奥草津休暇村チャツボミゴケ 〜 平兵衛池 〜 大平湿原 〜 大池 〜 水池コース下見
旧六合村のJEF奥草津休暇村敷地内にあるチャツボミゴケ群落は、本州唯一とも国内最大とも言われている。ここから草津にトレッキングして帰ってくるコースを検討するために下見に行ってきた。途中には平兵衛池、大池、水池、大平湿原などの名所がある。草津から渋峠への登山道(かつての旧道「草津道」、あるいは「渋湯道」)との分岐点(横笹)でUターンし、周回してくるコース。
旧六合村元山地区。キャンプ場のかなり手前からJEFの敷地のようだ。キャンプ場に到着し、この先のチャツボミゴケ群落に行くためには管理棟を訪ねることが決まっている。
横笹まで行くといったら、初めはなかなか通してくれなかった。ゲートは17:00で閉まるので16:00までに帰ってきてほしいとのこと。途中、元山神社というものがあるが、由来などは解からず。群馬鉄山時代からの神社だろうか。
開けたところにしっかりした休憩所があり、思わず立ち寄ってみると正面の山の山容が見事だった。山の案内看板が無いので山の名前は解からなかったが、左奥の山に雪が見える。あっちは野反湖の方だろうか。
『鎌倉時代に鳥居の色に使われた紅殻の鉱石です』という看板が。鎌倉時代に、六合村からこの鉱石を運んだのだろうか?例えば近場の草津は歴史があるので、草津の光泉寺あたりで使われた可能性はある。
さらに上っていくと川や滝があるが、この川にはチャツボミゴケは認められない。チャツボミゴケは強酸性の水辺のみに育つ特殊な苔なのだ。
駐車場に車を止め、登山開始。
10分も歩くと、先ほどの川(元山川)にチャツボミゴケが見られ、上に行くほど密になってくる。気付かなかったが沢水が集まり酸性が薄くなっていっているのだろう。さらに5分ほど歩くと、開けた窪地に出る。これが穴地獄。
管理人さんの話では、今年の大型台風で水の流れが変わってしまい、チャツボミゴケが茶色く枯れてしまったところがあるという。鉱泉の流れを元に戻し、復元を試みる予定だそうだ。
上の方に回り込むと、鉱泉が湧き出ているところが見られる。おや、湧出口にはチャツボミゴケは生えていないのかな?温度は高くなかった。
場所によっては、見事なグリーンビロードの絨毯の様。
かつて、ここから湧出した鉱泉水には、多量の溶解鉄分が含有し、或る種類の植物の触媒により、この溶解性分は沈殿して固体化し、下流の谷間に長期間にわたって堆積し、我が国ではまれにみる大規模な褐鉄鉱の沈殿鉱床を生成したそうだ。その鉄鉱床を戦時中、国家施策で掘削したのが群馬鉄山(1944-1965)。
さて、ここからが実は通常の逆ルートで進んでしまった。まずは道なりに林道があったので進む。ゲートもなんなく越える。
そしてこの分岐点。左は平兵衛池、右は水池・大池と書いてある。右の道を15分ほど進んだら、なんとしたことが行き止まり!ここまで戻って、とりあえず予定の逆ルート、平兵衛池から回りで進むことにした。
しばらくはカラマツの人工林。林床はほぼ、笹となっている。
やがて、急傾斜の上りに来ると大きな樹が出てくる。40分ほど歩き、平兵衛池分岐の看板が出現した。
この分岐地点のミズナラ巨木は趣深い。2本並んだ、ミズナラ巨木の並木道。この分かされを長年見守ってきたのだ。
ここから少し下りになるので後が怖いが、池まではそんなに遠くは無い。木々の間から湖面が見える。
平兵衛池の湖畔に到着。いやいや、こんなに大きな池だったのか。万座の弁天池にも劣らない。いや、水量はこちらが上か。
カラマツ林を上って、大平湿原を目指す。途中、草津温泉の街並みがよく見えるところがあった。
大平湿原付近から見た草津町の様子。山々に抱かれた、高原の温泉リゾート地だ。
この先に昼食に最適な場所がある。直射日光にあたるので、夏は避けた方がよいかも。さらに進んで、看板を左に進む。
カラマツ林はもう今日は見飽きたところなのだが、ここいらのカラマツはスタイルが良い。
途中、名も無き池がいくつか見られる。湿原が近いのだ。
カラマツ林が明るくなった。木々の隙間から見えるのが大平湿原。
大平湿原は、現在はかなり遷移が進み、もう見た目では笹畑になってしまっている。しかし、場所によってはミズバショウの群落があるというから、4−5月にもう一度来ようと思う。
さらに進んで、大沢川を渡る。水量の多い時は濡れる覚悟が必要。
10分ほど進めば、横笹の分岐点。
一休みして、横笹から大池・水池を目指す。道祖神に守られながら…
湿原の真ん中に大きなカラマツが一本。いい風景だ。
カラマツ林を通り、平兵衛池への別ルートを進む。しかし、旺文社の地図はこんな道にはなっていない。やはり行ってみないと解からないものだと思う。
こちらの道の方が、カラマツ以外の樹木が出てきて変化が楽しめる。そしてミズナラ分かされへ。
分かされにある、大きいほうの樹の洞からは別の樹木が生えていた。あれ、何の樹だったかな?いずれにせよ、もう新しい樹の侵入を許しているように見える。もうここの番人の役目は(あと100年位で)終わりにしようと思っているのだろう。
ここから、この方向にある道に進む。一体どこに行くのやら?
ところが道はかなり私好み。大きな樹がたくさん出てきた。
振り返って一枚。苔むした樹木と倒木更新。長年の蓄積を感じる。
枯れ株に苔。湿った感じが天然林っぽい。その後、かなり大規模なダケカンバ林となった。大規模なダケカンバ林は、大きな崖崩れがあった証拠でもある。
木々の間から、大池が姿を現した。
しばらく湖畔を歩き、ぐるっと回り込んで、
とても大きな池、これが大池。白根山の弓池よりも大きい。この上部にあった古いダケカンバ一斉林ができた時の崖崩れと関係性はあるのだろうか。しかしこの池は、生まれてから200-300年位とは思えない。もっと古い。
ここからの森は私の大好きな雰囲気。巨木が立ち並び、みどりの香りがやさしく包む。ツキノワグマの生息地らしいが、ここがお気に入りなのには共感する。
やがて、道が二手に分かれる。ここも解かりにくいので気をつけて。まっすぐ進み、下りたところに水池はある。
水池は、林の中にひっそりとある。風の影響が少なく、湖映の撮影にはぴったりの場所。
湿地を歩く動物の足跡。カラマツの明るい林を抜けて、
最後は長い下り道。ここを上ってくるのは結構しんどいが、やはり水池と大池周辺の深い森の霊気に打たれるべき。こっちを通らないと、穴地獄から草津へ歩くのはもったいない。
そんなことを考えているうちに、穴地獄チャツボミゴケ群落地に到着。本当は、ここから今来た道を歩くのが正解のコースでした。