第1回嬬恋村ジオパーク勉強会



嬬恋村ジオパーク認定に向けて動き始めています。思い起こせば2010年1月に、産業技術総合研究所に勤務し日本ジオパーク委員会の事務局員をしている渡辺真人さんと出会い、ジオパークについてのPPT説明資料をいただき、それを役場の課長クラスの方々に配布したことがあります。


日本ジオパークネットワーク http://www.geopark.jp/


その時の資料が熊川村長にまわったのかは解りませんが、今夏、嬬恋村浅間山を中心にしたジオパーク認定を目指すと、新聞等メディアに大々的に発表しました。


私は昨年、嬬恋村総務課とNPO法人環境防災総合政策研究機構(CeMI)から依頼を受け、嬬恋村、或いは長野原町から浅間山に登る登山道を策定するための大規模な助成金申請のため、PPT資料をつくり群馬県庁に出向きプレゼンテーションしました。また、嬬恋村軽井沢町小諸市の関係各課、環境省万座自然保護官林野庁所管の管理署担当者様らが集まった浅間山北麓登山道ルート策定会議でも別のPPT資料を用いプレゼンテーションを行いました。しかし、手法が国側にしてみると強引だったのか、当時の万座自然保護官はあまりいい反応は示されませんでした。


その後、その話も立ち消えになったかのようでしたが、2013年春から新設された嬬恋村総合政策課を窓口として、また別のアプローチから攻め始めた…ように私からは見えます。今のところ、私は全く関わっていないので、実態はどうなのか解りませんが、協力依頼があればこれまでと同じように応援対応したいと思っています。


浅間山ジオパークになる事で新たな地域運用ルールが策定されてしまうと、私なりの秘密の浅間山登山道はもう公開できなくなることでしょう。しかし、それでも今の浅間山への登山口にある駐車場、ビジターセンターは民間企業が所有或いは国から借用していらっしゃるので、自由に使える状況にはありません。しかも群馬県側(北麓)からだと南麓に一旦でなくてはならないので遠くて…修学旅行や林間学校で浅間山(黒斑山)学習登山の話が上がっても、「浅間山は遠いので草津白根山にしませんか」という提案になりがちなのです。大型バスが自由に停車できる駐車場、そして公衆トイレが群馬県側に欲しいのであります。


となると、浅間園(長野原町)がそのままベース基地になる事はほとんど最強に近いです。次に六里ヶ原休憩所・レストランブルーベリー(嬬恋村)、他には東大浅間火山観測所(長野県)といったところ。周辺の市町村を巻き込むとなると、嬬恋村はベース基地を持って行かれる可能性もあるかもしれませんね。魅力的な嬬恋ベースを新設できるかどうか…




  


会場は嬬恋会館3階大会議室です。100人以上の人が集まっていました。今回は一部の自然愛好家だけではなく、地域住民がそこそこ参加しているのがいいですね。


熊川栄嬬恋村長が挨拶で「万座がエコパークに認定されたことで…」と仰いました。ユネスコエコパークのこと?元々エコパークだった志賀高原が拡張すると新聞に出てはいましたが…


ユネスコエコパークの推薦決定について〜 日本ユネスコ国内委員会
http://www.mext.go.jp/unesco/001/2013/1339323.htm


ユネスコエコパークとは
http://www.mext.go.jp/component/a_menu/other/micro_detail/__icsFiles/afieldfile/2013/09/04/1339323-1_1.pdf(PDF:271KB)


拡張推薦地「志賀高原」の概要
http://www.mext.go.jp/unesco/001/2013/1339281.htm


拡張推薦地「志賀高原」の位置等(PDF:356KB)
http://www.mext.go.jp/unesco/001/2013/__icsFiles/afieldfile/2013/09/04/1339281-1.pdf


これを見ると、すでに1980年の時点で志賀高原の四十八池付近は核心地域、万座温泉地域は緩衝地域になっており、万座温泉は今回の拡張推薦とは関係が無い、変化が無いということになります。しかし、今回の志賀高原拡張推薦が発表されたことで、「エコ」「自然保護」というキーワードに敏感な昨今、改めて万座温泉ユネスコエコパークの一部だったということに気付いた…ということなのでしょうね。




  


司会進行はCeMIのスタッフにより行われました。今回は新堀さんはどういう風に関わって来るのかな?
まずは鈴木雄介様より、伊豆半島ジオパークの事例紹介がなされました。




  


伊東市にある大室山は、火口部が浅間山(前掛山)にそっくりです。いわゆる火砕丘、スコリア丘と呼ばれるものはこういった形状になるということなのでしょう。大室山は4000年前の噴火で大量の溶岩流を吐き出し、伊豆高原台地をつくった…らしいのですが、なんとここの神様は磐長姫命(いわながひめのみこと)だということです。磐長姫命といえば富士山のご祭神、木花開耶姫命(このはなさくやひめのみこと)の姉で大山祇神(おおやまつみのみこと)の娘です。そして、浅間山も富士山の木花開耶姫命に対して「磐長姫命の姿である」と言われているのです。美しい流線形の三角錐・富士山と、ごつごつした溶岩で覆われている浅間山の山容を比較してつけられたのだと思いますが、大室山の場合も溶岩流が見られる露頭があるという事と、日本の神話が作られたのはそう昔では無い、つまり4000年前以降であるということが解る訳ですな、ハイ。




  


いろんな話を聞かせてくださいました。

  • プレートは1年間に数センチ進む。ヒトの爪も年間5?伸びる。
  • スコリアは多孔質で保温性が高いので、ピザ窯には最適。
  • 地質学パークでは無い。地面の上にあるもの全部ジオパーク
  • 大地/地域独特の地学的営みとその生産物=ジオ。


  

  • 地元で見つけて発信しよう!
  • 東京発の情報が伊豆のおもしろさを伝えてくれるわけではない。
  • お金を稼いで自立しつつある。ボランティアガイドからの脱却。


  


次の講師は日本ジオパーク委員で日本地震学会普及行事委員長、時事通信社編集委員である中川和之様。ジオパークのそもそもの概念をお話し下さいました。


ジオパークで地域振興を図る、ジオパークで地域に自信と誇りを…という、ジオツーリズム概念はエコツーリズム概念とほとんど一緒で、私達が現在取り組んでいることであります。特に私が教育旅行/林間学校で行っている浅間火山学習エコツアーなどは、エコツーリズムとして行ってきましたが、ジオツーリズムという言葉があるならばそちらの方がマッチしているように思います。




  

浅間山を案内しながら日本列島全体の事をお話しできるのが日本ジオパーク、世界の事をお話しできるようになるのが世界ジオパーク


なるほど、これは解りやすい。だとすると私達が行っている浅間火山学習エコツアーでは浅間山やその周辺についての説明/考察しかしていませんから、日本ジオパークでは無く、浅間山ジオパークもしくは嬬恋村ジオパークということになります。




  


先日の台風による土砂災害で大きな被害があった伊豆大島の画像が出ました。「地元に語れば地域振興、外に語れば観光ガイド」、なるほど。ところで西谷さん大丈夫かな。


こういう、地域振興のためにナショナルパークに登録するためには、その地域住民に専門的な知見と郷土への崇高な誇り・精神が整っている、もしくは地域振興のためには自然以外の何もないので死に物狂いで村民一体となって登録事業に取り組む…のいずれかが必要であるような気がします。仲間の堀川さんも感じていましたが、私は日本ジオパーク登録への道のりは、かなり険しく長いと見ました。これは数年ではムリ、10年単位でじっくりやっていくべきことであります。


しかしその後、とある観光業経営者からはこんな声も聞きました。


「赤木君、そう、あなたの案ずる通り、浅間山ジオパークに登録されるのは10年先になるかもしれないし、無理かもしれない。でも、私は10年先まで観光業に携われるか解らないし、『浅間山ジオパークに!?』ということで地域が話題になり、少しでも観光客が来るきっかけ、宣伝になればそれでいいんだ。茶番でも何でもいいんだよ。」


うっ、こういう考え方もあるのか。私の場合、入れ込みすぎるきらいがあるから気をつけないと…




  


伊豆ジオパークで販売されている「ジオガシ」。地層や風景を切り取って、お菓子にしたという優れもので、しかも一つ一つ違うお菓子で詳しい地図と解説がついてきます。これはパテシエさんも企画者さんも頑張りましたね。この辺りなら東吾妻町の藤井屋さんなら作れるかな?軽井沢町あたりなら腕の良い職人さんがいるかも。


いただいたお菓子「弁天島 斜交層理」は、ほんのり大地の味がしました。
ウソです!洋菓子の味がしました。






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