清薯源流の砦


編者・発行所 (財)いも類振興会 (1987.11.01)


嬬恋村インタープリター会で『クロコ再生プロジェクト』を始めるにあたり、私達がまずは取り組んだのはじゃがいものことを知ることだった。2007年4月24日に独立行政法人種苗管理センター嬬恋農場をお訪ねし、じゃがいものことについてお話を伺った際、米村信農場長よりいただいた本。

取材した際にも思ったことだが、現在米を主食にそれ以上の量の、種類豊富な副食を食べて生活している現代人の私達は、人類は穀物(米)によって全世界へと広がったと思いがちであるが、寒冷地における人類子孫継続維持の上で、じゃがいもの果たした役割はことのほか大きい。今さらであるが気づくことも多かった。

しかし馬鈴薯原原種農場の歴史はウイルスとの歴史である。成長点組織培養によるウイルス・フリー種の作出→ガラス室栽培→保護網室栽培→・・・→・・・→・・・
と長い経路を経てやっと原原種じゃがいもが生産され、それを各地の農家が生産し私達の口に入る農作物となる。そんな過保護無菌のものを食べたら体が弱くなってしまうのではないか?と気が気ではない。マクロバイオテックの人はじゃがいもを食べない理由はそこにあるのか?

本書は、そこまでの事を推察するようなものではなく、全国の馬鈴薯原原種農場を沿革と概要を記したものである。そしてなんと幼き頃、北海道北広島町にてレクの森の奥深くにあったあの謎の農場、誰もいない実験室のようで薄気味悪かったあの農場は、れっきとした北海道中央農場だったのだ。嬬恋の気候風土が私にあっているのは、育った自然環境が似ていたからなのだろう。

ますます、クロコ再生プロジェクトに力を入れる理由ができてきた。