クロコプロジェクト 芋掘りの日



今日は出来上がっているじゃがいもを収穫しにクロコプロジェクト畑へと向かった。作業の前に、明日のNHK取材の下打ち合わせの際にお見せする、じゃがいもからでんぷんをとる作業行程からクロコの原材料が生まれる事を説明するために、でんぷんの沈殿物と芋の搾りかすを用意したいのだという。まずそれをやった。

会長の近所の人からもらってきた、商品にならないくず芋。本来のクロコはこれを使っていたはずである。使えそうなものを分別し、水洗いをする。


  


芋は、皮のついたまますりおろした。ある程度たまったので、これからでんぷんを取り出したいのだが上手くいかない。取りあえず今回は網を使い、押して搾ることにした。


  


ぎゅうっと搾り、滓はクロコの原料、汁からはでんぷんを取り出す。ボールには白い泡がたっぷり浮いた汁が見える。この泡が、かつて吾妻川に浮いたのだというのだ。

土屋澄孝さんのトラックには、かつての芋すりおろし器が乗っていた!凄い、よくあったもんだ。このすりおろし器を、今年度は復元する予定でいるのだ。


  


かつての芋すりおろし器の銅版の突起は非常に荒い。この荒さが、皮まんまできる所以なのではないだろうか。

そこに黒岩初男さん登場。このやり方ではダメだという。木綿の袋で搾らなくてはダメなのだと。うーん今回は、明後日の下取材用のサンプルを用意するだけなので、こだわらなくても良いのだが…。しかし会長がこだわってしまった。なんと木綿の枕カバーを持ってきた!ちょっともったいなかったが、これにもう一度、滓と搾り汁を混ぜて入れ、でんぷんを搾り出すことにした。


  


男二人がかりでぎゅうぎゅう搾る。この作業を本当は12月にやったというのだから、なんと辛い仕事だったろうか。

この方法で出た搾り滓は、かなりでんぷんが残ってしまうことだろう。しかし、でんぷんを取る搾り汁のほうは不純物が少なくなる。私たちはどちらの製法を選ぶべきなのだろう。初男さんの話では、この赤みがなくなるまで搾ったというが…。


  


この搾り汁を、明後日見せるために透明な容器に入れる。芋に使った調理器具は、乾かないうちに洗っておく。そうじゃないと取れなくなってしまう。

では、前置きが長かったが今日の仕事、芋掘りをするか。初男さんがプロの腰の使い方を披露してくれた。


  


芋掘りものってくると楽しいもの。あっという間に7列掘り終わってしまった。これでも全部すりおろすのはかなり大変な作業になるだろう。

収穫したのは手前から、アンデス、ワセシロ、キタアカリの3種。今日のメンバーで記念撮影はいチーズ。


  


種を植えて育てたじゃがいもの方は、マルチのまま放って置いている。まだ花の咲いているものもあり、種から育てるとこのようになるのが普通なのかもしれない。そして、いくつも植えた中、一株だけがトマトのような実がなっていた!これがジャガイモの実…。熟したら食べてみたいが希少すぎてそれはできないだろうな。これも来年の種として植えることになるのだろう。


  


茂次さんの畑にあるたくさんの小さなほおずき。土屋澄孝さん曰く、「昔は必ずこれが畑の脇にあったんさあ。放っておいても、いくらでも増える強いやつでね、じゃがいもを掘りに行く頃には必ず実が落ちていて、これをつまんで食べながら芋掘りをしたんだよ。でもしばらく見なくなってしまっていたから、農薬には弱かったんだろうなあ。それが、最近、また見るようになったんだよ。食いほおずきって言うんさあ。」

食いほおずき!?これ食べるの?…食べてみたら、めちゃくちゃ美味くてビックリしてしまった。これは村の名産にしないともったいないと思う。その、畦に転がっている食いほおずきをつまみながら、ジャガイモを掘るスタイル、なんというスローな風景だろうか。そのスタイルごと復活させたいなあ。


  


茂さんは、この食いほおずきを山で見つけて増やしたのだという。増えて増えて困るのだと。お土産に少し分けてもらった。

さて、芋掘り作業前に容器に入れた搾り汁はどうなっているかな?おっ、下にうっすらと…よし、これで明後日の下取材はばっちりオッケー。皆さんお疲れさまでした。