とおかんや −六合村入沼引沼の年中行事





わらでっぽう。





六合村の年中行事、十日夜(とおかんや)で使います。

十日夜Wikipediaより)


旧暦10月10日に行われる収穫祭で、「刈上げ十日」などともいわれる。稲の刈り取りが終わって田の神が山に帰る日とされる。北関東を中心に甲信越から東北地方南部にかけて広く分布し、西日本の刈上げ行事である亥の子と対応している。
一般的には、稲の収穫を感謝し翌年の豊穣を祈って、田の神に餅・ぼた餅が献じられるほか、稲刈り後の藁を束ねて藁づとや藁鉄砲を作り、地面を叩きながら唱えごとをする行事が行われる。これは、地面の神を励ますためと伝えられるが、作物にいたずらをするモグラを追い払う意味も持つ。


地域別の風習の一例として、長野県では、田んぼを見守ってくれた案山子(かかし)を田の神に見立てて田から内庭に移して供え物をする案山子上げが行われる。また、群馬・埼玉県では、子供が藁鉄砲を持ち、集団で各家を訪れ地面をたたいて歩く。十五夜と同じく月に供え物をする所や、大根の年取りと称してダイコン畑に入るのを忌む所もある。その他、田の神送りの日として、2月10日前後の田の神降ろしと一対のものとみなしている所も、福島県を中心にして見られる。
一方で、藁鉄砲打ちの唱えごとや月への供物の習慣から、この行事は、水田での稲作のみに関わるものではなく、畑作祈願の要素も認められる。


「藁鉄砲打ちの唱えごとの一例」
とおかんや、とおかんや
とおかんやの、藁でっぽう
夕めし食って、ぶっ叩け



山本茂先生を取材して作られた本、「わらでっぽうとよるのみち」には、このように寄稿されていました。

「十日夜」について    六合村立第一小学校教諭  山本 茂


 …十一月、周りの山々初雪が見られる旧暦十月十日が近づくと、小学校の子どもがいる家の庭先では、おじいさんやお父さんによる“とおかんや(わらでっぽう)”づくりが始まる。子どもたちは、この頃になると「十日夜」の祭りを何よりの楽しみにしており、小学生中心につくられている子ども会のリーダーは、「十日夜」の祭りのために歌を練習したり、回る順番を考えたり、忙しくなる。


 いよいよ「十日夜」の晩になると、子どもたちは、それぞれに作ってもらった“とおかんや”を大事そうにかついで、三々五々、地区の公民館に集まってくる。「十日夜」の晩は、必ずと言っていいほど厳しい冷え込みになるので、みんな手ぶくろ、防寒着で身をつつみ、懐中電灯を持っての完全装備。上級生は下級生の面倒を見ながら、懐中電灯の明かりを頼りに狭い坂道をかけ上がり、かけ下りて地区の全部の家を回る。「とおかんやがきたよ。」という大きなかけ声に、「ごくろうさん。しっかり頼むよ。」と家の人が答えて、玄関に明かりがつくと、子どもたちは声をそろえて「十日夜」の歌をうたいながら地面をたたき始める。終わると、家の人が「ごくろうさん。」とねぎらって、ご祝儀をはずんでくれる。このご祝儀は昔はたいていおもちだったが、今はほとんどお金である。子どもたちは、このお金を子ども会の活動に使う。


 こうして、村では、仏様や庭先に作ったかかし神に供え物をして、一年間健康に働かせてもらったことを感謝し、その年の豊作を祝い、子どもたちにもぐらを追い払ってもらって、次の年の豊作を願う。
「十日夜」の行事は、大人にとっては生活をかけた真剣なものであり、一方子どもには、大人の願いをかなえてやろうとする子どもなりの気持ちと、大人社会に参加することで得る報酬の喜びとが混じり合ったものである。


 この大人と子ども、両者の思いが一つになって、おじいさんやおばあさん、そのまたおじいさんやおばあさんの子どもの頃にさかのぼった古い昔から今日に至るまで、「十日夜」の行事が守られ、続けられてきたのである。



山本茂先生からお借りしたこれまでの「とおかんや」の写真からイメージしてみると、まずは各地区の一角で大人が中心になって“とおかんや”づくりを行う。“とおかんや”は、わらでっぽうのことでもあり、年中行事そのもののことでもある。





大人に手伝ってもらいながら作った“とおかんや”を持って、集落の各家をまわります。




家に着くと、大将の子どもが「とおかんやが来たよ〜」と掛け声をかけます。中から家の人が出てきて「ごくろうさん、しっかり頼むよ。」と家の電気をつけると、子どもたちは“とおかんや”の歌をうたいながら、地面をたたきます。




とおかんや とおかんや
とおかんやは いいもんだ
あさそばきりに ひるだんご
よーもちくっちゃ はらだいこ
ぽーんぽんと なるように
このうちはんじょう するように
もひとつおまけに よいしょ!


“とおかんや”は、地区の全戸が終わるまで続き、終わる頃は真っ暗になる。こうして、六合村の夜は更けていく…



ということであります。どうでしょうか、六合村の“十日夜”のイメージができましたでしょうか?私は年中行事のない北海道の一集落で生まれ育ち、嬬恋村でも十日夜に参加できなかったために、ようやく吾妻の十日夜がどんななのかを知ることができました。


六合村の十日夜は、当協会でもイベント化して大いに発信してまいります。お子様がいらっしゃるご家族さま、ぜひ、参加してみてくださいませ。






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