熊の冬眠穴を探すツアー



先日、赤坂さんから流れた一通のメール。「謎の穴を発見。穴の正体は、クマが冬眠中の穴の呼吸するための空気穴!?」

本当!マジか?そんなことを聞いて調査しに行かないわけがない。本当は会として行きたかったのだが、危険という理由でクレームがつき中止。熊撃退スプレーを持ち有志で調査してみる事にした。

まずは、弁天池に到着。このルートを仲間に紹介もしておきたかったのだ。


  


弁天池の上部に入っていく。すると、大きな倒木を発見。

近寄ってみると、おお、なにやら穴がいっぱいある。「おや、ここにも熊が冬眠しているようだ」…ってみんな、いるって決め付けちゃうの!それでいいんか?

しかし安田さんが言うように否定するより肯定するほうが面白いっちゃ面白いのだが…


  


案内してくれた赤坂さんも、以前はしなや樹カンバから入ったらしく、ここからだと自信が無いそうだ。なので、ウサギの足跡をたどることにした。安田さんもウサギは沢に落ちないようにして歩くから足跡の上を行けば大丈夫だって言ってる。

開けたところに、ダケカンバの巨木と中径木の一斉林が。おお、しなや樹カンバと同じようなパッチ構造だ。この辺から、さ迷い歩いた3年前の記憶が蘇ってきた。この上に、伝五郎池がある。この付近も、いつかみんなに見せてやりたいと思っていた場所だ。


  


やはりあった、伝五郎池。すると、さっきのダケカンバ一斉林は伝五郎池が生まれる元となった崖崩れが発生した際に、生まれたダケカンバ林なのではないだろうか。すると、伝五郎池もそう古くはない。せいぜい200-300年かも知れない。

伝五郎池のほとりには、いい株立ちのダケカンバがある。夏に確認しているが、これは一本の幹ではなかったように見えた。

伝五郎池の水は、凍っていない。今年は暖かいからだからだろうか。


  


ここから赤坂さんの記憶を頼りに、当初の目的である熊の冬眠穴を探すことにした。一旦はダケカンバの大木の前に戻り、急斜面を登る。今後のために、この登る場所についてはもっと楽なところを探す必要がある。

すると、ゆったりとした林分の亜高山帯針葉樹天然林が広がる。ここは私が最も好きな場所のひとつ。まさにディープフォレスト。赤坂さんも、すでにここを気に入っていて「フィトンチッドの森」と名づけていた。目のつけどころが一緒なのはうれしいことだ。初めてきた仲間達は、この景観に感激していた。


  


開けた風景とダケカンバ巨木。この風景は万座でしか味わえない。こういうところでお弁当を食べれたら楽しいだろうな。この位置からは本白根山探勝歩道がとても近いはずだ。

そしてこのちょっとした尾根を下る。やがて尾根道は狭くなってくる。進むには急斜面を降りる必要がある。この道を人と一緒に歩く日が、もう来るとは思わなんだ。もっと先かと諦めていた。

枯れていた巨木はトウヒ。直径120cmある。Oさんがよだれをたらして観ていた。


  


この枯れたトウヒの巨木の下付近に、赤坂さん達が熊の冬眠穴と見た場所がある。ワクワクして行ってみたのだが…!!

うーん、穴は昨日の雪で塞がってしまっている。ちょっと歩いてみたが獣の気配を感じない。やっぱり、ただ単に大きな穴部分を雪が埋めきらなかっただけなのかも。あーあ、残念でした。


そこから更に下ると、私が以前万座で最大と見初めたトウヒがあった。早速測ってみたが、幹周は377cm。ガーン。前に夏に測った時は400cm以上あったのに…。この樹は下が膨らんでいるから測る位置によってサイズが異なってしまうのだが、赤坂さんたちが発見したトウヒは、真っ直ぐで直径も根元からそう変わらず、これよりもっと大きいそうだ。こりゃあ、横綱は取られてしまったようだな。あー残念。


  


そしてその近くに、またもや大きな倒木と雪の割れ目(穴)が…。今度こそは熊だと、みんなワイワイ覗き込む。あーあーそうそう、この森では熊は100匹くらい冬眠しているからねえ(笑)。

折角なので、このまま下に行くとどこに出るのかを紹介した。「え〜こんなところ、どうやって降りたらいいの〜」なんて眠いこと言ってないでとっとと降りてください。