







夕方16:30〜各家をまわりました。18:30になってもまだ終わりません。しかも、夜が深まるにつれ、家に人がいる確率が高くなってきてなかなか先に進まなくなります。家に人がいることは良いこと。各戸からもらえるご祝儀は、子ども会の大切な活動資金になるのです。あまりにも集まり過ぎた年は、リーダーの采配により山分けもあったとか?!わらでっぽうを握る手に力が入ります。


この年中行事を体験ものとして都会から子供が参加した場合は、ご祝儀にあやかることはできないので、そこまで熱くならないかもしれませんね。途中で帰られてしまうことになるのでしょうか。




  


最後の一軒です。力を振り絞って〜…と思ったら、由美子さんのお家でしたか。いや〜これはどうも。


全戸訪問が終わると、リーダーや上級生たちは下の子ども達にお菓子を配ります。「みんなごくろうさま」
そして、この後は集まったお金の計算があった訳ですが、そこはカメラは入らないことにしました。上級生も「一年生は見ちゃダメ!」って言っていましたし。いやいや、よく気が利く子だこと。






人気ブログランキングへ にほんブログ村 環境ブログ エコツーリズムへ にほんブログ村 アウトドアブログ 野遊び・森遊びへ にほんブログ村 アウトドアブログ 自然体験へ