旧六合村、中之条町大字入山引沼地区の「おんべいや(どんどん焼き)」



六合村の山本茂先生のところで催されている、県内でもとても特徴のある、旧六合村中之条町大字入山引沼地区の「おんべいや」=どんどん焼きを、体験参加させていただきました。


朝8時過ぎに茂先生の所に伺い、8時30分には引沼公民館へ向かいました。




  


公民館には地区の人たちが集まっていて、今日の段取りを話し、それぞれの役目の場所へ散らばります。公民館にはこの秋に収穫した作物の豆がら等をまとめてとってありました。これはやぐら=「おんべい」の材料(芯)になります。
私たちは枝葉を集める担当です。茂先生宅の敷地内にあるモミの木を伐り、この枝葉を運び出します。




  


ふう〜、雪の中、土手の下から枝を上げるのはキツイ、湧き水でのどを潤します。
さて、どのくらい材料が必要なのか、様子を見に行きました。「おんべいや」の会場です。農作物の豆がらや針葉樹の枝葉、竹もあります。凄い量があるように見えますが、まだまだ全然足りないそうです。




  


小さいのは「子おんべい」というそうです。あれで3m位。大きなおんべい=「親おんべい」を立てるために穴を掘っているところです。




    


そして土手の上にあったクリスマスツリーのようなモミは実は樹冠で、これから土手下の穴に立てようというところ。これはまたドでかい。




  


さて、私たちは持ち場に戻ってモミの枝切り&運びです。切り終わると下のお家がすっかり見えるようになりました。







おお、「親おんべい」が立ち上がりました。「どんどん焼き」のやぐらでは県内でも一番高いのかも知れません。それが、この人口数十人の集落で毎年作られているとは驚きです。




  


そこいらじゅうから集めてきたモミの枝葉。中にはアララギも混じっています。モミの方が樹脂が多いのでよく燃えるしパチパチ音がしていいとか。昔はモミだけで作ったので、時価100万円分くらいのモミを使ったそうです。ワーオ。基材として竹を使っています。







下からリレーで枝を手渡し、上の人は「親おんべい」に枝を次々に突っ込みます。




  


引っ掛かった梯子を救済したり、風であおられて傾いたやぐらを引っ張って修正したりして、ようやく先端部分は決まりました。次に中間部分にとりかかります。まずは縄を背の高さのところで巻いて縛り、




  


その縄を足場にして、もう一段上でひと巻き。この上に登って、また枝リレー開始。




  


この辺りで竹を投入。「親おんべい」にガンガン刺して行きます。本来は竹は、はねて危ないのですが、現在は人手面でも材料面でも、あるもので対応しているのでしょう。







いよいよ「親おんべい」の土台ができました。




  


膨らんでいる「親おんべい」を縄で絞めていきます。縄まわしの歌「あ〜いや〜」←ウソ。




  


縄をまわしていく最中、藁や葉柄が露出しているところは、モミの葉で隠していきます。




  


絞めながら、細いところにも枝葉を追加します。最後に形を整えるために、体のいい枝葉を残しておきました。それを使います。男どもがぎゅうぎゅう締め上げて、







できました!入山引沼地区の『親おんべい』です。




  


しかし、普通の「どんど焼き」とは違っています。実は六合村木曾義仲が生まれ育った場所とか、落ち延びた場所とかいう伝説が残っていて、普通の吾妻郡の山村とは違った雰囲気があります。この「おんべいや」も、聞きなれない言葉です。ネットで調べたら、鳥海山のほうでも「おんべい」という言葉があるようです。何か関係があるのでしょうか。


鳥海山大物忌神社蕨岡口ノ宮例大祭 大御幣(おんべい)祭(山形県飽海郡遊佐町
http://www.girei.jp/seasonalterms/onbei.htm


この後は、公民館で慰労昼食会、宴会であります。これで酒が入った大人たちが本格的に化粧をして、衣装を着て、七福神に変身するのです。由美子さんの息子さんたちも七福神になったそうですが、私はここでいったん荷物を取りに嬬恋へ。七福神たちの民家訪問、観たかったなあ〜




  


茂先生の家に帰ってきた時には、もう七福神も福俵投げを済ませて出て行ったところ。昔は「おんべいや」が終わった後、親おんべい(芯棒)を担いで各家を訪問し、切り分けて回ったそうです。福俵投げもその時行ったとか。芯棒の欠片を翌日の16日に囲炉裏に入れて沸かした湯でお茶を飲むと、1年間の無病息災が約束されたのです。は〜なるほど。
18時頃、集落の皆さんが「おんべいや」会場に集まってきます。







闇の中の親子おんべい、なかなかうまく撮れなかったのですが、奇跡的に横からシャッターの明かりが入りました。上に木星が輝いています。ジュピターの護りの中、入山の「おんべいや」は行われました。




  


七福神がやってきました。いよいよ始まります。まずは「子おんべい」に火が入ります。




  


子おんべいの火にあてられながら、みかん投げが行われます。小太鼓が賑やかしています。







入山引沼地区では厄年の人だけがみかん投げをします。







七福神と一緒にみかん投げ&みかん拾い。ほーら、こっちだこっちだ〜




  


子おんべいの火も小さくなり、いよいよ親おんべいに火が入りました。




  


炎の前で、大黒さまが福俵を投げるゼスチャーを繰り返します。大黒舞です。今年もたくさんのご利益が集落にもたらされるように祈っているのです。




  


この火の中で、てっぺんにある達磨を取ってくると、今年結婚できるそうです。七福神の一人が、「まだまだ行けるぞ〜」とはやしたてます。そのうち、「あっちっち〜」とふざけて降りてきます。




  


その隣で、子供たちは小さくなった子おんべいの火で繭玉を焼いていました。




  


七福神がはしゃぎ、誰かがおんべいに登るマネをしては笑い、人々の高らかな笑い声が集落に響き渡ります。







七福神が舞い笑い、「おんべいや」の炎が人々の願いと共に天まで届いて、この集落の五穀豊穣、無病息災は約束されます。


こうして、民話の里・六合村の夜は更けていきます。


どうですか…絶対に住みたいでしょう?!私、そう思っちゃいました。今年から六合村地域活性化にがっちりと取り組みたいと思います。






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