AKAYAの谷







1990年代前半、赤谷湖付近に大規模ダムとスキー場の開発計画が浮上した。しかし、この水源の森を代々大切に活用してきた人々が中心となり反対運動を行った。やがて10年以上の年月を経て開発計画は白紙となった。


そして以前は森をめぐって「対立」の構図であった村人・国有林管理者・自然保護NGOは、この森に新たな夢を描き始めた。


AKAYAプロジェクト。


ブナの花が散る5月中旬、この谷を一望できる十二社ノ峰(1398.6m)を歩いた。なんと美しい谷かと思った。


『いい森とは、単に大きく育った木があるというだけでなく、森の世代交代をも経た、歴史的な「自然界の関係の蓄積」が今もたっぷりあるところなのです。』


開発反対運動に当初から関わってきた横山隆一さんの言葉を思い出した。この谷が対立関係者達の手と手をつなぎ合わせた理由が解ったような気がした。この谷の風景をどうしても次の世代に引き継いでいきたいと思った。