火山砂防フォーラム浅間山(黒斑山)記念登山



2010火山砂防フォーラムin嬬恋の記念登山イベントを実施した。私は黒斑山の往復、一番楽なコースの担当となった。おかげさんで、いろいろと浅間山や、亜高山帯の森のお話ができる。


 


さわやかな秋晴れとなった今日。皆さんついていますね!
カラマツの黄葉も最高のタイミングでしたね。


 


槍ヶ鞘手前の見晴らしのいい場所で、ぐんま森林インストラクター会副会長の塩田さんが「おや、縞枯れ現象だね」と仰った。縞枯れ現象とは八ヶ岳で顕著で、この写真のように樹木が横一列に枯れ、その枯れた帯が年々移動していく現象。まだ正確なメカニズムは解っていないが、気候や土壌条件が厳しく、鬱蒼としたジャングルのような原生林には楽には成らせてもらえないということだ。


 


トーミの頭の手前で、かつての黒斑山大崩壊のお話をする。景色がいいので手短に。景色の方を楽しんでもらう。塩田さんもこの迫力に満足してくれたようだ。



 


参加者の方が、「ほら見て、軽井沢のアウトレットモールよ!」と仰った。おお、ここからは近くはないのにすごく大きく見える。日本最大級のアウトレットモール。


 


今日のカラマツの黄葉の美しさと言ったらない。標高の高い浅間山だから、全体的な紅葉としてはあまり期待していなかったのに、ちょうど良い時期に当たったようだ。
トーミの頭をちょっと過ぎて振り返ると、登山客と浅間山のポジションがばっちりだったので思わずパシャリ。うん、いいショットだ。これから当分、この映像を浅間・吾妻エコツアーのトップ画像にしよう。


 


黒斑山の縞枯れの様子を撮っておいた。縞枯れについての説はいろいろあるのでググってもらうとして、私的には、いろんな要素で縞枯れになりえるので、どの説も当たっていると思う。ただし、土壌があまり豊かではないことと、風が影響しているのは、条件として間違いないだろう。


 


黒斑山山頂はごった返していた。さすがは10月中旬、秋晴れの浅間山だ。なので少し先に行くことにした。出発から10分ちょっとで、ちょうど良い場所を見つけた。ここでお昼にしましょう。
釜山を見ると、6人くらいが登山していた。事故の無いように、十分気をつけてね。


 


今日は三原の鮨屋、ふじ松のご主人も参加してくれている。登山は初めてだということだったが、まだまだ行ってみたいと仰るので、蛇骨岳まで行くことになった。
前掛山の湯の平側裾野にある丸山溶岩、その少し蛇骨岳寄りに、かつての黒斑火山はあった。


 


しかし、蛇骨岳山頂で電池が切れたように、ふじ松ご主人は「足がつりそう、辛い」と仰る。お荷物でも持とうかと思ったところで、ベテランの塩田さんの助けが入った。これが、この場合のテーピングの仕方。楽に足が上がり、前に進んでいけるのだ。さすがは大先輩。ご指導ありがとうございました。






そんなことをしている間に、すれ違った方が、

「さっき熊と向かい合った。じっとしていると、熊の方から湯の平の方に下りて行った。」

と仰った。テーピングも終わり、さて、黒斑火山や仏岩火山のお話をしようとすると、遠くの尾根から私たちに


「オーイ、熊だ、そっちに向かっているぞー!!!」


とたくさんの人の声。


カルデラ火口下を覗いてみると


15m下に迫る熊!



大騒ぎしたら引き返してくれたのだが、この熊、場所を変えて何度も登ろうとし、そのたびに私たちがギャーギャー騒いで追い返す…ということを何度もした。全く気付かない方の10m以内に迫った時は事件を予感さえした。


 


最終的には、私たちも帰らなくてはならないので、周りの人と一緒に、20名ほどのパーティーになって退却することにした。状況的に迂回路を取らざるをえなかった。


その後、さすがに熊は嬬恋側に帰って行ったと思うが、今後は、蛇骨岳方面でも、なんと熊スプレーを携帯しなくてはならなくなってしまった。まあ、仕方がないでしょう。


 


しかしその迂回路がまた、鬱蒼とした針葉樹林で、濃厚なフィトンチッドが漂いそうな場所。旧火口の尾根沿いで疲れた帰路は、ここを利用できればありがたい。
黒斑山にもカラマツの天然母樹林があるとは知っていたが、使われていない登山道の中にも立派な看板があった。ここからたくさんのカラマツの種が採られ苗にされ、その稚樹たちは全国の山に植えられていったのだ。樹木の母なる森、それが母樹林。