干俣諏訪神社湧水と上信鉱山溶鉱炉



学生御一行様のガイドがお昼までに終了したので、午後からは干俣方面の下見に行ってきました。




干俣諏訪神社 (以降、看板より)

【鎮座地】 群馬県吾妻郡嬬恋村干俣365

【祭神】
 主 神: 建御名方命(農業、水の神、学問武道の神)
 配置神: 八坂刀売命 菅原道真公 日本武尊 大山祇命 大日霊命 火産霊命 大物主命 素盞嗚命 誉田別命
      倉稲魂命 雷命 市杵嶋姫命
 境内神社:稲荷神社 雷電神社 厳島神社

【本殿】 流造
【拝殿】 権現造入母屋
【鳥居】 明神鳥居
【境内地】 20.333平方メートル
【例祭日】 四月五日・十月吉日
【特殊神事名】 つつがゆ神事 一月十四日
【由緒・由来】
 建久年間、源頼朝浅間狩の際に当社にて一夜の泊まりをし、社殿の庭にて蹴毬をしたことから本神社は別名『毬宮(まりのみや)』とも呼ばれている。
 明治四十一年六月十五日許可、本社境内末社雨降社、大山祇社及び上ノ貝大山祇神社外七社を合併する。

 干俣諏訪神社氏子会


浅間・吾妻地域に諏訪神社が多いのは、戦国時代〜江戸時代初期にかけて真田氏が統治したところだから、という理由はまんざらでもないのでしょうが、神社看板を読むと先に神社があり、ここに建久年間(1190年〜1198年)に源頼朝が泊まった、ということになっています。諏訪神社の創建は古く、文献上では『日本書紀』の持統天皇5年(691年)8月に「信濃須波」の神を祀るというのが初見だそうで、国内で最も古い神社だという説もあります。


源頼朝が来る前からパワースポットだった、干俣諏訪神社。嬬恋に来たらぜひ訪れてください。



  


水神様の近くにある、幹周4m近くあるコナラの巨木。これは必見です。



      


音無川は、源頼朝が川の流れる音を「うるさい」と言ったら音がしなくなった、という伝説も聞きますが、唐沢雅夫先生が書いた愛郷---上信高原民話集では違う伝説になっています。


蹴鞠神社と音無川(愛郷---上信高原民話集(二))
http://ecotourism.or.jp/akagi/aikyou/minwasyu/02.html


この川にはたくさんのバイカモが自生していましたが、水道管を引くための工事でほとんどなくなってしまいました。ワサビも。しかし、そのおかげで今やこのパワースポットから湧出する「音無のしみず」を一般の方でもガブガブ飲めるようになったのですから、工事をしてくださった地元の方々に感謝です。もっと、たくさんの人がこのありがたい水を飲みに来てほしいです。

ただし、「ホタル育成中 立入禁止」の看板については、以前からホタルがいたという情報は聞きませんので、もし新たに導入したのならショックです。嬬恋村の湧水は冷たいのでホタルが生息していた事実はあったのでしょうか…?



    


そんなこんなで、本日のメイン下見、「上信鉱山溶鉱炉跡」へ向かいます。ここは、一般住民の私道を歩かなくてはならないので、村としては観光名所にすることができない場所なのです。


途中にあったオオブタクサの茎。中を割ると、スポンジのように柔らかい芯があり、その周りを維管束を含む固い茎があります。木本でいうなればノリウツギのよう。柔らかい芯鉄を硬い皮鉄で包んだ日本刀のような構造です。



    


さて、途中から使用されていないあれ放題の公共所有林となります。左側が学校林、右側が国有林と聞いています。左側の学校林で地域の子供向けに森林体験プログラムを展開したいとも思いましたが、駐車場とトイレの問題を考えるとどうにも手が出ませんでした。嬬恋村にはこのようにどうにもならないインフラの障壁があるのです。



    


だからこそ、私にとっては探検っぽくって面白いのですが、一般の方にそれを押し付けるのはどうかと思っているわけです。嬬恋村でのエコツアーをこれ以上広げようとすると、「危険な場所」「法的に違反な場所」を開拓せざるを得ません。そんなこともあり、嬬恋村ばかりにこだわらず、広域なエコツアーコースを取り扱おうとしているのです。

おお、見えてきました。





森の中に突如現れる、手の込んだ造りの二つの塔。これが上信鉱山溶鉱炉です。



ロウ石山といわれた上信鉱山で採れたのはロウ石ではなく「加水ハロイサイト」でした。加水ハロイサイトは原料のままよりも焼成してからの方が高く売れたので、原料の採掘地であるここで焼成して搬出したのです。



    


宮沢を渡ります。この沢の石には黒っぽいコケがへばりついているので、それがとても滑るので要注意です。コンクリートが一部崩壊しています。年々、破損箇所が増えていっています。高さ14m、直径4mのレンガ建築です。



    


溶鉱炉の中には当時、焼成した鉱石のようなものが詰まっています。最終的には昭和38年(1963年)に火災にあい、鉱脈も尽きていたことから閉山したことになっていますが、中身を放ったらかしてやめた、ということなのでしょうか?きっとそうでしょうね。



      


当時の石垣もところどころ残っています。さて、ここから原石を露天掘りした場所へ探検です。あれ?こんなに水、多かったっけな?動物の足跡も多いです。



    


うら若き乙女を連れてくる場所ではないのですが、これもスタッフ研修。ガンバレ〜



    


ここまではっきりしたケモノ道をあるいたのは久しぶり。普通の登山靴だけだと滑るので、何か対策をするべきでしょう。草鞋とか荒縄を巻くとか。分かれ道を右に進んで、





着きました。加水ハロイサイト採掘地です。本当はここから左に大きく広がっていますが、険しく藪化していますので、歩き回るべきではありません。



    


この巨石を見るだけでも十分かも。何気ない巨石ですが、ロウ石っぽいのが含まれています。普通の石っぽいのも含まれていますね。加水ハロイサイトは火山灰や軽石などの風化によって生成される粘土鉱物…と聞きます。いろんなものが塊になったこの巨石はどんなプロセスでできたのでしょうね。



  


ナメ滝に向かうと、右側に岩窟があります。



      


そして、ナメ滝のすぐ脇にも、野生動物の気配ムンムンの岩窟が。これ、絶対使ってますよ。



    


別のところにある白い岩肌は、近寄ってみると白い鉱物が高密度になった岩でした。これこそが、加水ハロイサイトの原石なのでしょう。



    


だいたい、このくらいでいいでしょう。これ以上の同行を求めるお客様はたぶんいません。溶鉱炉の上部に出るコースで戻ります。



    


コースといっても、凄まじい笹薮。ここを通るくらいなら、滑っても沢登りをしたいと普通思います。昔あった道方は、見事に笹で埋没しています。



    


幻の塔・上信鉱山のシャフトキルン。ここへは、容易に来れない方が良いのかもしれません。このまま、未整備のまま、朽ち果てていくのも自然の摂理なのでしょう。「滅美」とも言いましょうか、それもまた美しいのであります。






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