野生きのこを求めて…
近々、野生きのこガイドのご依頼をいただいています。昨年から食品衛生法の放射性物質残存量が、1キログラムあたり500ベクレルから100ベクレルへと規制値が厳しくなり、いよいよ嬬恋村内でも野生きのこの場合、場所によっては規制値を越えることがある状況になってしまいました。
それで、当協会としては募集型の野生きのこ採取&料理イベントは控えざるを得なくなってしまったのですが、発生的に、講師派遣形態でお申し込みがあった場合は、放射能物質が規制値を越える可能性があることをご承知いただいた上で、お受けしています。
そんな訳で、嬬恋の森の中を野生きのこを求めて歩いてみました。
まずは干俣のお山へ。今年はミズナラのドングリとクリの実が豊作の模様です。
歩き始めて間もなく、足元の落ち葉の中に、盛り上がった少し色の違う場所を発見。そうです、クリフウセンタケが出る頃なのです。本来はもう遅いはずのきのこですが、今年は暑かったので今時期がいいはずなのです。狙い通り。
いい株が次々に見つかります。ほうきのような形状のものはキホウキタケの仲間でしょうが、この類は一種類しか食べることができないので、種を同定するまでもありません。
丸々コロコロとした、最高のクリフウセンタケ株です。どんな料理にも合う万能きのこです。エリンギの味を豊かにした感じだと思ってください。
左写真、チチタケの類は今最も危険です。土壌中、チチタケ等の菌糸が広がる深さに、ちょうど放射性物質は溜まっているのです。右写真はカレバハツ。食用きのこです。これはいただきます。
ワオ!まだありました。アカヤマドリ。これも立派な食用きのこ。独特なコクのある味がします。8月の野生きのこですが、やっぱり今年はまだ出ていました。
アカヤマドリの裏面、少し色変してきていますが、まだまだ食べられます。いただきましょう。他には、カバイロツルタケが少しあるだけでした。よし、次のお山にも行ってみましょう。
浅間山の方に来ました。このあたりは、赤いきのこがたくさん出ています。ベニタケ属のこの手のきのこは、毒か辛いかまずいかなので、無視するにつきます。
おーっと、出ました、猛毒ニセクロハツ。肉が傷つくと赤変します。これがこのまま30分〜1時間で黒変したらクロハツ。さらにひだがもっと密で淡クリーム色だったらクロハツモドキです。ただし、クロハツもクロハツモドキも昔は食用きのこと図鑑で出ていたのに、最近は毒きのことされている場合があります。なんだか、人間ってどんどん自然の恵みの産物を食べられなくしてしまっているような気がします。…残念です。
そして如何にもどうでもいい感じの野生きのこたち。食欲が全然わきません。でも、この子らだって食べられたくないから美味しそうにしていないんです。だから、食べてやらないでください。嫌がっているのに食べたら下痢するに決まってますから。
おーっ、食べられたがっている野生きのこ、ハナビラタケです。これは週末までとっておいて、お客様に召し上がっていただきましょう。
なぜかナラタケはもう遅い模様。スッポンタケ科の幼菌がありましたが、調理が難しいそうなので私はやりません。
そして、如何にもしっかりした野生きのこ、株立ちで量も採れるし料理しやすそう…ところが、これは猛毒きのこ・クサウラベニタケです。この質感、よく覚えておいてください。
浅間山方面でも場所を変えてうろついています。ベニハナイグチは辛い物もあるが食べられます。おや、ここのナラタケも旬を過ぎているみたいです。
パッとしなかった場所でしたが、最後に湿り気のある場所でショウゲンジの群生を発見。これで、週末のお客様の食べる分は確保しました。安心です。
歩いているうちに、誰も使っていない、忘れられたあずまやを発見しました。あーもったいなーい。うちの専用のあずまやにしたいなあ〜