あずまや温泉−四阿山−中四阿−あずまや温泉ルート(下見登山)
暑い8月も台風も過ぎ去り、いよいよ協会の登山ガイドページの作成に入る。日本百名山「四阿山」の登山ガイドは、これまでパルコール嬬恋からの往復ルートだけだったが、今後は全てのルートからガイドを受ける予定。
今日は、あずまや温泉(あずまや高原ホテル)からのルートを下見した。
長い記事になるが、このブログはルートの記録を兼ねているのでご勘弁ください。
長野県側の四阿山登山口のホテルの一つ、あずまや高原ホテル。四阿山に登るには良い立地だ。
ホテルの上は別荘地になっている。しばらく砂利道を歩く。
カモシカ・キツネコースとウサギ・リスコースがあるらしいが登山道とは関係ない。
10〜15分位歩くと、本当の登山道に出る。入口のアカマツはとても大きい。ランドマーク、門番の松か。
しばらくは森林浴ハイキング的な緩やかな登山道。足元にはるのはカラカサタケ(ハラタケ科カラカサタケ属・食)。先が長いので採取しない。
もう10分ほど進むと、牧草地が出現。そして案内看板も出てきた。
この先を進むと、とんでもないところを通ることになった。うわっ、これでは人を連れてくるのは…と思ったが、私の早とちり。涸れ沢を歩いてしまったようだ。その上に、きちんと登山道はあった。
ハクサンフウロは、上信高原の山には必ずある植物。赤や紫など、色の変異が多い。
ヒョウモンチョウは種の判別が難しい。私は、ミドリヒョウモン(タテハチョウ科)の♀と見た。
これもまた難しい、セリ科植物。この一帯にはイブキボウフウ(セリ科イブキボウフウ属)があることになっているので、だぶんそれだろう。
牧場に牛がいる風景は良い。登りの際にはあまり牛が出ていなかった。帰りには、いるといいな。
キベリタテハ(タテハチョウ科)は標高1,000〜2,000mの山地・高原に生息する。幼虫の食樹はダケカンバ。なかなか羽を広げてくれない。5分ほど待って、ようやく開いてくれた。ヨーロッパの王侯貴族の様なシックなデザインだ。
また森に入っていくが、この少し前から、足元は石がごろごろするようになっていて、歩きにくい。しかしここはトレイルランニングのコースとなっている。こんな道、よくまあ走るよなあ。
ガンコウランがほとんど見当たらないのに看板がある。ガンコウランは結構移動するのだろうか。それとも、周りの樹が大きくなり、日陰になって衰退していったのか。
今日の花ではマツムシソウが一番目立っている。そこに盛んに吸蜜しに来るのがクジャクチョウ(タテハチョウ科)。学名はなんとgeisha(芸者)だ。通常はそんなにいないのだが、カメラのレンズに3頭も入ってきた。…あ、ビデオで獲るのを忘れてた!また後で出てくるかな?
そして里宮分岐に到着。ここに祠があるが、まさかこれが里宮の訳があるまい。右に道があるので、その先にあるのだろうと思う。しかし、今日はあまり時間が無いので里宮を見るのはパスした。
この辺りから斜度が強くなってくる。
登山道の真ん中にある祠。○○大明神と書いてある。○○の文字は読めない。
左側が開け、中四阿の姿が見えてきた。「→文京」の文字が気になる。
さらに傾斜は強くなる。
山頂が近くなってきたのか、ガレ地と高山植物のお花畑の風景。
ここにも「文京ファイト!」の文字が。文京って何ですか?
ケルンというよりは、石積みと見た方が良いだろう。四阿山は古くからの信仰の山。日本的な意味で石積みがされていると思う。風衝地に矮小低木が広がる山頂付近の風景だ。
古い祠が、真田町(上田市)を見下ろしている。この山に似合う風景だ。
カモシカの足跡と人間の靴跡。いよいよ四阿山山頂まであと700m。
もうすぐ、山ではメインの花がマツムシソウからリンドウにとって代わられそうだ。
この後、もう一回下りがあるのがガックリくるところ。
最後の木道階段を登ると、まずは嬬恋村(群馬県)方向を向いた上州祠が。しかしここは実際には長野県の土地。
石宮を祭った石室を通り越して、本当の山頂、2,354m地点にある信州祠がある。こちらは真田方向(長野県側)を向いている。
ひと休みして、今来た道を下る。山頂付近はシラビソの実が豊作のようだ。
下山の頃になってようやく、霧が晴れてきた。良い眺め。
中四阿・あずまや温泉分岐点を中四阿方面に進む。かなり急な森の中の道。
森を抜けると、根子岳の美しい姿が見えてきた。ここからでも猫の背中のように丸く見える。
中四阿の尾根もなかなかいい形だ。あそこを歩くのかと思うとワクワクする。
中四阿手前の鞍部に到着。右側は崖になっている。ここから少し上って中四阿の最高地点。
中四阿の尾根を下る道は、なかなか気分がいい。登山道らしい荒々しさとがあるし、遠くの牧場まで見えて裾野の広がりを感じることができる。天気がまあまあで良かった。
中四阿尾根から見上げる根子岳。万座温泉から根子岳北東の絶壁(旧四阿山火口壁)はよく見えていたが、南側まで絶壁になっているとは知らなかった。崩壊したのか、それとも南側に別の火口があったのだろうか。
尾根道が少し広がってきて、菅平牧場事務所とあずまや温泉との分岐点に到着。
ここで、登りの際には美しいあまりに見とれてしまい、撮れなかったマツムシソウに吸蜜するクジャクチョウに出会う。ビデオカメラに収めた。
本当、綺麗なコントラストですよね。
先に進むと、風景は風衝地のガレ地から深い森へと変わる。
イワツバメ(ツバメ科)がさかんに舞っている。
さて、ここからが大問題。「四阿高原」の看板は見えるものの、登山道が見つからない。旺文社の地図でも【迷】マークが記されていたが、普通なら本当に迷ってしまう。ただし、左方向に道なき道を進んでいけば、やがて登山道に出ることはできる。
ところが、この登山道がとても狭い。ガスが出ている時は、見つけられないかもしれない。要注意の登山道だ。
ウメバチソウの花は少し遅いくらい。ぐるっと回り込んで、ようやく里宮分岐地点に。えー!今通った道もトレイルランニングのコースなの?危ないと思うけどなあ。迷うっていう意味で。
牧場の鉄柵や土塁があったり。石がごろごろしている道を下りる。
おー、帰りの時には牛がたくさん出てくれていた。のどかでいい景色だなあ。
できれば、牧場の中に入って牛さんとたわむれたいところだが、それは禁じられている。
後ろを振り返ると山頂方向に乳房の様な形の尾根が見えたが、四阿山山頂ではなかったようだ。
足車に気を付けて下山し駐車場に到着。広い駐車場に私の車しかなかったのは残念。このルートは、パルコール嬬恋のゴンドラが動かない時は、四阿山山頂に一番近いルート。とてもいい登山コースなのに、もったいないなあ…。
あ、待てよ、鳥居峠のゲートが開いていればあっちの方が山頂に近くなるのか…。
よし、じゃあこのルート、私がどんどん売り出して行きますか。そうしよう!