黒岩時子さんを訪ねる -クロコプロジェクト-

次に伺ったのは大前の達人・黒岩時子さん(79才)。昨日の会合でクロコをご馳走してくださった方。

まずは昨日のクロコを拝見させていただく。おお、これがでんぷんの入っていないクロコか。小さく砕いてあった。

そして冷蔵庫から昨日の材料の余りを持ってきてくれた。味噌とネギが入っている。


  


そして、シロコ(片栗粉)も持って来てくれた。昔はもっと真っ白だったそうだ。このシロコには少し不純物(中間のクロコ+少量の皮など)が混じっている。

そして、土屋会長がシロコをお湯で溶いてかき混ぜて見てほしいと言った。持って来てくれたものは…おお!これは子供の頃、おやつがなかった実家で、こっそり台所の片栗粉を水に溶いてコンロにかけてつくった、あの懐かしい食べ物だ!

食べてみるとプリンプリン。この食感、なんて懐かしい…。自家製シロコは良く固まり、粘りがある。しかし現在の片栗粉は、こうはならないらしい。なにか固まるのを防ぐ物質が入っているのだそうだ。


  


黒岩時子さんがクロコを作ることを知っているので、農家の人がじゃがいもを収穫したときに出るくずいも(小さないも)を置いていくのだそうだ。

そして、黒岩時子さんが使っている器具を見せてもらった。すると…おやま。年代物のミキサーでしたか!

いもを乗せて蓋をし、スイッチを入れれば向かって左側からシロコと中間のクロコが出てくる。それで、黒岩さんのシロコは昔よりも黒みがあるのだ。

右側から繊維質と皮が出てくる。これを使ってクロコをつくる。ここから、かつてのクロコの作り方を伺った。


  


そして、かつての作り方や、クロコにまつわるお話を聞かせてくださった。

・収穫したじゃがいもは、種芋、出荷する芋、自分達の食料の芋、シロコをとる芋に分けた。
・いもは凍ると美味しくないので、シロコにして現金収入を得た方が良かった。
・くず芋を芋おろし器でおろし、樽に流し入れ、水と混ぜかき混ぜた。
・やがて層に分かれて凝固したシロコを包丁で採取し、シロコを片栗粉に精製した。このシロコを作る過程で赤い泡がでる。そのせいで、吾妻川に泡が浮いたという。
・残り(クロコ)をムシロで包んで外に放置した。今はビニールで空気が入るようにして置いている。ムシロを使うのはそのほうが微生物が繁殖して発酵が進むから。しかし、ビニール袋でも味はそう変わらない。
・早春、匂いが強くなってくる。虫が湧く前、畑仕事の前にクロコ作りをした。
・かつてクロコは、春先の主食だった。
・クロコはそのまま灰に入れると灰だらけになってしまうので、焙烙で表面を焼いてから、灰の中に入れて焼き上げた。

などなど。また、秋に手伝わせていただくことになった。今後、この二人の達人を師匠として、私達のクロコプロジェクトは進んでいく。