1級樹医養成セミナー(治療実習) 第二日目

最初の一枚は実は昨日撮った写真。うまく納まらなかったのでここで紹介。なんと、山本光二先生から数珠をもらってしまった!しかも先生とお揃いの!チョーいいでしょ。でも絶対にあげないよ。昨日の休み時間に、有名なコワーイコワーイ後神木、読売新聞社前のイチョウの大木・龍王大神様にちょっかい出していろいろな目にあった話をしたら「あなたみたいな感受性の強い人にはこれをあげよう」と仰って、くださったのだ。やばい。これからは言動に注意しないと。ちょっと前に書いたバカとかいう悪い言葉は樹医として相応しくない。近いうちに綺麗な文章に変えるかも。

準備体操をした後、いざ治療樹へ。昨日の薬剤跡が生々しい…


  


朝一はまたグダグダから始まった。あまりに進まないのを見かねた先生が「おいおい、頭でっかちばっかりか!」と渇を入れる。

そしてこれがこの協会の閉塞処理法、いわゆる外科治療である。慣れるまでには結構な本数をこなさなくてはならない。

鉄筋を組んだ上に、セメントを塗りこんでいく。


  


こてを使っていたのだが、穴が小さいので手のひらでやることにした。しかし、セメントは手で触るとやっぱ荒れるなあ。あとでヒリヒリして困った。

擬木仕上げする際は、擬木仕上げ用にセメントを練ってもよいのだが、今日は穴が小さいのでその必要もない。着色セメントをパラパラとかけて、こてで押さえ混ぜてやるだけ。

山ではみんな、目立つ色のカッパしか着ていないのだが、やはり都会の人はこんな目立つカッパ着ないんだなあ。カッパで浮いてしまうなんて調子悪いなあ。

とにかく、これで治療実習はおしまい。この後、治療報告書を提出すると、今後日本樹木保護協会の治療に呼び出されるようになる。とりあえず、私の提出した報告書はこれ。帰ってからパソコンで作ったにしてはたいしたことないのだが、もっと時間をかけて完璧なものを作っても今の自分の力量オーバーになるので、数時間で作れるものにした。興味ない人には苦痛なだけなので、超ひま人のみご覧ください。

平成20年度 1級樹医養成セミナー卒業生 木村道紘 生木治療実習 治療報告書
http://naturekimura.jp/archive/2008/20081123_24chiryouhoukoku.pdf


  


午後の余った2時間ほどは、このまま治療報告書を書き上げるか、それとも山本先生が治療した樹を見に行くかで多数決。もちろん樹を見に行くほうに決まり。

見に行ったのは寝屋川市、神田天満宮境内の千年楠。幹まわり約10メートルもの巨木。 記録では南北朝以前の時代からこの地にあり、楠木正成が出陣の折、この楠の下で宴をはったと伝えられている。

先生が最初この樹を見たときは、隣接する工場からの煤煙や熱が酷く、そのせいで枯れてしまっている様がよくわかったという。治療でいったん持ち直したものの、25mを超える樹高のため台風で倒れない保証もなく、周囲の民家に倒れる可能性があるため小さく仕立て直したそうだ。無念だが仕方あるまい。

何度かメンテナンスで閉塞をし直しているそうだが、これだけの大きな傷を持った巨木。幹全てを形成層が回り込むことはきっと無理だろう。しかし、それでも山本先生は絶対に妥協せずに、ずっと樹を治し続けてきた。そしてこれからも。

このセミナーで、最後に思ったことは、優秀な事務局長的存在、山本先生に後継者みたいな人がいれば、もっと楽だろうになと思った。治療実習の時なんか特にそう思う。私も含めて受講生らはどうでもいい質問ばかりしてしまい、効率よく講義実習が進まない時があった。そういう時に指導補助してくれるスタッフが数人いれば、もっと深いところまで体験できたのにと悔やまれる。しかしそもそも現在のご時勢では樹医で食べていくのはまだ難しい。だから指導補助もボランティアになるだろう。私が地域での活動をしていなく、山満造園が割りと近所だったら、もちろん大いに手伝いたいところだ。

どうなのだろう、山本先生のあとに続く後継者はもう現れているのだろうか?少し心配になった。