ヘルスツーリズムの現状と展望



 〜「ヘルスツーリズム」を消費者の目から捉えた初のレポート〜
 http://www.jtb.co.jp/healthtourism/topics/book2.asp

  価 格 : 3,500円 (本体 3,333円+消費税)
  ※ 別途送料が525円かかります。
  発行日 : 2007年9月
  判 型 : A4版 142ページ
  編集発行: ヘルスツーリズム研究所


いよいよ、ネイチャー木村はヘルスツーリズムに取り掛かる。本書は日本初の消費者のヘルスツーリズムに対する意識調査と、各地で増加するヘルスツーリズムの現状の俯瞰、ヘルスツーリズム市場分析と計測手法の提示により、ヘルスツーリズムを展望する内容…とのこと。今のところヘルスツーリズム市場分析では最も信頼できる本である。

現在、日本中でヘルスツーリズムの動きは急速に進展している。とりわけ本書では実施中の231件を紹介しているが、現在、この倍の数は存在しているであろう。自然体験、ウォーキング、エステ、ヨガ、太極拳、リラクゼーション、ヘルシーメニュー、メディカルチェック…ありきたりなものが多いが今後の山岳リゾート地における宿泊業界において、このようなプログラムが常設されることがどうしても必要なのである。


【ヘルスツーリズムの定義】

 健康増進・健康維持・健康回復を図ることを目的とした旅行とその推進
 (2006年10月10日 NPO法人日本ヘルスツーリズム振興研究会)

 「ヘルスツーリズム」は、自己の自由裁量時間の中で、日常生活圏を離れて、主として特定地域に滞在し、医科学的な根拠に基づく健康回復・維持・増進につながり、かつ、楽しみとしての要素がある非日常的な体験、あるいは異日常的な体験を行い、必ず居住地に帰ってくる活動である。
 (2007年3月 ヘルスツーリズム検討委員会)

 ヘルスツーリズムとは、自然豊かな地域を訪れ、そこにある自然、温泉や身体に優しい料理を味わい、心身ともに癒され、健康を回復・増進・保持する新しい観光形態であり、医療に近いものからレジャーに近いものまで様々なものが含まれる。
 (2007年6月 観光立国推進基本計画)


【旅行先での健康活動実施意向】

  • 温泉 78.3%
  • 森林浴などの森林セラピー、自然体験 54.0%
  • 整体、マッサージなどのプログラム 37.7%
  • タラソテラピーエステ、スパなどのリラクゼーションプログラム 33.9%
  • ウォーキング、トレッキング、水中運動、ヨガ、フィットネス等の運動療法 32.2%
  • 笑いによる免疫力アップ 23.7%
  • アンチエイジングプログラム 21.4%
  • アート・音楽によるセラピー 19.6%
  • マクロビオテック、医食同源、断食などの食事療法 16.6%
  • 脳トレ 16.2%
  • 人間ドック、PET検診を受ける 14.1%
  • 地域交流体験(ものづくり体験等を通じ、地域の人々との交流を深める)13.2%
  • アニマルセラピーによる癒し 11.9%
  • 健康についてのセミナー受講 6.9%
  • やってみようと思うものはない 0.7%


中盤は、私にとってはあまり参考・引用には使えない分析数字が並び、少し困ってしまったが最後のほう、≪2.11 ヘルスツーリズムの発展性に関する考察≫には、とても重要なことが書いてあった。これで本書を購入した価値があった。P130の一部を紹介すると、


『ヘルスツーリズムの普及を図っていく上での最大の課題は、「旅行に行ってまで健康のことを考えたくない」という、ヘルスツーリズムに対する基本的な誤解を解くことにある。本調査結果の端々から窺えるとおり、ヘルスツーリズムと聞くと、禁欲的な体験の実施を強いられるのではないかという誤ったイメージが、ユーザーの中に根強く存在している。…中略… 最大の誤解は「健康づくり=禁欲的」と考えることにある。健康づくりとは実に楽しいものであり、逆にいえば楽しくなければ健康になることはできない。ただし、現在の不健康な生活を改善し、健康づくりの楽しさを再発見するには、ちょっとしたチャレンジが必要となる。旅行には、そんなチャレンジに抵抗なく飛び込める雰囲気がある。まさにこれこそがヘルスツーリズムに他ならない。言い換えるなら、健康づくりの楽しさと出会う場を提供することにこそ、ヘルスツーリズムの本来的な意味がある。』


つまり、リゾート地だから、旅行先という非日常的なステージだからこそ、ヘルスツーリズムを体験する消費者ポテンシャルがあるのだ。どんどん推進していこう。