ローカルサミット中之条に参加




『「ねどふみ」からやるこんこん草履づくり』のチラシを持って山本秀明さんのガソリンスタンドに宣伝しに伺ったら、「赤木さん、これおいでよ」とチラシをお渡しくださいました。「ローカルサミット中之条」だそうです。

ローカルサミット中之条
【10月10日】シンポジウム 総合司会:山田豊
 13:00 開会ローカルサミットぐんま代表挨拶・亀田慎也
 13:10 開催地代表挨拶 山本秀明

 13:20 クロストーク
●テーマ1「六合(山村)の暮らし 生活の糧は 100年後の六合は」
パネリスト
 関 千代衛(木地師:伝統工芸伝承者)
 山口 一元(農業と酪農)
 黒岩 正善(六合の山野草や花栽培の先駆者)  
 モデレーター 亀田 慎也

14:30
●テーマ2「こんこん草履(クロストーク)如何に伝承するか」
パネリスト
 中村すみ
 黒岩 ふじ子
 中村千代子
 山本 秀明
 モデレーター 山重 徹夫

15:40
●テーマ3「作家の視点で見る六合」
パネリスト
 山重 徹夫
 中山 穣
 行松 啓子
 アンダーソン
 モデレーター 入内島道隆

16:50 フリートーク
17:30 終了
18:00 懇親会(くじらや)


【10月11日】
ビエンナーレツアー  or こんこん草履づくり


へえ、何だかよく解りませんが、田舎を大切にするっていうことと、六合の持続可能な暮らしぶりから何かを得ようとしているっていうことですね。いいじゃないですか、ぜひ参加させてください。



  


ねどふみの里に、吾妻郡内の知ったお顔と、初めて見える方々が集まりました。花敷の湯の山田豊さんが司会進行です。


内閣総理大臣内閣官房長官からも祝電を送っていただいたようですが、奥山なのでまだ届いていないようです。」


ホントーに、ユーモアのあるお方です。



  


ローカルサミット事務総長の吉澤保幸さん。「ローカルサミット」とは、国の幅広い志民との連帯の中で、地域活性化の輪を拡げると共に、従来の人間中心の成長至上主義から自然との共生・循環に立脚した価値観への転換を共有しようとするもので、毎年全国各地で開催しているのだそうです。「暮らしを大量生産型からもう一度ローカルに」おお、それは素晴らしい。私の考えと同じじゃないですか。


開催地代表の山本秀明さんが挨拶。さすがは六合の棟梁、堂々としていらっしゃいますね。「趣旨はよくわからないのですが…」地元で暮らしを営んでいる方からするとそういうものなのでしょうね。皆さん、六合の方々のライフスタイルに憧れているということなんですよ。





そんなこんなで、セッション1.「六合(山村)の暮らし 生活の糧は 100年後の六合は」が始まりました。パネリストメンバーは予定と少し違っていて、ねどふみの里保存会の中村義司さん、農家・酪農家の山口一元さん、蕎麦処野のやの山本幸人さんになりました。3人中2人が変わっても続行できる人材の豊富さも、六合にはあると思う。皆さん地に足がしっかりついているからですかね。


こういうセッションで進行役というかファシリテーター役をする人を、モデレーターというのですか。初めて知りましが、モデレーターの亀田慎也さんは有花園という胡蝶蘭専門の花屋さんの社長さんで、(社)日本青年会議所群馬ブロック協議会の会長さんだそうです。こういう、普通の会社の社長さん、商工会議所の重鎮の方々がローカルを叫び、このシンポジウムの中心人物となり、モデレーターをしているという事実からは、10年前とは社会に流れる民意のベクトルが確実に変わってきていると感じます。


中村義司さん、「大正年間植えたカラマツの伐期が来たので樹木の伐採と植林の仕事をしていた。六合村議会議長も務め、いつも世話人をしてきた。」なるほど、そうだったのですか。


山口一元さんはお話が流暢でいろいろと聞かせてくださいました。

  • 昔は米も麦もダメ、雑穀を作って食べてきた。
  • 五反百姓(50aの田を耕作していた百姓)だったが、田代原で専業農家となることができ、今は長男次男が跡を継いでくれている。
  • 草津蕎麦屋さんにもそば粉を卸していたが、福島第一原発事故のあと、取引はなくなった。
  • 現在は六合地区の野のや、くれさかにそば粉を卸している。
  • いくつになっても挑戦していたい。最近は納豆作りに励んでいる。
  • 入山きゅうりはちょうずかうりのこと。


そして、中村義司さん

  • 子供は、都会の学校に行かせた。するとそのまま都会(伊勢崎)で就職し、都会のお嫁さんをもらい、都会で家を建てた。
  • 子供は、地元だし、定年退職した後に伊勢崎から帰ってきても良さげだが、奥様や子供は全くその気はなさそう。
  • 昔は林業の仕事があり、群馬鉄山(チャツボミゴケ群生地のところ)でも仕事があったが、今は仕事が無い。


山口一元さん

  • 自給自足の生活では暮らしが成り立たなくなった。
  • 自分だってパイロット事業が成功しなかったら、ここにはいなかった。
  • 子供には都会並みの教育を受けさせたいと思う。


しかし、蕎麦処「野のや」の山本幸人さんは、前向きでした。マイタケを栽培しながらお客様に蕎麦を提供していて、六合に来訪するお客様が減ってきたり、勢いがなくなってきているようには感じていない、六合の魅力はたくさんあるし、木村さんや赤木さんのやっている山めぐりツアーからでも新しいお客さんとの出会いもあるし、行き詰った感覚は無い、まだまだこれからでもやっていけると思う…と仰られました。


私も、幸人さんや秀明さん、山田豊さんもそうですが喜久とうふ店の御主人、昭夫さんなどの、現在の六合地区の産業の中核を成している方々を拝見していても、陰りがあるようには全く見えないし、ますます脂がのってきているというか、勢い衰えず、とても元気だと思う。この過疎地で、世の中の不景気とは無関係に商売が成り立っているのは六合の方々の心臓の強さなのか、それとも六合の神々の守りなのか。





セッション2.「こんこん草履(クロストーク)如何に伝承するか」
パネリストはこんこん草履ガールズ。左から下田かずこさん、中村すみさん、中村千代子さん、黒岩富士子さん、そしてモデレーターは中之条ビエンナーレ総合ディレクターの山重徹夫さん。遅れて、黒岩みつさんがガールズに入りました。


このあたりからきちんとメモを取れなくなってきました。スゲは草履ではなくムシロにした。家の中のあっちこっちで使われていた、ねどふみは昔は尻焼だけではなく、花敷でも行われていた、11月〜3月はねどがいっぱいされていた、炭俵を括るにもスゲ縄を使った。

草津(ホテルヴィレッジ)に天皇がお泊りになった時、こんこん草履をホテルの上履きに使ってくださり、最後は持ってお帰りになった。


こんこん草履はねどふみの里では一足1,300円で販売している。しかし、根広の作り方だと、その倍の価格で販売しても、それだけで食べていけるほどの利益が出るとは思えません。私も、ねどふみとこんこん草履の学習会を実施する立場から少し言及させていただきました。

六合の時間は自然の時間。大急ぎで大量消費するためにやみくもに大量生産する近代モノカネ至上主義を満足させるための時の流れではないのです。そのライフスタイルに誰もが癒され、郷愁を感じるのでしょう。誰もが、ねどふみの里、こんこん草履守人のライフスタイルはかけがえのないものだとわかっているのです。しかし、同じようには生きていくことは難しい現代。





セッション3.「作家の視点で見る六合」
ここでは、ビエンナーレ総合プロデューサーの山重徹夫さんはパネリストに。そしてくれさかの森の陶芸家・中山穣さん、私たちの仲間でもある彫刻家・芸術家のスタン・アンダソンさん。モデレーターは前中之条町長の入内島道隆さん。


先に、入内島さんから「日本で最も美しい町連合」加盟の裏話を教えてもらいました。今でこそ、中之条町は日本で最も美しい町に「伊参」と「六合」が加盟してしますが、実は中之条町六合村と合併する前に、加盟を申し込んだが、一次審査で落選したそうです。その後、平成の大合併(平成17年合併新法)の協議で西吾妻が決裂した際、六合村はかつて一緒だった草津町ではなく、中之条町に助けを求めました。当時町長だった入内島さんは経済効果や効率ではこの合併はうまくいかないとわかっていたので、助け合いの精神を全面にアピールして合併にこぎつけました。「隣町がこんなに困って助けを求めているのに、ここで手を差し伸べなかったら、中之条町はこの先ずっと悔いることになる」と。


その後、「日本で最も美しい町連合」に加盟を再度申請すると、資格委員会に「六合村と合併したのにはやられた。六合村は前々から目をつけていた。あそこは、文句なく日本で最も美しい町だ。」と言われ、なんなく加盟できたそうです。


山重さんによると、今でこそ全国になが知れ渡る中之条町の芸術祭、中之条ビエンナーレですが、最初は山重さんら芸術家が個人的な貯金をくずしながら運営するところから始まったそうです。
中之条町の中心地の商店街にポッカリと出来た空き地をどうするか。入内島さんはこれまでと同じ運営方法で商売をやってもダメだ、中之条町を、若者たちがのびのびと活躍できる、活気ある街にするためにも、芸術家たちの力を借りる必要がある…とし、山重さんらにプロデュースしてもらってできたのが、「中之条町ふるさと交流センターつむじ」なんだそうです。どうりでお洒落で雰囲気の良いところだと思いました…。


スタン・アンダソンさんはこういうパネラー出演は苦手なようですが、六合は住んでいる人の人柄も良いし、大好きな自然もたっぷりあるし、とても過ごしやすいと仰っていました。最近は移住するアーティストも増えてきたし、仲間が増えてうれしいと。また、スタンさんは芸術本の翻訳の仕事をかなりこなしていて、その仕事をするにも、今はインターネット環境がしっかりしているから苦にならない、その辺をもっとアピールすれば、インターネットで仕事をしながら六合の自然の中で仕事をしたい人はたくさんいるんじゃないかな?と仰っていました。


中山穣さんは、とても熱心で真面目、几帳面な性格。そのために、とても慌ただしい毎日をお過ごしになっているそうです。そんな中山さんはどうしたら、もっとゆとりを持って、後先のことを深く考えずに人生を楽しく謳歌できるのか…例えばスタンさんや木村さんのように…と仰っていました。


これからの六合はどうしたらよいか?との問いに、山重さんは「このままでいいと思います。」おお、全くその通りです。でも、伝統文化の継承だけはなんとかしたいですねー。



  


名前を挙げられてしまった木村さん。「中山さんだって、若い時はもっと楽しく遊んでいるように見えましたよ〜」とのこと。今は背負うものが大きくなってしまったのですかね。

会場には桑原かよさんの姿もありました。中之条ビエンナーレ実行委員長です。桑原さんは中之条町生まれでしたが、一度故郷を離れ、町の地域活性化の拠点『つむじ』を立ち上げる際に故郷に帰ってきたとのことです。『つむじ』がなかったら、中之条町には帰ってこなかったでしょうと。なるほど、中之条町における『つむじ』の位置づけがだんだんわかってきました。





最後に、ローカルサミット事務総長の吉澤保幸さんが閉会の言葉を述べます。この方は、本当に田舎暮らし、ロハススタイル、持続可能な社会…などのコンセプトをわかりやすく、的確にまとめて話してくださいます。お金が主人公となり、経済効率性と利潤を追求する市場原理主義グローバリズムが行き詰まり、人間の物的欲望充足を追求してきた物質文明が終わりを告げようとしていることは誰もが肌で感じています。新たな時代、新たな文明をどう切り開くか、価値観の転換をどう進めていくか、そのヒントは六合のようなローカルにある、持続可能な田舎暮らしのライフスタイルにある、こんこん草履のようなものづくりにある…



  


いい時間、いい空間を、いい人たちと過ごさせていただきました。お誘いくださった秀明さんに感謝です。





最後に記念写真。この場に同席させていただけて光栄です、私もローカルサミットに深く共感しています。ありがとうございました。
ではでは、私は私のペースでいつものように、吾妻にあるかけがえのない“ものこと”をコツコツと発掘発信してまいりマース。今後ともよろしくお願いいたします!



ローカルサミット http://localsummit.jp/






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