木に学べ ― 法隆寺・薬師寺の美


木に学べ―法隆寺・薬師寺の美


地球について深く思いをめぐらせながら森林や植物のことを深く学んでいると、地球温暖化防止のため、炭素固定のため、どうしても木造建築に行き着くところがある。私だって事情が許せば今からでも大工をやってみたいと思う。



法隆寺金堂の大修理、法輪寺三重塔、薬師寺金堂や西塔などの復元を果たした“最後の宮大工”西岡常一氏が語り下ろしたベストセラー、ついに読むことができた。なんと氏は我が社・万座温泉ホテル総支配人の奥様、市村登與子さんの真々証明の叔父なのである!父の苦労を見てきた西岡氏の息子は残念ながら大工にはならなかった。JR(旧国鉄)に勤めたのだという。もう退職している頃だが西岡常一氏の息子がどんな仕事っぷりだったのかも気になるところだ。



木造建築物は古代ほど優秀だという。木の生命と自然の命とを考えていたのだと。生えている時の状態から木のクセを見抜き、曲がっているものはそのまま使った。右によるもの、左によるものをうまく抱き合わせて組み上げたのだと。それが新しくなるにつれて木の生命より寸法、大量生産、スピード重視の経済優先になっている…西岡棟梁の語りは、時代が進むにつれて衰えていく感のある伝統的な日本文化に対して、強く警告を発している。この本は時代が進めば進むほど光る一冊だと思う。



姪の市村さん宅(嬬恋村)では、西岡氏の愛用していたもののいくつかを大切にしまっているという。今度機会をみてお邪魔しようと思う。