観光白書〈平成20年版〉


観光白書〈平成20年版〉


  • 国土交通省(編集)
  • 価格:¥2,200(税込)
  • 大型本:145ページ
  • 出版社:コミュニカ(2008/07)
  • 発売日:2008/07



昨年に引き続き、観光白書を読んでみた。観光業界に特に新しい動きは出ていないと見ているが、「ヘルスツーリズム」という言葉を今後使用していくにあたって、旅行の動向を丁寧に見定めておく必要がある。



昨年の観光立国推進基本法施行により、?訪日外国人旅行者数を1,000万人にする、?日本人の海外旅行者数を2,000万人にする、?観光旅行消費額を30兆円にする、?国内旅行による一人当たりの宿泊数年間4泊にする、?国際会議の開催件数を5割以上増やす…などの目標を掲げると共に、その達成のために必要な政府の施策等を定めた「観光立国推進基本計画」を閣議決定、さらに観光庁の創設…という、形式的には国として観光立国に向けての体制を整えているようには見える。そして今年は「環境」に対しての市場の動向調査を行ない、その数値を提示しているが、これらの数値がどのような役割を果たすことができるのかは不明である。「ふーん、やっぱりそうなんだ」って思う人はいるだろうが、この数値から市場を読み取り分析し、何か役に立てる人はあまりいなさそうだ。環境に対してはこれまであまり盛り込んでいなかったようだし、来年以降、取扱いに慣れてきてからの資料に期待したい。



残念に思ったのは、ヘルスツーリズムって、去年から比べて伸びていないのか、人気が出なかったのか、とにかくあまり定着できなかったみたいで、観光白書での取扱いは昨年よりも小さくなっている。エコツーリズムについては、昨年同様、今後も重要なマーケットと考えているようだ。



国の観光に関する動向としては日本が世界の旅行地・観光地として生き残れるかどうか…というところに焦点が合っているように感じた。すると、鎌倉や東京、京都、奈良と万座を比較することになるのか…これは大変な時代だな。私だって世界を旅する夢を見たい気持ちは少しはあるが、そういう際限のないことを求めるのは、私に合わないことが解かってきた。私にできることは、やはりエコツー、グリーン・ツー、ヘルスツーリズムなどのニューツーリズムを、地域の特徴を上手に表す形でコーディネートしていくことなのだろう。