野地平、石樋の滝、源流の森下見



10月4日-5日に、嬬恋村東海大学との連携事業「嬬恋村を歩こう」を開催します。嬬恋村は昨年(平成25年)4月に東海大学と「包括的連携協力に関する協定」を締結しており、それに基づいて同大学の教職員等を対象にしたウォーキング(トレッキング)ツアーを実施するのです。


東海大学スポーツ医科学研究所長の寺尾保教授のエビデンスの下、浅間・吾妻エコツーリズム協会の森林セラピストが嬬恋の自然を案内します。





標高1500メートルの高地でのウォーキングは、平地に比べて、脂肪を効率よく燃焼させるので、生活習慣病の予防のためにダイエットに取り組もうという人や、血液循環が悪いため冷え性に悩んでいる人等にとっては、同じ運動量でもより“効果的”なのだそうです。さらに、緑や花々を眺めながら、高原の新鮮な空気に触れることで、大きなリフレッシュ効果も得られます。さらに、高地での運動後、宿泊することでより一層高い効果が期待されます。


そんなことで、今日は全コースをスタッフで下見してきました。



  


ミズナラの葉の真ん中に乗っかっているイクラのようなもの。これはナラハヒラタマルタマフシといい、ナラハヒラタマルタマバチが作った虫えい(虫こぶ)です。9月頃から出来はじめ、10月上旬頃から落下し、次の年の10月に蛹になって11月頃に羽化するのだそうです。不思議ですね。



    


カラマツの赤ちゃん、葉も紫色になったリンドウ、ツリバナの実。草木染めでは、材料の植物体を花の咲く頃に使うと鮮やかな色が出るといいます。リンドウでも一度やってみたいものです。



    


オオカメノキの花芽はいつ見ても可愛らしいです。赤い実はミヤマガマズミでしょう。ガマズミよりも葉脈が多く実がより球状に見えます。



    


コシアブラの潤いある葉、シラビソの皮目。



    


葉の切れ込みからヒナウチワカエデの可能性もありますが、雪国なのでコハウチワカエデと見ました。嬬恋村で最も紅葉が美しいカエデの一つです。ムラサキヤシオも紅葉しています。



      


ダケカンバは、比較的早く葉を落としますね。だからこそ、葉にアントシアニンが蓄積せずに黄色いのかもしれません。ヒロハツリバナの冬芽も特徴があります。



  


野地平に着きました。今日、最も鮮やかな紅葉のコハウチワカエデがありました。紅葉は、昼夜の温度差が大きいほど鮮やかである、と言います。それは、もしかしたら高原野菜が美味しいのと相関しているかも。高原野菜も昼夜の温度差が大きいと夜間に糖分の消費が少ないので、日中に蓄積した糖分を野菜の中に蓄えることができます。夜間に寒いと、葉の中でできたアントシアニンが、樹木に移動しにくくなる…としたら、高原で野菜が美味しいのと紅葉が美しいのは理由が同じことになります。うーんこれは発見だ。



    


野地平あたりまでくると、サラサドウダンツツジの紅が圧倒的に目立ちます。トナカイゴケもたくさんあります。



  


コース中、最も大きなシラビソの木の周りは、今年は笹刈りをしていませんでした。ところが、別の場所でオオシラビソとの出会いがありました。



  


ミズゴケの紅葉、リンドウの品の良い退色に心打たれます…



    


次に石樋へ。カラマツの道、ハナイグチ、イタヤカエデ。



  


新たに気づいたのは、思ったよりもシナノキがあることです。六合村根広にあるのはかつて野反湖から苗を持ってきたものですが、なんとバラギ高原には自生していたのです。これは驚き。ブナといい、バラギ高原がカラマツ植林で埋め尽くされる前の森はどんなに命あふれる森だったろう、と思います。



  


サンゴのような美しい地衣類を発見。魚止ノ滝(うおどめのたき=石樋の滝)は、昔は滝をくぐって裏側を徘徊できたそうで、こんなに滝壺も深くなかったそうです。



  


ここで、清流にしか棲息しないといわれるハコネサンショウウオと出会っていただいて、この崖を登りたいと思っています。



    


ロープを二本かけて…この冒険プログラムが森林浴セラピー?


いいのです。当協会の森林浴セラピーは森林セラピーソサエティ森林セラピー概念に治まる必要はありません。気持ちよく発散できたり、嗜好を満足させることができて、明日からのお仕事や人生を渡っていく生気を養ってくだされば良いのです。もちろん、登りたくない人は普通に階段で移動していただきます。





嬬恋村天然記念物「石樋」。宇田沢の川床を形成する約300mの安山岩床です。石でできた“樋”にたとえて“石樋”と名付けられています。



    


ここを、沢登りする予定でいます。お客様がうまく歩けるように、川床の石を動かして調節しました。



    


水から逃げたモミの根がオクトパスのようです。「龍の壺」へは、倒木があることと、ここまで難なく歩ける方なのか見当がつかないので、やめるべきかもしれません。



      


霧が濃くなってきました。「源流の森」は、今年は草刈りしていないようです。これはまずい、なんとかしなくちゃいけませんね。今年の湧水は、枯れていません。しっかり湧いています。



  



水の生まれるところ、嬬恋村バラギ高原。「源流の森」のダケカンバはその象徴です。豊かな水に育まれた大きな樹体。そしてダケカンバの森は霧の水滴をキャッチし、或いは森の乾燥を防ぎ、そしてスポンジのように水を蓄える土壌をつくり出します。



    


帰り道、倒木がありましたがハイキングには支障はないでしょう。ブナにもマーキングしました。


干川さん、熊肉ありがとございました。さーって、どうやって喰らおうかな…






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